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平成三十年

過日通産官僚で小渕内閣を支え、さらに小説家として「油断」「団塊の世代」
「平成三十年」など日本の近未来を
予測してきた堺屋太一氏が83歳で逝去した。

また大阪・堺の出身で橋下徹の大阪都構想を
理論的に支えた人でもあった。

この人は小説「平成三十年」において少子高齢化の進捗を
予測していたが、その人口減少の実態は小説の予想を
大幅に超えるものとして慨嘆していたという。

昭和の末期において日本は米国を抜いたかと錯覚に陥るほど
存在感を発揮したが、平成の30年間において想像を絶する凋落をしたのである。




そんな折野口悠紀雄氏の「平成はなぜ失敗したのか」を読んだ。

同氏は平成を1989年1月7日から2019年4月30日までの期間を
1990年代、2000年代、2010年代に3分割して考察している。

第1期はバブル崩壊期、第2期は円安期、第3期は
東日本震災とアベノミクスの時代と定義している。

第1期はバブル崩壊についてその対応が求められたが
実際は消費体質にどっぷりつかったせいで緊急を要した対応が
7年近く遅れてしまったことが禍根を残したとしている。

第2期については中国はじめ新興国の台頭の中で国内生産を海外シフト
すべき時であったはずなのに、時ならぬ円安に国内シフトへ逆流が進んだ。
おかげで日本が製造業・輸出立国に拘泥し投資立国への構造転換に失敗した。

第3期については東日本大震災により日本のインフラの脆弱性が
露呈されたにも拘わらずその対応が遅れたこと。

さらにデフレに対する対策として打ち出したアベノミクスもマネタリーベース
は増えたが肝心のマネーストックは増えず、結局経済活性化できなかった。

その結果先進国で進むIT化そして新興国での生産力向上と言った
世界的潮流に乗ることが出来ず埋没してしまった。



このように日本の平成30年間は失敗の連続であり、
「失われた30年」として位置付けられることになってしまった。

さすればあらたな御代に日本経済再生の芽があるのかと言えば、
急速な人口減少が進む中でその解決策
である移民問題もほぼ手つかず。

結局新たな御代は堺屋太一氏の遺言通り厳しいものになるに違いなく、
また現代を代表する経済学者の野口氏も有効な処方箋を提示できないのだ。

古今東西の歴史が示すようにピークを打った国が
再興するのは奇跡と言うほどに至難であり、
残念ながら日本もその例外ではないと言うことだ。


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混迷

3月29日の交渉期限を前にしてEU離脱について
英国議会は混迷を深めている。

一昨日の議会において事態の打開を図るメイ首相は風邪のため
声はしわがれ、自らのそして英国の立場の難しさを真に伝えていた。

そしてEUと合意した離脱についての修正案を提案したが
多数で否決され、さらに「合意無き離脱」が議会に諮られたが
これもまた否決された。

議会には十人十色の意見があり何を提案しても否定される状態で、
結局本日ようやく6月辺りへの協議の延期で可決される見込みだ。

とはいっても今後3か月でコンセンサスが形成される見込みはなく
結局再度の国民投票もしくは解散総選挙になる可能性が高くなった。



そもそもこのような国難に遭遇する事の発端は「国民投票」。

キャメロン前首相が苦し紛れに国民投票を提案したのが間違いで、
やはり国家の重要案件は選ばれたプロである議員達が冷静に
検討するべきであったということだ。

国家の先行きを決定する重要な案件を情報の限られた無知な
国民に判断をさせるということこそ、大きな間違いだったということだ。

保守党も労働党もまさかEU離脱になるとは思わなかったせいで
十分なキャンペーンも張らなかったつまりその無責任さが国家を
追い詰める事になったと言うことだろう。



EU加盟については多くの国々では国民投票が実施された。

そして日本でも沖縄で住民投票が行われたり、憲法改正については
国民投票が実施されることになる。

つまり民意を反映する上で一見国民投票や住民投票は
有効にも見えるが、それは決して正しい結論を導かない。

今頃になってホンダや日産が英国から撤退することを知った
住民たちが後悔をしているように、深謀遠慮もなく目先の損得や好き嫌いで
動くのが人間だ。

とすれば議会制民主主義制の英国が行うことは国民投票ではなく
解散総選挙ではないだろうか。


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東山にて

昨春花水木の季節以来ほぼ1年ぶりに京都にやって来た。

投宿したウエスティン都ホテルは来年五輪前に新しくお披露目するとのことで、
目下改修工事に忙しそうだ。

従って館内至る所老朽化は否めないが、
幸い新装の部屋に入れるラッキーな旅の始まりとなった。

それにしてもここの3階レストランフロアや9階テラスから見える
比叡山・東山の景色は素敵。

これだけでも遠くから京都に来る甲斐があろうと言うものだ。

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(東山全景)


取りあえず東山七条を歩くことにして、三十三間堂そして
真言宗智山派の総本山で弘法大師を祀る智積院へ。

智積院は初めて来たが、フランス人の家族連れがいただけで
観光客は一人もおらず、目に付くのはお坊さんばかり。

皆さん挨拶してくれるのには恐縮した。

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(三十三間堂)

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(智積院)


2日目は、まず谷崎潤一郎お気に入りの庭がある法然院へ。

そして鹿ヶ谷にある俊寛の碑を探しつつ「哲学の道」を南下し、
永観堂や南禅寺の甍を見ながら蹴上げまで歩いた。

歩き始めは少し寒かったがゴールしたときには
汗が滲んだ。

弥生3月も半ば近くになると京都でも時として北風よりも太陽が
優勢となるようで、春もそこまで来てるようだ。

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(法然院)

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(哲学の道)


早春の香り

このところ果物屋の店頭にはデコポン、不知火、甘平、せとか、
伊予柑などが並び、まさに柑橘類のオンパレードだ。

お陰で日々早春の味と香りを楽しんでいるが、
同時に伊予は宇和の海と段々畑の風景が思い浮かぶのである。

これまで松山には何度か行く機会があり、そのたびに
「坂の上の雲」や「坊ちゃん」がかもしだす明治の良き空気を堪能してきたが、
そののどかさと温暖な気候はとても心地よい。

ということで毎年この季節になると早春の香りに誘われて
映像でしか知らない松山以西へと心は向かうのである。



そんな折夕食後いつものことでBSテレビをサーフィンしていたら
寅さんシリーズ「寅次郎と殿様」が放送されていた。

40年も昔の作品で詳細の多くは忘れていたが
傑作のひとつとの記憶だけが残っていたので少し見た。

舞台は伊予大洲の城跡で偶然にも藤堂家の末裔で嵐寛寿郎演じる殿様と
寅さんが出会い、愉快な交流が始まることになる。

マドンナは殿様の亡き息子の嫁である真野響子(当時27歳)。

言わずもがなで寅さんは一目ぼれし、その後
失恋話に転じてゆくのはいつもの通りだ。



伊予大洲からさらに西に向かうと宇和島に至るが
さすがに出かけるには不便そうだ。

ここまでくれば九州も見えそうで、豊後水道でとれる魚は
一段と美味しいだろう。

来年こそは春を先取りする旅に出られたらなと思うのだが・・・・


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債券王

投資会社PIMCOを50年近く前に立ち上げ,長く「債券王」の
名声をほしいままにしたビル・グロスがついに引退した。

これから慈善事業に専念するというが、実質的には廃業を
余儀なくされたということだ。

一時預かり資産は3千億ドル(30兆円)に達していたが、最近は
顧客離れが激しく30憶ドル(3千億円)と100分の1まで減少していた。

特に最後に張った米国債買い・独国債売りのポジション、
これは米国金利が下がりドイツの金利が上がることを狙ったものだが、
大外れして結局一時代の終わりとなった。



現在米国10年債の金利は2.7%、独国債は0.2%、
そして日本は昨日ようやくマイナスから浮上したことが
ニュースとなるようにゼロ%近辺を推移。

つまり先進国の金利はどの国もほぼゼロで、米国だけが
金融正常化の流れに3%前後で推移してきたのである。

しかしここにきてFRBは株価対策としてバランスシートの縮小をやめ
(金融引き締め措置の見送り)、パウエル議長曰く「忍耐強い様子見」を
決め込む中立的スタンスへ転じてしまった。

実際米国の経済環境はGDPは3%近辺と好調だとトランプ大統領は
吹聴するが、経済指標は強弱まちまちで、アトランタ連銀の
GDPナウは0.8%を示すなどなんとも心もとないのである。



そんなおり中国で全人代が始まった。

李克強首相による政府活動報告では昨年ぶち上げた「中国製造2025」を
封印するなど
米国への配慮がにじみ、ひたすら直面する経済悪化への対応として
減税を含めて財政出動を進めるなど危機対応の優先が目立った。

一方日本は今秋の消費増税を前にしてインフレ上昇の兆しもなく
日銀も追加緩和の可能性を語り始めた。

さらに米中通商協議の次はいよいよ日米交渉に焦点が当たることになり
いつ米国から円安誘導批判がなされるかもとの恐れが政府日銀に高まりつつあるようだ。





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プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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