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成長と環境(2)

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諸富徹京都大学教授の「資本主義の新しい形」を読んで
自粛生活でたるんだ気持ちが少しぴしっとした。

何よりも1970年代に「成長と環境」について熱く語った都留重人氏に
ついてその人柄と業績を思い起こさせてくれた点で、一層興味をもって
この本を読むことになった。

元一橋大学学長の都留重人氏はハーバードで学びマルクス経済学が
席巻する日本において近代経済学を定着させる功績を残したが、同時に
公共経済の視点から「成長と環境」について早々と環境重視を訴えていた。

実際都留氏は美ヶ原にビーナスラインの建設が浮上した時から
強く環境保護を訴えその先駆的役割を果たされたのは極めて重要。

そして50年後諸富徹氏の理論の出発点となっている点でも
特筆される。



都留重人氏はもともと800米のランナーでインカレで上位に入ったほどの
実力だったと言われ、一橋大学陸上部の部長を13年も務められた。

その間毎年末赤坂の瀟洒なご自宅に全部員50人ほどを招待され、
八丁堀から鮨職人を呼びカウンターを作り握りを供された。

またお庭でゲートボールのような英国のゲームもした。

さらに夏は長野県の別荘に4年生を招待されていたことなどを含め、
武蔵野に暮らす学生からすればその米国仕込みのライフ・スタイルが
まぶしく見えたのは当然か。

実際筆者もお鮨をたらふく食べた一人だが、50人も
招待できる都心の家など想像もつかない。

(赤坂の一角にたつ4軒の家には夫人の一族が
住んでいたようで、そのひとつは獅子文六邸だったとか。)



それにしても朋友サミュエルソンの「経済学・上下」(世界の経済学徒の
ほぼすべてが教科書として使っていた)の翻訳をされていたが
随分印税が入ったのだろう(と下世話なことをついつい考えてしまう)。

ご夫婦にお子さんがおられず、陸上部部員(通算すれば150人になるか)が
子供たち同様だと後年述懐されるエッセイを目にしたが、我ながら
その一人であったのかと少しうれしくもある。

ともかく今回気鋭の学者の書いた本書に出会ったことで遠い
学生の頃のことを思い出した。

何よりもそれ以来見聞してきた経済事象の様々を理論的・実証的に
解析しさらに将来の方向を示唆する本書は極めて貴重なものとなった。


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アホノミクス

5月22日(金) 18度 曇り

このところ梅雨を先取りしたような空模様で
うすら寒い日が続いている。

しかし季節のうつろいは正直で、我が家の小さな庭も
新緑がまぶしく、ミニバラとカーネーションの赤色を引き立たせている。

さらに紫陽花もいよいよ自分の季節とばかりに存在感をアピールしだした。

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今日日銀が政策決定会合を開いて中小企業への融資を
決定したが、その存在感はめっきり減った。

有事こそ日銀の出番のはずだが、平時において
エンジンをふかし続けた結果肝心の今身動きがとれない。

実際7年前に黒田総裁が登場した際には「2年で2%」と豪語して
株高・円安のアベクロ相場を作り出したのは今からすれば懐かしい。

その異次元緩和こそがアベノミクスの正体で、成長戦略など
つけたしだったのは今更議論する価値もない。

浜矩子氏が「アホノミクス」と喝破したように、政府が発行した
国債をひたすら日銀が買い支えしたのは、禁じ手の
「財政ファイナンス」そのものだった。

今やそのつけを払わされていると言うことで、市場機能はズタズタ
そして日本経済はコロナ禍も加わってにっちもさっちもいかない。



コロナの第一波はほぼ収束し第二波に向けての
準備そして経済の回復が急がれる時期となった。

それでは昨年10月の消費増税そしてコロナと大きく下振れが
続く日本経済は今後V字回復を実現できるのだろうか?

米国経済は7-9月には20%以上回復し、4-6月の
マイナスを取り返すと予想されていたが、日米共に
「新しい生活」は消費を喚起する上で大きな足枷となるのではないか。

実際休業が解かれても、レストランで楽しくお食事など
怖くてかつての生活習慣へ回帰できるはずもない。

安全なワクチンが行き渡るまで、つまり3年程度は
だらだらとしたL字型の経済状況が続くのではないだろうか。


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マスク需給

シャープが高性能マスクを一箱(50枚)2980円、
(税別、送料別)で4万箱売り出した。

申し込みにあたり4月20日の早い者勝ち方式にて
応募者が殺到してシステムダウン。

そしてやり直しとなった27日は抽選方式終日受付に
変えたが、やはり大混雑してアクセスできない人もいた。

結局470万人が応募し競争率は118倍とマスクへの
渇望とシャープの技術力への信頼感が注目された。



とはいえ数日前より品川駅の路上や新大久保の
韓国料理店の軒先では大量のマスクが3000円ー
4000円程度で売られているという。

従来700円ー1000円程度であったことからすると
随分高くまた薬局経由のものと違い品質も分からない。

とはいえそれなりの供給量があることが証明され
つつあるということだ。

早晩品質が劣るものは淘汰されるとはいえ、一時の
社会不安が解消されつつある兆候が見え始めたのは
歓迎されるべきということだろう。



どちらにしてもマスクへの飢餓感は実需に加えて
工場在庫、小売店在庫そして家庭在庫、つまり仮需が
満たされるまでなくならない。

(需要には実需、投機に加えて準備的要素の強い仮需
の3種類がある)。

実際ある仮説では現在の需要は通常の30か月~60か月分ある、
つまり流通が安定化するまで2年半から5年かかると見られている。

ただ供給面において中国では日量2千万枚から2憶枚へと増産し、
さらにマスク着用の義務が解除されたことも需給に余裕をもたらし始めた。

つまり案外早く日本でのマスク需給は改善し、
投機筋の投げ売りをも誘発して一箱1000-1500円水準に
落ち着くことになるのではないか。



アベノマスク

政府がいかなるウイルス作戦を打ち出すのかと、
戦時を覚悟した日本国民はリーダーの強いメッセージを待っていた。

待たせるだけ待たせてやっと出てきたのが何と
「布マスク2枚配布」の驚くほどの貧弱な政策。

大阪弁で言えば「人をおちょくってる」と言うところだ。

首相の政権維持そしてコロナとの戦いの本気度が疑われるのも当然で、
有事への対応能力の欠如を白日の下に晒したと言うところだ。



この「アベノマスク」もさることながら安倍政権がその
存在意義としてきた「アベノミクス」は今やどこに消えたか?

安倍政権が2012年12月に誕生し今や死語となっている
「三本の矢」を掲げた。

(あえて復習すれば①大胆な金融政策、②機動的な財政政策
③成長戦略からなっていた。)

さらに13年3月に選任された黒田日銀総裁が
異次元緩和でその経済対策を後押ししたのである。

デフレ脱却に向け2年でインフレ率を2%にすると豪語
したものの7年が経過した現在も物価は相変わらず0%台を低迷。

そして日本経済については円安・株高が進んだものの
構造改革など進むはずもなく経済成長率は0%水準でアップアップ。

そして7年近く内閣府が言い続けた「回復」もすでに
先月にその御旗を下ろし、静かに息切れを白状したのである。



バズーカ砲などと持ち上げられた日銀の金融政策も
ここにきて低金利による副作用ばかりが目立つ。

この手詰まり感の漂う中で降って湧いたのがコロナ禍。

実際コロナにより世界経済はほとんど壊滅し、今後
新たなパラダイムがスタートすることになるだろう。

おかげで日本もアベノミクスの間違いを検証することもなく、
あらたに復興に向けて再スタートを切れるのである。

つまりアベクロによる経済金融政策はコロナのお陰で
これまでの過ちをご破算にできると言うことなのである。



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渋谷大開発

東京五輪後の景気後退が懸念される中で
今日本のあちらこちらで都市再開発が進んでいる。

その代表が渋谷大開発。

東急が音頭をとって2030年ごろまでにオフィスビルと
商業施設の一大基地が出現する予定だ。

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(銀座線渋谷駅)

ということで本来ならば下北沢経由井の頭線で行くところを
表参道経由銀座線で渋谷に向かった。

銀座線渋谷駅は従来の駅よりも130米も青山方面に
移動したせいで井の頭線からの乗り継ぎが不便となり
いたって評判が悪い。

とはいえ駅舎のデザインはなかなかで
さすが一流建築家の
仕事というしかない。

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(渋谷スクランブルスクエアと渋谷ストリーム)

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(渋谷フクラス)

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(JR渋谷駅周辺)

渋谷駅の周辺は目下様々なビルがスクラップ&ビルド中で
スクランブルスクエアも半分出来上がって先般オープンした。

渋谷はすり鉢状の底に当たり約18米ほど周辺から窪んでおり
水はけも悪いし何よりも縦横への移動がネック。

特に身障者や老人には不便とも言われてきたが、
その辺りも含めて従来の歩道橋を作り直す見込みとか。

この大規模再開発の槌音の高さを聞いていると
無駄にも見えるインフラ投資は五輪後の日本の
経済を救うのかも知れないと思ったり・・・

しかし人口が減少する中でこのような都市再開発が
経済活性化をもたらすのかとの疑問も拭えない。

ともかく東京は地方とは別の経済圏であり全く
別次元の経済論理で動いているということか。



..
プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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