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分断

目下ラグビー・ワールドカップは佳境に入りテレビ観戦で忙しい。

もともとラグビーは番狂わせが起きにくいと言われているのに
日本は4年前の南ア戦に続いてアイルランドに勝つ大番狂わせを演じた。

この事件により久方ぶりにラグビーファンのみならず日本国民に
高揚感と一体感が広がったように感じられた。

この現象はスポーツのもたらす効用ではあるものの、日常的に社会が
分断され国民が孤独感を深めている裏返しと言えなくもない。



そんなおり目下ノンフィクション部門でベストセラートップを走っている
「上級国民/下級国民」(橘玲)を読んだ。

今春の高齢通産省官僚による池袋の交通事故や農水省元次官に
よる長男刺殺事件などで急速にネットスラングであった
このワードが一般化してきたのを機にそれをタイトルにして書かれたもの。

もはやこの種議論は聞き飽きた感も拭えないが、
半ばMUSTとして社会学的考察に目を通した次第だ。

著者の分析によれば今日的社会の分断は日本特有の
ものではなく世界的な潮流であるとのこと。

分断は知識社会化、リベラル化そしてグローバル化が進む中で
必然的に生まれてきた現象であるとのことだ。

実際フランスの黄色いベスト運動(ジレジョーヌ)、トランプ大統領登場、
英国のブレクジットなどは、
世界が「総体」として豊になるのと引き換えに起きていると言うことのようだ。



このような社会の分断が進む背景には教育格差が存在する
と通常理解されているが、その顕著な例として挙げられる国は何と言っても米国。

その実情を知るべく引用されているのが米国の政治学者マレーの
「階級断絶社会アメリカ 新上流と新下流の出現」。

本書においては人種問題を回避して
その分析対象を白人に
限定したものとしているところが特徴だとか。

その結果知識層とそれ以外(プアホワイトなど)とは別々のコミュニティに
暮らしていることを郵便番号(ZIPCODE)と世帯所得の統計調査から突き止めている。

その結果として知識層の最も集まる「スーパーZIP」はワシントンで
NY,サンフランシスコ(シリコンバレー)、さらにロサンゼルスやボストンが続くようだ。

マレーはスーパーZIPに暮らす人を「新上流階級」と呼び、
ヒトは同様同種の人間と同じコミュ二ティに存在するのが
快適である結果だとしている。

これまで米国で起きている社会経済現象は10年程度のタイムラグで
太平洋を渡るとされてきた。

それだけに日本でも「スーパーZIP」の芽はすでに育っているに違いなく
近い将来より顕在化してくるのだろう。

その一例として都市と地方間での格差は一層顕著となっているし、
東京23区でも給食費不払い率などでも明らかなように地域間の格差は鮮明化してきているのだ。


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老後不安

金融庁の報告書が明らかにした2000万円の老後資金不足をめぐり
国会内外で喧々囂々の議論が続いている。

この背景は年金収入24万円支出29万円と言う平均モデルの夫婦が
老後30年において2000万円の資金ショートを来すという試算が一人歩きしたもの。

もともと「百年安心プラン」を謳う年金制度が百年持つと言うこと自体がいかがわしくはあったが、
一人の生活が老後年金だけで支えられるものだなどとは決して言っていない。

政府は国民がそのような誤解をすることを放置してきた罪があるが、
現実は基礎年金、厚生年金に自助を加えて
初めて老後生活は成り立つものとされていたはずだ。

つまり公的年金だけで足りるはずなどないのは皆が
知っていることであったと思うのだが。

とはいえ野党はここぞとばかりに年金問題を政争の具にし、
政府は逃げ回っているのである。

全てが選挙のための議論と言うことである。



そもそも老夫婦の生活は月25万円で足りる人もいれば、
月50万円でも不足する人など所要額はまちまち。

かつて保険会社が行った調査では、たまの旅行など少しゆとりを
持った生活を送るには公的年金+毎月10万円を必要としていた。

つまり「老後資金として3千万円を貯めましょう」と言うのが個人年金の
セールストークの肝だった。

したがっていまさら金融庁の報告書を見て大騒ぎするなど
所詮政治家のパフォーマンスなのだろう。

実際麻生副総理は自らが年金を受給しているのかどうかも知らないし、
労働貴族とも言われる野党議員の多くも議員年金が約束されているのである。



ともかく四面楚歌となり闇から闇に葬られる運命となった報告書。
お陰で作成責任者の局長は詰め腹を切らされる見込みだ。

それではこの報告書の中味は何だったのかといえば、老後不安を
解決するためには、①貯金ではなくNISAを活用して株式投資をすること
②都会を離れ地方へ行く、ということ。

それなりに老後がやばいことを示唆しているのである。

「百年安心」のはずの年金制度について見れば、現状積立金が150兆円
あるものの給付が増えて25年後には枯渇する運命にある。

そこでこれを増やそうとGPIFは株式比率を高めているところ。

つまり個人も年金資産も日本株だのみが進んでおり、老後の30年は
「株上がれ」を連呼して暮らすしかない。

日本の懐事情はかなりお寒く老後不安の解消など夢のまた夢か。


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2100年

過日厚生労働省が発表した人口動態統計によると
年間の出生数は91万人と1949年の269万人の
ほぼ1/3へと減少した。

特殊出生率は1.42と低位安定しているものの、
団塊ジュニアが40代後半となり分母となる子供を産める
女性の数が減っていることが大きく作用している。

かといって社会が世知辛くなり安心して生み育てる環境が
整備されない現状において劇的に人口が増加する可能性は皆無だ。

いよいよ人口減少による社会激変は待ったなしと言うことだ。



戦後の人口予測が2010年に1億3千万人をピークに減少に
転じるとしていた通り、相場の予測と異なり人口予測は当たるものだ。

したがって現在のゼロ歳児が80歳になる2100年に、世界の
流れに反し日本の人口は減り続け5千万人と明治半ば頃の水準になる。

そして日本人の半数は東京に集中し、地方都市は消滅することになる。

つまり目下10万人程度いる市町村の大方は2万人程度になり、
それ以下の小規模の村落などは見る影もなくなることになる。

と言うことで何だか先行き昏くなるのだが果たしてそうか。



今年のNHK大河ドラマは全く人気なく、代わって同時間帯に
放送されている「ポツンと一軒家」と言う番組が大いに流行っている。

番組のコンセプトはいたって簡単そして安価なつくりで、グーグルマップで
見付けた人里離れた1軒を探してその住人の生活ぶりを紹介する番組だ。

たいていの場合は集落から10キロ近く離れた場所で7~80代の
老人が棚田を耕すなどして自給して暮らしている。

ということで病気の場合などの不便やクマに遭遇することは
避けられないが、多くの人はそれなりに満足して暮らしている。

特に通信機器の発達により快適に暮らしている人の例もある。

つまり人口減少社会をポツンと一軒家が増える社会と考えれば、
考え方次第では案外快適に暮らせるのかも知れない。

遠い将来を案ずるよりは産むがやすしか。



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皇室観

御即位一般参賀には14万人もかけつけたが
日本人の皇室への思いの深さにはただただ驚く。

とはいえ国民の皇室観は戦後70年において随分と変わった。

昭和の皇室観と言えば天皇制の是非を巡るものが中心で、
右翼・保守が天皇制擁護派、そして左翼・革新が批判派
に大別された。

ところが平成を通じ天皇がリベラルを前面に押し出し
民間出身の美智子皇后の人気も加わって国民の皇室観は
肯定ムードを強めた。

今や革新系が天皇への親近感を示す一方で、安倍首相に
代表される保守層がともすれば距離を置くように見える。

実際かかる保守層は女性・女系天皇を巡る議論を封印し
明治天皇の流れを汲む旧宮家の復活を辞さないとのスタンスだ。

それだけに昭和天皇系とも言うべき現在の皇室に親和を
感じる大半の国民は現政権の皇室への姿勢に違和感を
禁じ得ないのである。



即位の祝賀行事を通じて最も驚いたことは、上皇を除くと成年の
男子皇族が天皇・秋篠宮・常陸宮の僅か3名しかいない事である。

このような皇室先細りの状況下半年後には女性・女系天皇の
議論が再開される見込みだ。

とはいえこの本質的な議論を横目にネットでは一足飛びに
次期天皇に愛子内親王か悠仁様のどちらを選ぶかへと移っている。

その人気投票の結果は内親王を支持する向きが7割と
圧倒しているのである。



このような人気投票の背景には、秋篠宮の体調不良や教育のまずさ、
紀子妃のハラスメント、小室問題など
同宮の人々の自業自得とも言えそうだが、
ネガティブキャンペーンを仕掛けている黒幕が誰かかも気になる。

その真相は不明としても愛子内親王の人気を無視
することも出来ないだろう。

現在の天皇は権力はないものの象徴としてその権威は
絶大であり、また皇室は国民の支持なしでは存続しえない。

つまり現在の国民の皇室観からすれば男系男子に拘らず、
女系・女性天皇の道を開くことを否定することはできない。




上級国民

過日池袋で12人を巻き込んだ交通事故が発生し、
31歳の母と3歳の女児が死亡した。

その絶望の淵を漂う父親の記者会見は余りの気の毒さで
ふつふつと加害者への怒りが沸き上がってきた。

そしてそれ以上の怒りが加害者である87歳ドライーバーに対する
警察およびマスコミの特別扱いに及んだ。

本来このような加害者については即刻逮捕であり、報道も
呼び捨てもしくはせいぜい名前の後に容疑者をつけるのが普通のはず。

実際翌日神戸・三宮で2人を死亡させたバス運転手は直ちに身柄が
拘束された。

しかし池袋の場合は「飯塚さん」とさんづけで報道し、そして病院で
加療した後任意で事情聴取するといった特別扱いとなっている。

その違和感は多くの人が共有しているようで、今SNSではこの加害者への
警察およびマスコミの忖度に対し批判が殺到しているのである。



加害者は通産省の高級官僚でクボタに天下りしさらに勲章を授与され、
SNSによれば上級国民に分類される人とのこと。

したがってこのキャリアに対して警察・マスコミがおもねっている
ように映り、国家の権力が影で動いているのではないかとも憶測される。

事実事故発生時に加害者は119に電話するどころか、直ちに息子に
連絡し対応を相談したとも伝えられる。

その結果即刻自宅電話が解約され、SNSなどすべてが削除される
手際の良さが非難の声を高める原因となっているのである。



この胸骨を骨折したという87歳の加害者は病院において
今何を考えているのだろうか。

これまでのところ被害者に対する謝罪もないようだし、
一切は保険会社まかせで賠償金を支払って終わりとする可能性が高そうだ。

そしてこの高齢ではせいぜい在宅起訴どまりで、
どのような判決が出ても拘留されることもないだろう。

つまり結審を待つ間に意識はもうろうとしてくる可能性
もまた否定できない。

今回の事故で感じたのは、①被害者は浮かばれず気の毒、
②罪をも償えない高齢者は運転を自粛すべき、③法の下に国民は平等であり、
上級国民などの身分制があってはならない、ということだ。


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プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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