アウトレイジ

北野武監督による「アウトレイジ 最終章」が封切られた。

これまでの「アウトレイジ」、「アウトレイジ ビヨンド」の2作も面白かったが
今回も早く映画館に足を運び3部作の完結編を見たいと思っているところだ。

「outrage」とは暴力とか極悪非道といった意味だが、
まさにこの作品はヤクザの世界を描くバイオレンスもの。

東京の山王会と関西の花菱会の抗争に警察が絡んで
複雑な展開を示す。

しかし現実世界はテロが頻発し暴力に直面する時代を
迎えているだけに、今回で打ち止めにするとのことだ。



北野武の人となりについて嫌う人は多いかも知れないが、
その脚本・監督そして古いヤクザを主演する力量には脱帽。

なによりもこの映画が注目されるのは、現代の名優と言われる人が
網羅され、是非出たいと言う役者が列をなしている故である。

実際第4作があれば仲代達矢をと言われるように、仲代以外の
名優の多くはこのシリーズにすでに出演したと言ってもよいだろう。

これまでの出演者を挙げれば、組長クラスに北村総一朗、石橋蓮司、神山繁
に始まり、西田敏行、國村隼、中尾彬、名高達郎、三浦友和など。

そして若頭クラスに椎名桔平、杉本哲太、大森南朋、ピエール瀧、
岸部一徳、さらに刑事に小日方文世、松重豊などお気に入りばかり。

なかでも特筆されるのは塩見三省と加瀬亮。

塩見三省は「琥珀の勉さん」などで良い人の役柄が多かったが、
この映画では病み上がりながら群を抜く眼光と演技力に圧倒される。

そして加瀬亮もお坊ちゃんの印象しかなかったのに今回の演技は出色で、
撮影中に認められて台詞も出番もずいぶん増えたということだ。

ちなみに極道の妻シリーズとことなり女優はほとんど出ていない。



北野監督曰く、ヤクザ世界もviolenceを除けば現実の
人間世界と全く同じだとのことだが、実際現代政治とりわけ
「希望の党」の周辺でも同様。

目下「女ヒトラー」と言われるなど「排除の論理」を掲げる小池党首
および小池新党はネガテイブキャンペインに晒されて泥船状態。

さらに都議の造反で暴露されたが、都民ファーストは都議から「見かじめ料」や
「上納金」のように取り立て、集会禁止、発言禁止令を出しているとかで
ヤクザやブラック企業も顔負けだとも。

表の世界も裏の世界も所詮人間の集まるところは
どこも同じと言うことか。


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事実と小説

日経新聞はその内容の味気無さを補うためか
家庭欄や文化欄に案外力を入れており時に彩光を放つ。

つい先日朝刊最終頁の連載小説では林真理子の「愉楽にて」が始まった。

大手製薬会社の遊び人の御曹司が主役で、シンガポールで
駐在員の人妻や若い女性との逢瀬を重ねる話だ。

渡辺淳一の「失楽園」もそうだったが、日経新聞は時にこのような
柔らかい路線をとっては読者サービスに励む。

しかし今更という気がしなくもなく、林真理子の衰えぬ不倫願望には
朝から少し胃もたれを起こしそうにもなる。



一方同じページに掲載されている「私の履歴書」9月号の主人公は
作詞家の湯川れい子氏。

この人のあばずれとも見える青春時代そして自由奔放な人生こそ
読んでいても楽しく、まさに「事実は小説より奇なり」なのだ。

目下のところ家には一橋大生から銀行員になった下宿人の「進さん」がいる。

そして「進さん」との婚約を親が決めた。高校時代は少し恋心もあったが
20歳を過ぎた現在8歳も年上のこの人には何ら心がときめかない、と。

もっぱら女優を目指したり英語の勉強のために外人と
付き合ったりそしてジャズ喫茶に通ったり。

さらに不良で予備校生の「直也」に真剣で結婚式間近にもかかわらず神戸へ旅行したり。

彼への思いが赤裸々につづられているのである。



昔東京銀行に為替の専門家として銀行内でその名を
確立していた大先輩に「〇川進」氏がいた。

この人の夫人は作詞家の湯川れい子だとささやかれ、
同時に離婚したとも聞いていた。

この人こそ「進さん」であり、60年も後にこんな全国紙に登場することになろうとは。

もはやすべての人が鬼籍に入られているからこそ湯川れい子も
実名を出して元夫や元彼氏との三角関係を赤裸々に公表する気になったのだろうか。

その事実の迫力にやはり小説は及ばないと言えようか。

他人事のはずなのに不倫へのバッシングが強まる今日この頃、
その凄まじさはちょっと奇異にも映るところでもある。

不倫は悪かそれとも文化か。

瀬戸内寂聴、林真理子など不倫は文化と考える人には湯川れい子に負けず
せいぜい健筆をふるって論陣を張って欲しいところだ。



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夏の思い出

8月も晦日となり秋雨前線の停滞と台風の来襲が予想されるなど
秋の気配が漂い出した。

夏の思い出と言えば尾瀬ヶ原が定番だが、今年の夏は何が印象に
残ったかと自問してもはかばかしい回答は見つからない。

敢えて言えば海外の歴史ドラマを見てドキドキしたということか。

ひとつは以前にも書いたが、朝鮮の国造りを題材にした
韓国ドラマ「チュモン」(全80話)。

そしてもう一つがトルコの放送局が制作した「オスマン帝国外伝」(全50話)。

こちらは帝国最盛期に当たるスレイマン大帝の時代、特にハーレムを
舞台にしたもので、世界各国に輸出されて反響を呼んだ作品だとか。

なるほど全編を通じてエキゾチックで、
また女の恐ろしさに暑さを忘れる作品だった。



600年にわたるオスマン帝国の歴史の中で最右翼に挙げられる国王こそ
スレイマン1世(在位1520年-66年)だ。

その治世下において何度となく外征し、ドナウ川を遡上してブダペスト、ウイーンへ
さらにロードス島を陥として東地中海の制海権を支配し西欧に圧力をかけ続けた。

次の世代においてレパントの海戦(1571年)でスペイン、
ベネチアなどキリスト教世界に敗れるが、スレイマン大帝の時代において
トルコは最も強大化し、世界史においてその名を残した。

そしてドラマはウクライナ出身の奴隷からイスラムに改宗し、
寵妃となり皇子を産み、さらに皇太后に駆け上がるロクセラーナを
中心に展開する。

宮中生き残りをかけての色仕掛けや毒薬の使用は日常茶飯事で、
権謀術数のすさまじさは朝鮮王室はもちろん歴代中国王朝に勝るとも劣らない。

なんともはや「女そして母とは恐ろしい」と思わざるを得ない。



ところで子供のころ、夏休みにテレビばっかり見ていると
いい加減にしなさいと言われたものだ。

しかしテレビドラマの効用は結構あるもので、特に今夏視聴した輸入作品は
もし小学生なら夏休みの自由研究にしたいくらいに内容豊富だ。

いくら本を読んでもその風俗などはわかりにくいものだが
映像は心模様と共にそれらをクリアーに描き出してくれるのでとても有益だ。

このようにドラマを通して異文化に触れ、洋の東西を問わず
人間の本質を目の当たりに出来たことがこの夏の収穫と言うところか。




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オノ・ヨーコ

前衛芸術家オノ・ヨーコの評価は良く知らない。

ただジョン・レノンの妻として注目されていたし、ニューヨークから
時に帰国して軽井沢でひと夏を過ごしたなどとの報道を目にすることがあった。

また見た目とは異なり実は相当のお家柄で、幼少の頃から父の
海外勤務に伴い長く米国で暮らす帰国子女だったことを聞く程度だった。

過日NHKの番組「ファミリー・ヒストリー」でオノ・ヨーコそして
その一族の来歴が詳しく紹介されていたので興味深く見た。



小野洋子の父方祖父は岡山藩士の流れを汲み、苦学してミシガン大学で経済学の
PHDを取り、帰国して同志社教授、日銀を経て興銀総裁になった。

そしてその息子(小野洋子の父)小野英輔はピアノの達人で東大で
数学を修めたが、父の要望に応えて経済を学び直して横浜正金へ。

そして安田財閥の令嬢・安田磯子と結婚して小野洋子が生まれた。
その後家族はサンフランシスコ、NYに渡り長く米国で生活。

小野洋子も幼少の頃に続いて、戦後学習院の哲学科を卒業後
米国の大学で学ぶ。

父は戦前米国そして仏領インドシナのハノイで勤務し、
戦後は秘書室長そして東京銀行初代NY支店長に。

しかし55歳で脳梗塞で倒れ晩年辻堂で療養生活を送り73歳で死去。



この祖父・父と2代続いた国際金融マンそして芸術家
の血脈は小野家に代々引き継がれているとのこと。

確かにオノ・ヨーコの妹・小野節子も世銀・米州開銀で開発金融に
従事した国際金融のスペシャリストで同時に彫刻家。

(その作品は群馬県・渋川の美術館に展示されているとのこと。
 また国際公務員としての奮闘ぶりは、自著「女ひとり世界に翔ぶ」に詳しい。)

またオノ・ヨーコの息子(ショーン・レノン)は作品数は少ないが
音楽的な才能は光るものがあるとも言う。

番組中オノ・ヨーコは(英語の方が日本語よりも楽そうで)英語で、
そして息子は得意でない日本語で話ているのがとても面白くて印象的だった。





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チュモン

朝鮮半島に興った高句麗の建国の歴史を描いた
韓流ドラマ「朱蒙(チュモン)」を毎日1時間見ている。

このドラマは当時韓国で視聴率50%を超えたというだけになかなかの
出来ではあるが、全81回にも及び最終回までの道のりは遠い。

テーマは初代王「チュモン=東名聖王」の国造りの話で、
冒険あり、陰謀あり、恋ありとハラハラし通しだ。

歴史家による時代考証と言った細かいことは二の次にした
山あり谷ありの歴史ファンタジーなのだ。



中国の歴史は5千年、日本の歴史は2600年と言われるが、
韓国の歴史は4千年とか。

かつて半島には「古朝鮮」と言われる国が2千年にわたり存在したという
伝説をもとに、朝鮮民族国家の再興を図ると言う筋書きだ。

(ちなみに近頃北朝鮮は中国に対抗して建国6千年を唱えているが、
その真偽はとてもあやしいのは言うまでもない。)

物語は紀元前1世紀の半島で強力な鉄器で武装する漢が
圧政を敷く中、その支配から逃れ朝鮮民族の国を建てようとする話で
韓国で流行ったのも肯けるところ。

また舞台は北朝鮮から満州に入った、つまり今の遼寧省あたりで進み、
匈奴や鮮卑も出てくるなど一応歴史ドラマの体裁を整えている。



この初代王「チュモン」は異母兄の暗殺から逃れ
高句麗を作ることになる。

そしてこの国は半島南部の百済、新羅と鼎立することになるが、
7世紀に唐・新羅の連合軍に敗れ滅亡にいたる。

この高句麗には石墓などを作る風習があったようで、それが日本に伝わり
4~5世紀にかけて畿内に古墳群が出来る起源になったとも言われている。(諸説あり)

目下大阪府内の仁徳陵、応神陵などの古墳群がユネスコの
世界遺産の登録に向け推薦される話が持ち上がっている。

この古墳群の歴史的価値がどの程度あるか知らないが、
それだけにその歴史的価値が詳らかにされることを楽しみにしておきたい。


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プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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