ヤタガラス

過日埼玉スタジアムでハリル・ジャパンはオーストラリアに快勝し
見事ロシアワールドカップへの切符を手にした。

小学2年生の孫息子もサムライブルーのユニフォームを着てテレビ応援し、
さらに翌日その姿で登校したように小学生たちは大盛り上がりした様だ。

ところでこのユニフォームには導きの神そして太陽の化身とされる
三本足の八咫烏(ヤタガラス)がエンブレムとして縫い付けてある。

このカラスは神武天皇東征の折りに熊野から大和の国への道先案内を
したと言われるなどの縁起物で、今も日本代表は出陣の前に熊野三山に
お参りに行くとのことだ。



この三足カラスは、大陸、朝鮮半島でもその神話・伝説に登場する。

現在テレビで観ている韓流ドラマの主役・チユモンも三足カラスの
化身とされており、その軍旗にはこの三足カラスが描かれている。

実際高句麗(北朝鮮)の墳墓や日本のキトラ古墳などの壁画には
三足カラスが描かれているとのこと。

つまり前漢時代の三足カラスの伝承が、朝鮮や日本に広がったのだ。



紀元前後の前漢の文化が半島を経由して日本に伝わるのは、
5~7世紀ぐらいだろうか。それともそれ以前か?

663年に日本が白村江で敗れたあと唐・新羅の占領軍が
やってきたが、遅くともその頃までに大量の大陸文化がもたらされていたのだろう。

実際日本国を作った藤原不比等の父中臣鎌足は百済からの
帰化人とされ、天智天皇からその功績に対し藤原の姓を下賜された。

そして不比等が記・紀を編纂して神話をさらに律令国家を作る。

この結果、表には天皇家が立つものの、裏では完全に藤原家が縁戚関係を
背景に300年にわたり国家を支配することになる。

そして桓武天皇も母が百済からの帰化人であったことから、その末裔たる
現代の天皇家も同様に朝鮮の流れを汲んでいることは明らかだ。

どちらにしても日本は歴史的・文化的に大陸そして半島の延長に
あったということだ。


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世界無形遺産

「シベリア抑留」は戦後満州にいた日本兵など推定70万人が長期にわたり
極寒の環境下においてロシアにより強制労働を課された事実だ。

この事実が資料・写真などとともに国連教育科学文化機関(ユネスコ)の
世界記憶遺産に登録されたが、ロシアは「乱暴に歪曲している」と批判している。

この根拠は、ロシアは終戦日を9月2日としており、それ以前の拘束は
「抑留者」ではなく、合法的な「捕虜」であるとのこと。

このように記憶遺産の登録は歴史の認定に関わるものであり、
関係者に様々な波風を立てることになる。

現在ユネスコが登録する遺産には、世界遺産、世界記憶遺産
そして無形文化遺産があるが、今やそのお墨付きを得ることで
様々な利益誘導を図ろうと各国ともに必死だ。

それにしても文化、芸術を振興し平和な社会を願うユネスコによる
これらの事業が経済目的に止まらず政治利用される例が
近頃目立ち紛争の火種となっているのは本末転倒とも見える。



前述のシベリア抑留以外に日本が絡む最近の例では「明治日本の産業革命遺産」
の登録において強制労働が行われていた事実について韓国の主張が通り
日本が外交的敗北を喫したとして問題化した。

そして40万人いたとされる「慰安婦」の歴史が韓国から申請され
来年にも登録される見込みだ。

今後日韓さらに中国を含めた三国間において、歴史認識問題は
ユネスコを舞台にますます激しさをます勢いだ。



日韓同様に日中のせめぎ合いも激しい。

一説には30万人とも言われる南京大虐殺事件が
中国により申請され登録された。

これを受けて日本はユネスコから手を引くべきだとの
強硬意見も聞かれる。

ユネスコの拠出金は米国の22%に次いで日本が11%と2位。
しかし中韓にしてやられてばかりいるので不満が高いのは事実だ。

「心の中に平和のとりでを築く」ことを合言葉に始まった
ユネスコも設立後65年を経過して
巨大で有力な機関へと発展した。

その結果平和を築くよりも争いの原因になりつつある現状、
ユネスコのあるべき姿を見直す時期に来ているのではないだろうか。



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軍艦島

過日軍艦島などが「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」
として登録するように国際記念物遺跡会議(イコモス)がユネスコに
勧告したと報道された。

7月には遺産に決定する運びとなるようで地元民は観光振興、
町の活性化という事で大喜びだが、これらの遺産がどの程度
価値があるのか筆者は寡聞にして知らない。

韓国は強制連行があった地として登録反対を訴えているが
そのことは横に置くとして、これらの地域が石見銀山や中尊寺などと共に
「世界遺産」なるものに選ばれるに妥当なのか疑問だ。

いや「世界遺産」そのものがそんなに有難がるほどの
価値があるのかちょっと考えてしまう。



約20年前に白神山地や屋久島が世界自然遺産に選ばれた時
自然が守られると思い嬉しい気持ちがした。

そして法隆寺や京都などが世界文化遺産に選ばれた時も
世界的にも価値のある遺産として当然かなと感じた記憶がある。

その後富士山などの決定に至る選考過程を聞くに連れ
興醒めしてしまった。

すでに文科省に特別な組織ができ、観光地を有する
多くの自治体が陳情すべく列をなしているのだ。

その行き着いた先がまず「日本遺産」に登録して(つまり日本での予選)、
勝ち抜いたものが決勝戦つまりユネスコに申請するようなシステムが
出来上がっている。

当然この陳情には政治家が蠢動し、様々な利権がからむ
ところとなっている。



すでに世界遺産は1000近くとなり、地元のフランスやイタリアは満杯で
アジアなどへと拡大しているようだが、お蔭で日本では狂騒が続いている。

今回の軍艦島などが安部首相の地元絡みと聞けば妙に
納得もしてしまうが。

世界に認められたい、そのお墨付きが欲しいというのがこの狂騒曲の
背景にあるとすれば、そろそろ西洋崇拝を卒業すべきではないか。




八紘一宇

過日の参議院予算委において、自民党の三原じゅん子議員は
世界的な租税回避の動きを封じようとの発言を行った。

その中で「グロ―バル経済の下で日本がどう振る舞うべきかは
八紘一宇の理念の中に示されている」と唐突に大戦中のスローガン
を引用した。

戦後忌避されてきた「八紘一宇」を肯定的な意味で使用し、
しかも安倍首相にこの理念の発信を提案した。

三原氏のその後の発言によれば「八紘一宇」とは「みんなで仲良くし、
ともに発展していく和の精神」との解釈を示し誤用ではないとした。

しかしこの「八紘一宇」はそんなにお気楽な解釈で
国会において無神経に使われて良いのだろうか?



「八紘一宇」の由来は日本書紀にあり、神武天皇が
「八紘(あめのした)をおおいて宇(いえ)にせんこと、
またよからずや」と語ったとされている。

つまり、地の果てまで一つの家とすることは
良いことではないか、との意味になる。

この歴史を基に、大正時代の国家主義者・田中智学は「八紘一宇」を造語し、
「日本が盟主となってアジアを支配する」という文脈で使われるようになる。

実際第二次近衛内閣の「基本国策要綱」において「八紘を一宇とする精神
にもとづき先ず皇国を核心とし、日満支の強固なる結合を根幹とする
大東亜の新秩序を建設する」と公式に記述されるところとなり、戦争推進の
国民的スローガンとして頻繁に使われた。

従って「人類皆兄弟仲良くやりましょう」との三原氏のような
勝手な解釈による無神経な使用は厳に慎むべきと言えようか。



それでなくとも安倍内閣を支持する右寄り勢力は、靖国神社参拝
はじめ右翼的なパフォーマンスを演じ猟官運動を行っており
三原発言もこれと同類かと思われる。

時同じくして、与党内において安保の新解釈が決着し
いよいよ自衛隊の海外活動に向けてレールが敷かれた。

これにより今後東アジア特に中国との有事に備え、
米国と日本の共同戦線が一層強固にされることとなる。

それでなくとも戦後70周年の追悼の年であり
東アジアにおける日本の行動が注目されているところ。

そんな中で戦時のスローガンが生き返ってくることに、
そこはかとない不安を禁じ得ない。





桜花

啓蟄の今日桜の開花情報が出た。

東京は3月26日開花、4月2日満開と
春は間もなくのところに来た。

本居宣長は

しきしまの やまと心を 人とはば
 朝日ににほふ 山ざくらばな

と詠み、日本人が持つ純粋無垢な心情
つまり大和魂をこのように表した。

しかし新渡戸稲造が大和魂を武士道の神髄としたことから、
桜と旧日本陸海軍のイメージがダブルこととなった。



過日フィリピン沖にて1944年10月に沈んだ戦艦「武蔵」が
マイクロソフト共同創業者により発見された。

このレイテ沖海戦により南方戦線の日本軍はほぼ全滅した。

44年夏、南方における苦境を一気に挽回すべくビルマ・インド方面でも、
英国軍から蒋介石への補給路(援蒋ルート)を断つべくインパール作戦が
強行されたが、10万に及ぶ全軍は消失した。

このような相次ぐ作戦ミスによる敗戦の事実が国民に
伝えられる訳もなかったが、政府・軍部においてもその分析や
責任の所在が明らかにされることもなく秘匿された。



今政府・国会では自衛隊以上に自衛隊を出動させたい勢力が
その海外派遣に関し熱い議論を行っている。

それは前線の実態を把握せず、現場を無視して
大本営が作戦を立案し暴走したことと重なる。

大和魂とは決して日本軍が保持した蛮勇的精神を意味するものでなく、
昔も今も純粋無垢な日本人の心と解されるべきである。

間もなく桜の枝はピンクに染まり、桜花が芽吹く。

好みは人それぞれだが、桜の素晴らしさはやはり散りざまか。
桜花は人の命に限りがある事を物言わず教えてくれる。

散る桜 残る桜も 散る桜 (良寛和尚)



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プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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