パルムの僧院

「パルムの僧院」を読みだして早1か月。

フランスゼミの課題本であり読まなければならないのだが、
なかなかはかどらなくて往生している。

この作品はスタンダールが北イタリアに行き、
50日間にわたる口述筆記により完成させたものとされている。

あらすじはナポレオン戦争前後の貴族の青年と公爵夫人
および貴族の娘との恋物語。



舞台のパルム(パルマ)はロンバルジア平原の中心部にあり、
物語りはミラノやコモ湖にある別荘で進んで行く。

その時代のパルマ公国と言えば、小説と異なりナポレオンの妻で
夫の死後大公となったマリア・ルイーズが統治していたところ。

マリア・ルイーズはハプスブルク家の皇女で、子供の頃から
ナポレオンに2度もシェーンブルン宮殿を追われるなど、
ナポレオンを憎んで育った。

その後その相手との結婚を余儀なくされたのだから
気の毒な人だったと言えるだろう。

結局ナポレオンとの間に男子(ナポレオン2世)をもうけるが
夫への愛情は薄かったと言われるのもやむなしか。



ナポレオンがエルバそしてセントヘレナに流されて以降
ウイーンに戻るが、ウイーン会議が終わると間もなく
パルマに行き、同地の伯爵との間に極秘のうちに2人の子供を産む。

したがってパルマから数百キロも離れたウイーンの王室で暮らす
ナポレオン2世と疎遠になり愛情が薄くなるのも無理はない。

そのナポレオン2世と言えば、小公子然としてとても
可愛かったようで、その後りりしい軍人に育つ。

本人は父を尊敬しており、仇敵で母の実家であるハプスブルク家の人々の間で暮らすのは
つらかったかも知れない。

結局無理がたたり結核に侵され、僅か21歳の短い人生を閉じる。

このようにパルマと言えばナポレオン家にまつわるドラマが頭をよぎる。

スタンダールには悪いが「事実は小説よりも奇なり」と言う
格言が思い出される。



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マチネの終わりに

丁度1年前に刊行された平野啓一郎の
「マチネの終わりに」を読んだ。

毎日新聞の連載小説だったそうだが、久方ぶりに
大人の恋愛小説を堪能することができた。

38才のギターリストと40才のユーゴスラビアと日本人の
ハーフの美人で理知的な女性ジャーナリストの純愛。

通奏低音としてギター曲、たとえばアランフェス協奏曲など
が流れ、また演奏家の苦しみそして技法などマニアックな内容が
描かれるなど、音楽ファンには楽しみが倍加しそう。

恋愛小説にはお決まりの恋路を邪魔する卑劣で鈍感な女が登場し、
筆者は怒り心頭に達しその女を呪いつつ一気に読了してしまった。



平野啓一郎は大学時代に「日蝕」でデビューし芥川賞を受賞
したが、今や42歳。

これまで取っ付きにくい作家との印象が強かったが、
家族3人を抱えてちょっと読みやすい、つまり売れる本へと
舵を切ったと言われるのも頷ける。

イラク戦争、リーマンショック、東日本大震災を下敷きに、
パリ、ニューヨーク、東京、長崎へと舞台は展開する。

構成力も秀逸で、今回は本屋大賞は逃したが、
渡辺淳一文学賞を受賞したのは当然。

たまには恋愛ものをと思う方には是非ともお勧めしておきます。



最終章に入り残る頁が減って行くに従い、その顛末がどうなるか
はらはらしながら読み進んでしまった。

そして最後のシーンはマチネの終わったセントラルパーク。

二人がどうなるかはここでは明かせないが、
お陰で余韻を楽しんでいるところ。

今回の小説から学んだ恋愛のイロハと言えば、
PC,携帯のメールに頼らずに、重要なことは面と向かって話すこと。

もしこんな素敵な女性に出会ったら、ぜひその教訓を生かしたいと思う。



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わが友

朝吹登水子さんの書いた
「わが友 サルトルとボーヴォワール」を読んだ。

それは50年前にサルトルとボーヴォワールの来日に伴い
パリからお供した時の記録。

そしてその後二人が亡くなるまでの15年余りの
交遊がしたためられている。

ふたりは慶応大学の招待で来日し、京都、倉敷、九州などへと
講演旅行を続けた。

ホテルオークラや京都の俵屋など各地の宿舎で
毎夜ウイスキーで晩酌していたようだ。

ふたりの関係は対等で、日本の文化、会った人、身の回りの出来事など
いろんなことに興味を持ち議論しては思考を深めていた様子が綴られている。

ちなみにサルトルは清水寺から下る三年坂を
「最も美しい散歩道」と言って気に入っていたようだ。



帰国後も交友は続き、最晩年に体が不自由になったサルトルを
何度も見舞ったことや二人を我が家に招待したことなどの思い出が
散りばめられていた。

実際有名人のサルトルとカフェで話していると、いつの間にか
周辺の人は聞き耳をたて、場合によってはサルトルの真後ろの席へと
移動してくることなど日常茶飯事だったようだ。

今二人はモンパルナスの墓地に仲良く眠っているものの、
訪れる人は引きも切らずで落ち着けないかも知れない。



肝心の朝吹さんはサルトルから自らの履歴について
小説にするよう再三勧められていたとのこと。

それが「愛の向こう側」として出版されたのが1970年代後半頃で
サルトルが帯に推薦文を書いてくれた。

朝吹さんは一度お見掛けしたこともあるし、軽井沢の睡鳩荘を
訪れたことがあるのも何かの縁。

しばらく朝吹登水子・由紀子母娘がライフワークとして取り組んだ
F・サガンの作品集を読んでみるのも悪くなさそうだ。


ps

さらに白石浩司「サルトルの時代」によれば、「結婚は物質的なものではなく
愛情による」として二人は契約結婚した。

また二人とも余り子供が好きでなく、
一方恋人は何人かいたようだ。

その結婚観は独特で一般常識人の理解を超える。


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何がめでたい

あの若大将加山雄三も80歳を迎えた。

歌に絵にそしてヨットにとその才能を全開させているが
4月には有楽町・国際フォーラムで5000人を集めてコンサートをするようだ。

ちょうどテレビで83歳の黒柳徹子と対談していたが
両者ともに口達者で元気一杯。

男80ともなればよぼよぼのイメージしかなかったが
こんなに若々しくはつらつとしているのもありのようだ。

ちょっと気分が明るくなり、秘かに頑張ろうかとも思う。



そんなおり「90歳、何がめでたい」が50万部を突破して
話題の佐藤愛子と黒柳徹子の対談をまたまた見た。

93歳ながら美しく着物を着こなし、歩く姿も若々しく
口紅を引いておしゃべりも魅力的。

まさに一時代前の70歳というイメージで驚くばかりだが、
高齢化が進むこれからはこんな人が続出してくるのだろうか。



年金資金の枯渇が避けられない中で、政府の意図を反映してか
老人学の専門家たちにより65~75歳は准高齢者に格下げされ、
これからは簡単には高齢者になれない時代となった。

一方平均寿命は延びているものの健康寿命が男71歳、女74歳と
停滞しているのが実情で、男女とも晩年の10年ほどは不自由な生活を
余儀なくされる。

加山雄三や佐藤愛子に負けず死ぬ日まで健康に暮らしたいものだが
人生計画通りに進まないのが悩ましい。

ついてはこの先人たちから何を学ぶべきか。

曰く、健康法は寝ることで、くよくよしないこととか。

さらに言えば人に見られているとの緊張感つまり現役であることが元気の
秘訣なのかも知れない。


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フランスゼミ

仏文学とは何十年も無縁に暮らしてきたが、
「代田フランスゼミ」と言う読書会の存在を知り
早速体験入門した。

月1回の集まりで、毎月1冊を選び議論する。
もちろん原書で読んでも良いが、訳書でOKとのこと。

参加者は15人位でかつてボーボワールやサガンなど
に傾倒する女子学生だったに違いない女性陣が半分以上。

30年前にルソーの研究家の小林善彦東大名誉教授を中心に
始まったそうで、今はその弟子の田村さんがゼミ幹。



今回はラディゲ「ドルジェ伯の舞踏会」で、若い主人公と
人妻そしてその夫との三角関係がテーマ。

ちなみに20歳で夭逝したラディゲの「肉体の悪魔」を読み、
その早熟ぶりに筆者は驚いた記憶がある。

したがってゼミでの話は恋愛論におよんだのは当然で、
また大学のゼミと違うところか。

ということで文芸評論はだめでも恋愛論ならば何とかなるか。



ちなみに自らの学生時代の仏文学の遍歴を思い返してみたが、
印象に残る作家と言えば一に「モンテクリスト伯」の大デュマで、
大きく離れてロマン・ロランやスタンダールが続くと言ったところか。

今年の読書計画に依れば、ゾラやベルクソン、ミシュレ
それに「失われた時を求めて」のプルーストら。

どこまで理解と共感ができるか分からないが、1年限定で
これらの作家と付き合ってみようかと思っているところだ。

PS。

ところで3月のテーマであるジュリアン・グラック「シルトの岸辺」を
読んでみたところ、詩的と言うかシュールと言うか暗喩、比喩が
多くてよく理解できない。
やっぱり純文学は手に余る。

フランスでも有数の文学賞であるゴンクール賞を辞退したことで
有名な作家で、またサルトルに並ぶとも言われているらしいが、
その良さが分からない。

混迷の一年を送りそうだ。






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プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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