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大脱走

正月三が日の天気はいたって穏やか。

お陰で老夫婦二人でおせち料理とお餅を食べながら
静かに暮らした。

特に今年は娘家族は共にスキーに忙しく、長女が大晦日に
そして次女は正月明けにくるといたって変則的な日程も加わった。

ということで例年通り元日はアフターヌーンティーに日比谷へ
そして二日は松陰神社へ初詣に出かけた程度。

その他の時間は箱根駅伝三昧で往路2位、総合で3位に躍進した
国学院大学を11時間にわたり応援して過ごしたのである。

その理由は家人の同級生にこの大学の歴史の先生がいて、ゼミ生が主力選手で
この新興勢力の内情を聞いていたせい。

さらにレース中ラインでリアルタイムに様々な情報が送られてきていたからだ。

何とこの先生は正月早々箱根湯本まで応援に行ったのだから
教授職も大変というか楽しいというか。

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(雑踏の松陰神社)

今年も多くのTV局は特別番組を組んでいたが
どれもわざとらしい作りで感動は乏しい。

そのフィクションのつまらなさを吹き飛ばしたのが駅伝であり
何よりもゴーン日産元会長の大脱走劇だった。

逃亡を描いた秀作と言えば007でコントラバスのケースに身を潜めて
雪山を逃走するシーンやモンテクリスト伯のイフ島からの脱出劇か。

とはいえ今回の脱出の謎とスリルは150年前の大デュマを
超えるほどのインパクトで思わず喝采してしまった。

今回フランスでは一部富裕層を憎む人達が非難しているものの
75%以上の人が非人道的な国からの脱出を支持しているとのことだ。

日本の司法当局は地団駄を踏んでいるとのことだが
明治時代から続く人権無視の検察取り調べについては日本でも批判は根強い。



目下日本は正月休みで政府の見解も出されておらず、
またマスコミも海外報道頼み。

ということで今後予想されるのは日本政府は身柄引渡しをレバノン政府に
求めるのだろうが政府VIPの引き渡しの実現性はいたって乏しい。

日本は人権無視の取り調べに加えてGPS機能を使うなどの国際基準と
比較してその後進性を暴露してとんだ恥をかいたのかも知れない。



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6二銀

藤井七段2018年度の最後の一戦は
中田八段との竜王ランキング戦。

序盤から押しまくられ敗色濃厚の中、土壇場に繰り出した
6二銀の妙手で大逆転勝利となった。

コンピューターはすでに95%の負けを予想していたのだが、
この最終盤の103手目が史上に残る一手となったとか。

この結果今年度の勝率は昨年の8割3分を上回って8割5分と
2年連続の最高勝率を飾って高校1年生のシーズンを終えたのである。



実際8割5分と言えば17勝3敗で、これは負ければ座布団
が飛ぶ白鵬とほぼ同様であり、憎いほど強いと言うことである。

1年目こそ下位を相手にすることが多かったが、2年目は上位陣と
の対局が増えているので、文句なしに強いということだ。

実際現役棋士を見ても通算で7割を越えているのは羽生九段と豊島二冠ぐらいで
それだけでもその凄さが推し量られる。

春休みが終われば高校2年生。

あまり勉強に時間と労力を取られなければ一層の
成長が期待できるところだ。




こうして将棋の世界は藤井七段が登場した2年前から盛り上がっているが
囲碁界もまた小4棋士仲村菫さんというホープが登場して注目度が高まっている。

中韓と競うための促成プログラムのゆえの登場らしいが、
未だ身長126センチの可愛い女の子のどこにそんなパワーがあるのか。

井山七冠も自分の小学生の時よりも強いと言っているだけに
将来性は相当のものだろう。

将棋、囲碁ともに高2そして小5の若者に主導される
2019年度は大いに期待してもよさそうだ。



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ブラタモリ

新元号発表まで1週間となった。
新聞各社は他社に先駆けての報道に準備怠りなしというところだろう。

とはいえ大正から昭和への移行時には毎日新聞が「光文」を
スクープしたものの、フライングとして政府に急遽「昭和」へと
差し替えられ面目を潰したという。

ということでその轍を踏まないようにぎりぎりのタイミングでの
号外を各社は狙っているらしい。

最後は31年前の竹下首相と同様に安倍首相が3案の中から
どれを指さすか次第のようだ。

やはり「安」の一文字が使われるのだろうか?



一方平成を回顧する風潮も強い。

その中で文芸春秋4月号は「平成を作った31人」との特集記事を
掲載しているが、その人たちをジャンル別に分類すれば次の通り。

(政治家)
竹下登、小泉純一郎、安倍晋三、
橋下徹、鳩山由紀夫、小池百合子、

(経済)
野澤山一証券社長、柳井正、孫正義、

(犯罪)
麻原彰晃、少年A、堀江貴文、

(スポーツ)
野茂英雄、三浦知良、イチロー、貴乃花、浅田真央、
長嶋茂雄、大坂なおみ

(エンタメ)
松本人志、羽生善治、宇多田ヒカル、宮崎駿、
タモリ、木村拓哉

(その他)
毛利衛、横田めぐみ、山中伸弥、鳥羽陸前高田市長、
又吉直樹、美智子皇后

文芸春秋社のこの独断的人選に対し異論、反論、感想をそれぞれ
お持ちになるかも知れないが、まあご参考まで。



意外にそして嬉しく思ったのは平成を作った人に
タモリが選ばれたこと。

「笑っていいとも」は1982年から2014年まで放送されていたが、
当時デイーリングルームの裏の部屋でランチ後はよくこれを
見ながら一服したものだ。

そしてとある日曜日後輩でさる御曹司の結婚披露宴でタモリを見かけた。

翌月曜日の放送で早速その大がかりな結婚式を話題にしていたが、
「怪芸人」の印象が薄れそれ以来の隠れファンだ。

それにしても赤塚不二夫の葬儀では白紙の紙を手に
朗々と弔辞を読んだ。

またブラタモリではその地質学についての造詣の深さを
発揮したりとその異才ぶりにいつも驚ろかされる。

難しいことが多いこの世の中で上質な笑いとユーモアを
提供してくれる貴重な存在に座布団一枚と言うところだ。



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早春の香り

このところ果物屋の店頭にはデコポン、不知火、甘平、せとか、
伊予柑などが並び、まさに柑橘類のオンパレードだ。

お陰で日々早春の味と香りを楽しんでいるが、
同時に伊予は宇和の海と段々畑の風景が思い浮かぶのである。

これまで松山には何度か行く機会があり、そのたびに
「坂の上の雲」や「坊ちゃん」がかもしだす明治の良き空気を堪能してきたが、
そののどかさと温暖な気候はとても心地よい。

ということで毎年この季節になると早春の香りに誘われて
映像でしか知らない松山以西へと心は向かうのである。



そんな折夕食後いつものことでBSテレビをサーフィンしていたら
寅さんシリーズ「寅次郎と殿様」が放送されていた。

40年も昔の作品で詳細の多くは忘れていたが
傑作のひとつとの記憶だけが残っていたので少し見た。

舞台は伊予大洲の城跡で偶然にも藤堂家の末裔で嵐寛寿郎演じる殿様と
寅さんが出会い、愉快な交流が始まることになる。

マドンナは殿様の亡き息子の嫁である真野響子(当時27歳)。

言わずもがなで寅さんは一目ぼれし、その後
失恋話に転じてゆくのはいつもの通りだ。



伊予大洲からさらに西に向かうと宇和島に至るが
さすがに出かけるには不便そうだ。

ここまでくれば九州も見えそうで、豊後水道でとれる魚は
一段と美味しいだろう。

来年こそは春を先取りする旅に出られたらなと思うのだが・・・・


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大往生

平均寿命男性81歳女性87歳という超高齢化社会が到来し
様々な老人問題が発生しているが、この間老人の生きざまに
ついてのドキュメンタリー番組を2本見た。

その一本は「大往生」と題し、訪問診療に心血を注ぐ
小堀鴎一郎医師(80)の目を通した寝たきり老人の実情。

この人は森鴎外の孫で我が家から遠くないところに住んでおられ、
天皇皇后両陛下が訪れたりすることからなんとなく知っていた。

この先生は東大病院で長く外科医を務め、その後病院長を経て
67歳から埼玉県で訪問診療をする自ら生きがいを持つ老人でもある。

ともかく自宅で死にたい多くの人の対応に医師は大変だが、
何よりほとんどのケースが老老介護であり一家がパンクしそうな
状態であることこそ大きな社会問題だ。



そして2本目は「老いてなお花となる」と題した
俳優・織本順吉の記録。

90歳および92歳時の2本の記録を立て続けに見たが、
急速に老いて行くことにいら立つこの俳優が痛々しい。

そして何よりもその老いてゆく姿を放送作家の娘が記録し、
それを世の中にさらけ出すことに驚いたのである。

この人はセリフの覚えが良いことで重宝されこれまで2千本にも
出演してきたが、誰もが顔を見ればわかる俳優だ。

ところが90歳でセリフが頭に入らなくなり、そこで仕事から離れた
もののいまだ現役復帰にこだわり続けている。

とはいえもはや歩くのもおぼつかず85歳の妻と
自宅での二人暮らしは限界というところだ。



小堀氏そして織本氏を通じて見た高齢社会の実情は
身につまされた。

いかに老いを生きそして最晩年を迎えるかと言う個人の尊厳の問題と、
高齢者に対応する社会インフラの欠陥など様々な問題が提起
されていたが、正解を見出すことは難しそうだ。

80歳を過ぎても健康で社会参加できる人は素晴らしいが、
同時に90歳を過ぎてピンシャンしているなどほぼ例外と言えよう。

やはり平均寿命辺りが元気な老人の限界と言うことだろうか。



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プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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