サウジ

建国85年のサウジアラビアでは内政・外交両面で緊張が
高まっており、今後の中東情勢流動化の震源地になる可能性が高まっている。

そもそもサウジにおいては人口増大、石油価格下落で経済状況が
悪化していることに危機感を強く感じているのが、32歳のムハンマド皇太子。

就任以来、脱石油を目指すなどトップダウンで一気に国家改造を進めようと
サウジアラムコのIPOを進めている。

その改革を進める中で反対勢力と言われる王子11人はじめ、閣僚、
実業家など200人ほどを過日汚職の嫌疑で拘束した。

実際はリヤドのリッツカールトンという拘置所とは思えないところに
幽閉したと聞けばさすがにお金持ちの国だと感心するばかり。

とはいえサウジの国内の動きは新たな紛争の火種になる可能性が大きい。



サウジは初代国王アブドル・アジズ国王以降の2代目から現在の7代目
サルマン国王(25番目の王子)までその子息にあたる第2世代の
王子たちが継承してきた。

現在のサルマン国王が即位したのは2年前だがすでに81歳。

したがって国政は自らの(何番目か分からないが)息子ムハンマド
皇太子に任せており、さらに早々と第3世代のトップを切ってこの
皇太子に国王を譲る腹積もりだとされる。

このように王子と呼ばれる人は数百人もおり、また王族は15000人に
及ぶと言われるだけに、その王位継承や国家経営などには様々な
難しいことがあるだろう。



ところで目下の中東情勢はIS問題がほぼ終息して一段落したものの、
対IS作戦でシリア、イラク、さらにはヒズボラなどと連帯を深めたシーア派大国の
イランの存在感が巨大化した。

スンニ派の代表であるサウジはこの状況に緊張を高めていることから
イランの影響を受けるレバノンやイエメンさらにはカタールなどとの
外交関係の対立が表面化している。

2017年は北朝鮮リスクに明け暮れたが、2018年は中東における
地政学リスクが一気にクローズアップされることになりそうだ。


.
スポンサーサイト

日馬富士

目下福岡で大相撲九州場所が行われているが、土俵上よりも
日馬富士の暴行問題が世の中の注目を集めている。

現在横綱は鳥取県警の任意の聴取を受けているものの、
周囲の未確認の伝聞ばかりが氾濫し事実関係が見えてこない。

この先どうなるのか分からないが、朝青龍が傷害事件を起こして
解雇されたように、日馬富士も同様の処分が下されるかも。

鶴竜の引退も目前に迫っており4横綱時代が終わり
一気に2横綱になるかも知れない。



ともかく相撲協会は公益財団法人であり、税務問題をはじめ様々な
恩恵を受けているだけに官房長官もコメントしている。

したがってマスコミが一層騒ぐこととなっているが
ここで浮かび上がってきたのが貴乃花親方の不可解な行動。

貴乃花親方と言えば母・花田紀子さん、兄花田虎上氏(まさる)とも
先代の葬儀以来絶縁状態とかで、その奇行と言わないまでも
行動がおかしいのは皆の知るところ。

一方で相撲協会改革を謳い慣習を破って理事を目指し、
さらに理事長選にも打って出た。

今や八角理事長と対立して協会内では
異端児扱いされており
将来的に理事長の芽はないとも言われる。

来年3月に予定される協会の理事選では
再任されない可能性も高まっているのだ。



このように場外乱闘ばかりが目立つ今場所だが、
土俵上は済々と進み白鵬が全勝でトップを走っている。

一方日本人力士の代表格の稀勢の里と言えば、
横綱相撲とは程遠く勝ったり負けたりの迷走が続く。

弱い横綱を応援するのも楽ではないがそれもまた楽しいと
言ったところだ。

マスコミも場外乱闘の報道はほどほどにして
観戦記を充実させてほしいものだ。


.

敵前逃亡

小池都知事が希望の党を立ち上げてわずか1か月半、
早々と代表を辞任した。

都民ファースト代表に続く辞任で「またもや途中で投げ出した」
との非難の声が上がるが、これですっきりした。

たかだか50議席の野党第2党なのでトップがどうなろうが構わないが
一時は天下取りを考えたのだから、その顛末は見届ける必要があろう。

今回感じていた違和感とは、小池都知事が議席を有しないで
公党を牛耳る、つまり院政を敷くことの正統性の欠如だったのだ。

議会制民主主義である以上、国民の負託を得た人たちが政治を
行うのが正道であるはずで、小池氏が創業者の責任と権利を主張するのはおかしい。

その点で少なくとも政治の正常化が進んだと言うべきだろう。



すでに小池ブームも去り、もはや3年後の知事選を勝ち抜けるかも
不確実になった。

実際築地問題もほったらかしでこれまでの成果は皆無と言われるだけに、
今後3年の残り任期にどれほど汗を流せるのか?

かつては腕利きのキャスターとしてTV東京の早朝の経済ニュースを
仕切っていた頃は良く視聴もした。

しかし組織を運営したこともないこの人が果たして10万人を超える
都庁のリーダーとしてかじ取りをし、名都知事となれるのかははなはだ疑問だ。



先日塩野七生氏が帰国中に目撃した衆院選の一部始終について語っていたが、
やはり小池氏のパリ逃亡が気にかかる様子。

ローマ時代にも多くの将軍がいたが兵を残して敵前逃亡する
将は最低の部類であり、あるまじき行為だと断罪していた。

実際太平洋戦争においてもインバール作戦で9万兵力の半数近くが
白骨化したが、無理な指揮をした司令官の牟田口中将は
一足先に飛行機で東京へ逃亡していた。

そして満州国の崩壊に直面して高級将校、高級官僚およびその家族は
兵や入植者を置き去りにして早々と飛行機で東京へ帰国した。

一方小池氏を党首として仰いだ人たちも見捨てられたが、
その多くが小池人気にあやかろうと
の下心から行動したのであり、
同情の余地は皆無と言うところだ。






.

黄落

9月下旬に届いた大雪山・旭岳からの紅葉の便りも徐々に
山裾にそして南下して今や都内でも黄落が進む。

これから枯葉そして枯れ野の季節がやって来て、
やがて春の訪れを静かに待つ日々が始まる。

その季節が暗くつらいとしても冬は春の訪れの助走期間であり、
その季節があるからこそやがて到来する花の季節の感動を高める。

このような春夏秋冬は青春、朱夏、白秋、さらに玄冬と人生にたとえられるが
人生が季節と決定的に違うのは再び春が巡って来ないことだ。

.


池内紀(おさむ)はカフカを研究するドイツ文学者で、55歳で東大を
退官して以来の20年エッセイを書いたり翻訳したりと洒脱に生きている。

そして近頃自らの生き方の観察手帳としてまとめたのが
「すごいトシヨリBOOK」。

何気なく手に取ったら文章がうまいせいかとても気楽に読み進んで
いつのまにやら老後生活のノウハウを伝授されたような錯覚に陥った。

この生き方ブックはお金のことは個人の問題であるとしてスルーして
長い下り坂の時間をどのように生きるかを記したもの。

長い老後を楽しく生きなければ人生つまらないとして、
趣味など挑戦的、積極的な生き方を提示している。

因みに全10章の見出しは次の通りだ。

「老いに向き合う」「老いの特性」「老化早見表」「老いとお金」「老いと病」
「自立のすすめ」「老いの楽しみ」「日常を再生する」「老いの旅」「老いと病と死」。



年を取ることに否定的なイメージが付きまとうが、春が来ない冬に
向かう以上どうしても心持ちが暗くなるのはしかたがない。

とすれば本書の副題に「トシをとると楽しみがふえる」と明示されているように
やはり趣味を増やすことがポイントなのかも知れない。

この人が興味を持ったものとして挙げているのは旅、ホテル巡り、
デッサン、将棋、歌舞伎、ギター、ワイン、おしゃれ、小説の再読など。

大方のものは数年もしたら飽きるのだから極力興味の範囲を
広げた方が良いと説く。

上述されるジャンルについては無趣味の筆者も少なからず興味も
あるだけに、興味から趣味へとランクアップさせるのも悪くはないか。

ともかく人生100年の時代、楽しく老いの旅をしなければ損だと
人生の先輩が教えてくれている。




大いなる安定

今年も残すところ50日余りとなり、そろそろ今年を総括し
来年のことを考える時期に達した。

2017年のドル円相場を振り返れば、トランプ大統領による
インフラ投資と大型減税への期待から118円台の高値で始まった。

しかしその後は政権への不信そして北朝鮮リスクへの不安から
下押しされ、結局107円から115円の間を
3往復する一進一退が続き目下113円辺り。

このまま越年すれば1年を通した値幅は10円程度で
比較的変化の乏しい1年だったということになるだろう。



そもそも相場は購買力平価を中心に期待と不安が綱引きしては
乱高下するが、最終的には需給が決定するものだ。

ただ需給には実需、仮需、投機の3種類あるが、短期・中期的には
投機の影響が大きいが、長期的には実需が決定要因になる。

2012年からの3年間にわたった70円台から120円台へのドル高も
アベノミクスの影響と言われるが、実際のところは原発停止よる原油輸入
増大による為替需給のタイト化が大きく影響した結果だ。

一方この2年は右肩上がりのトレンドは消え、
100円~120円レンジでの安定的な推移が続いている。

その背景には経常黒字が日本の機関投資家や
企業のMBOなどによる海外投資つまり資本収支の赤字により均衡化していると言ってよいだろう。

また2015年6月に125円越えの相場について「実効レートでみて過度の
円安状態にある」との黒田発言が心理的な壁として黒田シーリングを
形成していると言えよう。

実際120円以上では日銀に加えて輸入企業群から円安への悲鳴も出るし、
一方100円割れへの輸出企業そして政府の恐怖感も尋常ではない。

つまり100円~120円の水準はいたって居心地が良いということだ。



それでは今後の円相場の「大いなる安定」の行き着くところはどこか?

「大いなる安定」とはリーマンショック前の安定した成長を、時のFRB理事のバーナンキ氏が
こう表現したものだが、この安定はいつか崩壊するとの含意も有していたのかも知れない。

それでは何が相場の安定を覆す材料となるのかだが、
やはり米国の長期金利と日本の為替需給の動向ではないだろうか。

米国の長期金利(10年国債)については、過去1年2.1%~2.6%の
範囲で推移し目下は2.3%だ。

米国では成長率3%インフレ率2%が目標とされているが
インフレ率は現在1.5%水準にとどまっており、
金利引き上げに二の足を踏む理由でもある。

したがって今後政策金利が引き上げられ、長期金利が2.6%の天井を抜けて3パーセントになるかそれとも2パーセント割れになるかが注目される。

一方為替需給については原油価格との連動性が高く原油価格の
動向次第だ。

サウジアラビアやロシアによる減産体制が堅持されていることから
原油価格は50ドル台で推移している。

しかし今後はサウジの政変や今月末のOPEC総会次第で70ドルに達するかそれとも40ドル割れへと再度下落傾向となるのか?

つまり2018年の円相場は長期金利や原油価格に波乱が無い限り
100~120円での大いなる安定が続くのではないだろうか。


.
プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR