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原油高

2016年初めに30ドル割れとなっていた原油価格(WTI)は
その後OPECの減産などにより上昇傾向を辿り、目下
74ドルに達している。

お陰で日本ではガソリン価格は1リットル150円、米国では
夏のバカンスシーズンを前に1ガロン3ドルの大台を突破する勢いだ。

車社会の米国において原油高は低所得者層を直撃することから
この価格(1ガロン3ドル)は心理的にも重要な意味があるとされてきた。

したがって中間選挙を前にしてトランプ大統領がOPEC各国を価格操作
していると非難してはイラつくのも無理ないところかも知れない。



これまでOPECはスイングファクター(価格変動要因)として巨大な
力をもっているとされてきた。

しかしサウジアラビア以外の国は生産力について様々な問題を抱えている
ことから生産量を増減させるなど調整させることは難しい。

6月末のOPEC総会において減産緩和(=増産)が決定されたが
実質的にはOPECを代表したサウジと非OPECのロシアとの協議の上で
両者で100万バレルの増産を決定したのである。

一方で米国のイラン経済制裁によりイラン原油の購入停止を各国が
迫られている状態(11月4日までに実施)で、一層OPECの非力化と
原油需給のタイト化が予想されるのである。



このような環境でサウジとロシアが増産を決定したものの
リビアやベネズエラでの供給懸念も浮上して原油価格は
逆に10ドルほど値上がりした状態だ。

もともと原油価格はオーバーシュートする傾向にあり、ちょうど
10年前には147ドルの史上最高値を付けている。

つまり現状はその半値程度であることからしても、今後も
値上がりの余地は大きいと言えよう。

さすれば「油断の国」日本はイランをはじめとして原油をすべて
輸入に頼っているだけに、今後原油価格値上がりによる
貿易収支の悪化に直面することになる。

実際日本の年間輸入額約70兆円のうち原油・天然ガスは
20兆円を上回る。

つまり原油価格の上昇は貿易収支の悪化と日本経済を直撃
することになり、当面円安地合いが続くことになるのかも知れない。


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改革開放40年

このところ米国の株価は日替わりメニューのように
強気と弱気が交錯し、激しくアップダウンを繰り返している。

とくに先週は米中貿易戦争の先行きに安心感が強まって上昇したが、
週末には中国の報復に対してトランプ大統領が1千憶ドルの追加関税を
検討するようにUSTRに指示をしたことから不安感が再び高まった。

しばらくはこのようなやりとりが続くことになりそうで、
予断を許さない。



実際米国では11月に中間選挙が予定されておりトランプ大統領も
「中国製品に45%の関税を課す」との大統領選での公約を果たすことにこだわる。

またその政権の陣容も、クドローNEC委員長、ボルトン安保担当補佐官
ポンぺオ国務長官らがライトハィザーUSTR代表、ナバロ通商製造局長に
加わって、対中強硬派および保護主義派の鉄壁の布陣となった。

制裁発動までの猶予期間にムニューシン財務長官らが北京に入り
対話を本格化させるともみられるがどのようになるのか不明。

脅しだけのつもりが本当の喧嘩になったりすることは
よくあるもので一寸先は闇だ。



そして迎え撃つ中国は鄧小平が改革開放政策へと舵を切り
高度成長を実現させて40年の節目。

つまり中国は貿易のメリットは十分承知しておりトランプ主導の
保護主義には随時反論してきた。

とはいえ今回の報復合戦については売られた喧嘩は買うと
言った趣旨を述べているし今後予断を許さない。

3月の全人代では共産党の常務委員を退職した王岐山が
よもやの国家副主席として中国の実質NO2となった。

対米交渉でのその神通力に期待はかかるものの、
「暗愚の帝王」トランプ相手では勝手も違うだろう。

今後の米中の行方についてあまり楽観に傾いてしまうのは
危険ということだ。


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貿易戦争

米国が通商拡大法232条に基づき中国など対象国に対し
鉄鋼、アルミにそれぞれ25%、10%の高率関税をかけた。

さらに通商法301条に基づき知的財産に関する1300品目に
ついても報復課税を行う見込みとなっている。

これに対して中国は対抗措置として報復関税を課す
ことを打ち出しており、いよいよ米中は貿易摩擦から貿易戦争へ。

現状米中間ではこれを回避する対話が水面下で行われて
いるようでもあり、またトランプの得意のブラフとの見方もあるが
実際のところ軟着陸は難しいのではないか。



もともと中国の石油、航空、金融など基幹産業はゾンビと言われ
る国有企業が補助金を受けては生き延びて過剰生産を続けてきた。

現状国内経済が減速し、これらの生産財の国内消費は不可能と
なっており、海外での消費にドライブをかけている状況だ。

したがって一帯一路は格好の受け皿であり、くわえて米国へも大量の
過剰生産物が流れており、米国において(トランプのいうところの)「世界史上で
最大の赤字」を産み、米国の企業を直撃しているのだ。

このような報復関税の応酬が進むとそれぞれの輸入財の価格上昇に伴い
経済の減速から逃れられなくなり、貿易・世界経済の縮小、景気後退
がもたらされることになる。



このような貿易戦争の影響は直接間接に日本に強く及ぶ見込みだ。

すでに日本では貿易戦争への懸念と円高の影響を受けて雇用市場も
変調を来し、景況感の急速な悪化が顕著となってきた。

それでは日本は景気後退に備えて打つべき手があるか?と言えば
財政政策はすでに累積赤字が高い状況でその出動は無理。

また金融政策もすでに緩和はこれまで一杯一杯で、もはや円高を抑えるべく
口先介入しかないのが実情だ。

ということで米国のジャパンパッシングを翻意させるべく4月17日の日米首脳会談に
活路を求めているが、近頃の米国のスタンスは昨年来の晋三・ドナルドの
蜜月関係などまるでなかったかの様子。

「外交」とは手を握り・見つめあうという恋人関係の延長線上にある
わけはないということだ。


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モラルハザード

先週末ワシントンでG20財務相会議が行われた。

G7ならまだしも20か国が集まって議論しても何が決まる
わけでもないが、ともかく集まることに意義があると言うことだ。

目下の世界の経済状況については、世界7地域が低金利、低物価の恩恵で
同時成長しており、この好機に構造改革を進め経済の効率化を図ることが
確認された。

また欧米の中央銀行が低金利からの出口戦略を進めている中で
金利の上昇が新興国から米国への資本流出を招くことで新たな
世界経済への不安材料として指摘された。



国際金融協会(IIF)の調査によると過去10年において米中はじめ
各国の公的・民間債務は1.5倍に膨らんでいるとされ、どの国も
財政を切り詰めるのに難儀しているのが実情だ。

したがってこの会議ではこれまで財政再建問題に関する危機意識が
共有されてきたが、2010年のG20トロントサミットにおいて各国は
3年以内に赤字半減を実現することを目標として掲げた。

その時日本だけは目標達成を無理とし、その代わりに基礎的財政収支
(プライマリーバランス)を10年後に黒字化することでお目こぼしを
してもらった。

それがここにきて2020年の目標達成は不可能として国際公約の
取り下げに至って面目を失ったが、各国から非難が出なくて
(麻生財務相が欠席する中で)黒田総裁は胸をなでおろしたということだ。



世界的に財政悪化が進むとはいえGDPの250%に接近する日本は断然
際立っているが、財政赤字圧縮に向けての消費増税を2度も先延ばししてきた。

2019年秋にこそ3度目の正直で上げることになっているが、今や
自民党は選挙公約としてその使途を変更し財政穴埋めに使うのではなく
教育補償と美名に包みつつバラマキをすることとしている。

これに対して野党と言えば、反対するどころか増税を凍結・中止を
というのだから日本で財政再建など永遠に不可能ということだろう。

こんなに右も左も増税中止の声が高まってくると、財務省を筆頭に
財政再建を真面目に議論することなどバカバカしくなってくるのが人情だ。

これぞまさにモラルハザードだ。



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ケーキセット

堤義明氏の経営する国土計画が破綻して15年、
プリンスホテルは経営再建を進めてきた。

そのブランドイメージは一時地に落ちたが、その挽回を図るために
ホテルを3分類して最上級を「ザ・プリンス」と改名、そして
第2分類はそれなりに、そして第3分類は大衆化を図ってきたのだが。

その旗艦店のひとつである芝公園内の「ザ・プリンスパークタワー東京」に
行ってみた。



足を運んだ目的は近くでの用事のついでにその建物を観ることと、軽井沢で貯めたポイントでケーキセットを食べること。

大きなガラスで囲まれたラウンジは、ピラミットの斜面か大阪城の
お堀を彷彿させる石垣に直面している。

その斜面を流れ落ちる水はそれほどの水量は無く、茨城県の袋田の滝を
思わせる程度だが、東京タワーを借景にしておりなかなかのもの。

ともかくマンゴ・ケーキを食べながら、しばらくあの丹下健三の息子・
丹下憲孝氏の設計した現代建築の粋を楽しんだ。



このホテルは比較的新しくまた空いていてとても快適だったが、果たして
全国津々浦々に展開するプリンスブランドは回復しているのだろうか?

ペニンシュラ、マンダリンなどの外資、そしてオオクラや
帝国ホテルと比べるとやはり落ちるのか?

難しいことは脇に置いておいて、とりあえずたまに出かける都会のオアシスとしての役割は、
周囲が緑の公園に囲まれているだけに十分果たしてくれそうだ。


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プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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