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世界史

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パリ在住の竹下節子さんから近著「神と金と革命が作った世界史
ーキリスト教と共産主義の危険な関係」(中央公論新社)を送って頂いた。

毎年この時期に1冊づつ新刊書を頂いているが
音楽家としても多忙の中でこれだけの内容のものを
上梓できる能力については今更ながらに驚く。

まあ自らの尺度で考えるのでその能力に感心するのだが、
ご本人にとってはさしてどうと言うこともないのだろう。



ともかく一読したが内容が濃いだけに理解は十分ではなく
あらためて精読する必要がありそうだ。

アリストテレスと自然法から書き起こし、キリスト教そして西洋思想史の
系譜をたどりつつ、ロシアから南米、アジアなど様々な地域を巡り
キリスト教と共産主義を軸として思想の歴史を辿る。

特に神と金(カネ)と革命思想は共闘と排斥を繰り返し、三すくみ
のメカニズムが続いたとする。

そして副題にあるようにキリスト教と共産主義の関係についての
考察が今回の主なテーマだが、お陰で日本、中国、韓国など
アジアにおける近代思想の流れも良くわかる。

日本で言えば内村鑑三や志賀義男、中国では康有為や陳独秀、
朝鮮では金日成など知った名前が登場するのはうれしい。

と言うことで親近感のある人たちの登場でアジア編を楽しく感じるのは
やはり自らがアジアの人間の故だろううか。



人類500万年の歴史において数千億人が誕生しては死亡し、
また過去5千年においてメソポタミアに始まり世界に1000を
超える王朝が興亡した。

したがってヘロドトスや司馬遷など歴史は様々な人により
様々な切り口によっておびただしい数のものが書かれてきた。

今回の竹下さんの綴る世界史はまったく新たな切り口であり
極めて新鮮なものとなった。



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安曇野

政府税制調査会会長や一橋大学学長を務めた
財政の専門家である石博光氏が亡くなった。

この人は財政再建を主張してきた人で財務省の
財政再建論に影響を与えてきた。

朝日新聞の訃報記事によると、同紙のコラム「経済気象台」において
長く「安曇野」のペンネームで執筆してきたとのこと。

山歩きをした人ならではのペンネームではないかと思った次第だ。



「安曇野」と言えば学生時代に臼井吉見のノンフィクション小説
「安曇野」を読んで以来好んで訪れてきた。

これは新宿・中村屋の創業者である相馬黒光を主人公としたもので、
ヒロインが東京の女学校を退学し山また山を越えて安曇野に
嫁入りをするところから始まる。

明治前半の山深い里にハイカラな女性がカルチャーショックを
受けたのは当然だったろう。

一方地元ではパラソル姿が驚きを持って見られたのも無理からぬところで、
少年時代の彫刻家・荻原守衛(碌山)が恋心を抱いた。

後年碌山がロダンの下で修行を積んで帰国するが、
その代表作で碌山美術館に展示されている「女」のモデルが
相馬黒光と推測されるのもうなずけるところだ。



時代がくだって次女家族が2年ほど旧制松本高等学校の
キャンパスの傍に暮らしていた。

お陰で再三松本に足を運ぶことになったが、日々常念岳が時には
穂高や槍などの景色を楽しむことが出来たのは余禄みたいなもの。

特に大雪が上がり青空が広がった朝、糸魚川から南小谷を経由して
大糸線を松本まで南下した時には、中央アルプスの山なみの余りの
神々しさには感動したものだ

アルプスの山なみそして麓に広がる安曇野の風景を思い出していると
「あずさ」に乗って松本に出かけたくなってきた。


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天子蒙塵3

浅田次郎が西太后とその宦官・李春雲の主従を主人公に
「蒼穹の昴」を書き出してすでに22年。

「珍妃の井戸」「中原の虹」「マンチュリアンレポート」そして
「天子蒙塵」とこれまで5部11巻にわたり清朝の歴史を綴ってきた。

今回読んだのが第11巻{天子蒙塵」で残すは今秋発売予定の
第12巻のみとなり物語も1930年代といよいよクライマックス。

現在主人公の溥儀は再度皇帝となることを夢見て天津から
新京へ移って日本国の傀儡となっている。

そしてもう一人の主人公で張作霖の息子張学良は満州の
支配権と軍隊を蒋介石に譲り英国ブライトンで落魄の日々。

この二人の天子がいよいよ塵埃にまみれて行く姿が描かれる。



日本、朝鮮、モンゴルに建国神話があるように中国のどの王朝も
その正統性を担保すべくその一族の神話が存在する。

中国東北部で力を蓄えた女真族の愛新覚羅家も同様で
17世紀前半長城を超えて漢民族を支配するためには
それなりの神話が必要だっただろう。

その神話を浅田次郎はさすがと思わせる筆致で描いている。

その内容はかいつまんで言うと、3人の天女が地上に降りてきて
沐浴していると、一羽の鵲(かささぎ)が飛んできて嘴に加えた
赤い実を羽衣のひとつに落した。

そして天女の一人がその実を呑み込むとみるみる体が
重くなり天に飛ぶ立つことは叶わず、ついにひとりの男の子
を産み落とした。

それが開祖ヌルハチで生まれてすぐに勇者のいでたちとなり
突然満州の言葉をしゃべりだしたと言う。

そのヌルハチが後金国を建て、その孫の順治帝が紫禁城に入り
中国全土に覇を唱えることになる。



愚帝が続いて亡国の憂き目を見た明と異なり、
賢帝を輩出することになるのが清朝の特色だ。

愛新覚羅家は代々多くの子供に恵まれたことがこの王朝隆盛の
背景であり、その後も康熙帝や乾隆帝などが続くことになる。

とはいえその血脈も貴種化が進むにつれてその力強さが
衰えて行くのは世界中の王家に見られる傾向で、清朝も19世紀になると
後継者不足に至ってしまう。

溥儀も張学良もこの歴史的傾向に逆らえず先祖に比べ洗練されているものの
ひ弱でアヘンに手を伸ばすことになるのはやむを得ないところか。

ともかく浅田次郎のお陰で長きにわたり清朝の物語を楽しんだが、
作者も60代後半となりライフワークを完結するにふさわしい
年頃になったと言うことだろう。


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花の図鑑

史上最速と言われた梅雨明け宣言は一体何だったのかと
思わせるように日本全域において大雨が降り続いている。

お陰で梅雨の中休みの暑さから逃れることができたので
文句は無いのだが・・・

雨の中街中を歩いていると道端には様々な花が咲いている。
名前は知らないが、可愛いので思わず写真を撮った。

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立てばシャクヤク 座ればボタン 歩く姿はユリの花

と言われるように女性はしばしば花に例えられる。

これを小説にしたのが阿刀田高の「花の図鑑」で、
プレイボーイが次から次へと女性を花にたとえつつ
アプローチする話。

1990年頃の日経新聞に連載されたもので通勤列車で
読むには軽くてそれなりに人気が出た。



そして6月の「私の履歴書」はこの作家でその代表作として
自ら挙げていたのがこの作品である。

阿刀田高の作品はほとんど読んでいないので評価する資格はないが
その人の履歴書は小説風に仕立てているものの平岩弓枝の時も
同様に、その人生は作品と比べてドラマ性が乏しく途中で読むのをやめてしまった。

多くの場合、小説は事実よりも奇なりなのだ。



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アレクサンドロス

世界の英雄と言えばハンニバル、カエサル、チンギスハーン、
ナポレオンなどが挙げられるが、彼ら(チンギスハーンを除く)が英雄と
崇めたのがアレクサンドロス大王、(英語ではアレキサンダー大王)だ。

紀元前4世紀の人でギリシャ辺境のマケドニア王の子
として生まれ20歳で父の後を継ぐ。

当時ギリシャはペロポネソス戦争の後でアテネはスパルタの
属国化して往時の勢いはなくなっていた。

そのような状況において32歳で死去するまでギリシャを統合し、
エジプト、ペルシアを征服しさらにインドまで遠征した。

自らが戦略家であるとともに武芸に秀でていた点も英雄たちが
あこがれた英雄であったということだろうか。



塩野七生氏の「ギリシア人の物語」の第3巻「新しき力」を読んだ。

多分塩野氏が50年に渡った作家生活の中で挑む
大作の最後になるとも言われており、それなりに心して読んだ。

この人の英雄好きは相当なもので、とりわけカエサルについては
1巻に止まらず2巻におよぶほどだったのだ。

アレクサンドロスの遠征により西洋文化がオリエント文化に
触れることになりヘレニズム文化が生まれたが、自身も
ペルシャの王を名乗るとともに専制君主の色合いを強めた。

ともかくその偉大さは特筆される人だったと言うことだろう。



ところで日本の英雄と称される西郷隆盛。

目下「西郷どん」は徳之島からさらに沖永良部島に流されて
生死の境を彷徨うなど依然英雄とはほど遠い状況。

その中で「ナポレオン」という西洋の英雄の存在とフランス革命
に接するという筋立てなのだが。

7月以降のドラマは、薩摩への帰還命令が出てさらに京に上り
英雄の道を歩くと言うことだ。

果たしてどうなるのか。

そして西郷どんが古今東西の英雄と肩を並べうる人なのかどうか
最終回まで見終わった時点で決めたいと思う次第だ。



プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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