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リラの花咲く頃

宝塚に住む義母が93歳で永眠し、一昨日葬儀が行われた。

この20年は緑に囲まれた老人施設で静かに暮らしていたが、
数日前に睡眠中に脳梗塞を起こして昏睡していた。

PPKの大往生と言うことだったが、コロナ流行のおりから
長女である家人もそして筆者も列席は適わず寂しい旅だちと
なったことが悔やまれる。

したがって我が家では朝夕御線香をあげているところ。



大正15年に生まれ大連で育ったこの人は戦前、戦後を
生き抜き筆者とも長いお付き合いとなった。

と言うことで何事も控えめだった故人を偲びつつ
思い出を本欄に記しておこうと記憶を辿った。

その最たるものはやはりこの季節に2度パリに来たこと。

復活祭以降のこの花の季節にそれぞれ2週間余り
我が家に滞在し孫との交流を堪能してもらった。

そしてブーローニュの森とその森の中にある
バガテル公園を案内したこと。

その庭園はバラには少し早かったが、日本では
余り見ることのないリラの花が咲く季節だった。

実際リラはライラックと呼ばれ日本で咲くのは
北海道だけとされ、「リラ冷えの町」とは札幌の代名詞だ。

その白や紫の花の姿に喜んでいたのは
今となっては懐かしい。



ということで現状満中陰への参加も難しそうで
納骨もいつできるやら分からない。

しばらくは娘、孫娘、ひ孫娘に囲まれて女4世代で
写り込んだ写真を見ながら故人を悼むしかなさそうだ。

月に叢雲花に風の通り「さよならだけが人生」
であることを改めて知らされた。



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ロワール川

復活祭を迎え春が訪れた欧州では自粛疲れからか
人々が公園に繰り出していると報じられていた。

こちらはとうに外出をあきらめて週末を静かに暮らしていたところ、
友人がラザニアとワインのオシャレなランチの写真を送ってきてくれた。

そしてそのいかしたテーブルに並んでいたのが
「GIEN」(ジアン)のお皿。

その絵柄は家人お気に入りと同じもので、食器棚から
取り出して写真を撮り鬱陶しい気分を晴らした。

同時にそのお皿を買い求めてロワール川畔の「GIEN」の
町を歩いたことを思い出した。

20200413105252138.jpg


ロワール川は中央山塊に水源を持ちブルゴーニュ地方を
北上したのちオルレアンで左折、つまり西に方向をとり
ブロア、ツール、アンジュを経て大西洋に向かう。

川幅は広くゆったりと流れていることがこの川の特徴で
その中流域に人口1万人程度の製陶業で知られるGIENの町がある。

10年余り前にローマからパリまでドライブ旅行をした際に
「GIEN」本社工場を再訪した。

パリはマドレーヌ寺院の裏手さらには青山にもブティックが
あるというのに安いと言うことで遠回りしたのだからやはり
わが行動などは行動経済学の教える典型と言うことだろう。



残念ながら河口の町ナントに行ったことはない。

作家の青山七恵が2年ほど滞在して大西洋とロワール川
をアパルトマンの窓から眺めて暮らしたことなどを書いていた。

この町は歴史的にも有名なだけに今更行きそびれた
ことを悔いても遅い。

敢えて思い起こせばそのそばにナポレオンがセントヘレナ島に
流された際に出航した港町ラ・ロッシェルがある。

そこを起点にスペイン国境のビアリッツまで南下
したことがあるが、それももはや四半世紀も昔のこと。

マドレーヌと紅茶の香りで失われた時を思い出したプルースト
には遠く及ばないが、「GIEN」の絵皿で過去の記憶が蘇った。

ここしばらくはふとしたことで楽しかったことを思い出しては
コロナ欝を吹き飛ばすしかないと言うことだろう。


.

あれから30年

常々月日の流れが早いのに驚かされることは多いが、
1989年11月10日のベルリンの壁崩壊から何と30年も
経過した。

記憶の中では現代的なトピックであったはずなのに
今やそれは歴史なのであるから本当に光陰矢の如しだ。

東西ドイツの統一は、富裕な企業が倒産寸前の企業を救済合併
するように西独が多額のコストで東独そして国民を吸収したのである。

流通する全てのオストマルクを等価で交換し、老朽化した施設を買いとり、
年金はじめ福祉制度を刷新するなど
祖国統一のために西独は膨大な費用を払ったのである。



しかしこの戦略はズバリと決まり、安い労働力を確保し、東欧への市場拡大
など「肉を切らして骨を断つ」ようにドイツ経済は飛躍的に成長することになった。

2000年以降は急成長する中国と蜜月関係を結び、上海や天津に
進出したシーメンスやフォルクスワーゲンがドイツ経済を牽引した。

さらに2005年に就任したメルケル首相が胡錦涛や温家宝そして
習近平とユーラシア大陸の絆を深めたのである。

しかし2021年の退任を前に様々な矛盾も露呈。

何よりも東西ドイツの経済格差が解消しないことに加え
積極的に受け入れた難民が治安の悪化のみならず
国家の分断を招いたことだ。



一方ドイツ経済に目を転じれば目下景気はマイナス成長に落ち込み
金利もマイナスに沈んだまま。

つまり欧州の盟主そして優等生が日本化してしまったのである。

具体的にはドイツを代表してきた自動車産業と金融業がリスクとなった。

フォルクスワーゲンが燃費の不正表示で味噌をつけ、さらに
クリーンディ―ゼルに拘り世界の潮流であるEV(電気)やHV(ハイブリッド)
への流れに乗り遅れたこと。

そして金融については日本同様マイナス金利の直撃を受けている。

ただ日本は地銀が疲弊するものの大手行が安定的に推移しているのに対し
ドイツ銀と言う世界最大手が苦境にあることがドイツ経済の深刻度を物語っている。

米国からの輸入関税そしてブレクジットによるEU市場の縮小
を前にしてドイツはどのように復活するのだろうか。




スーパー・マリオ

20世紀の代表的キャラクターは何と言ってもウオルト・
ディズ二ーのミツキーマウスだろう。

そのデビューは1928年と言われており、95年間保護される
著作権は米国において2023年に切れる。

ということで間もなく争奪戦のフィーバーが訪れると言うのがその
世界では常識らしい。

ではこのIT時代にミッキーに迫るキャラクターはと言えば
任天堂のスーパー・マリオか?

世界中のゲーム好きの子供の間でマリオの存在を知らない者はいないし、
その認知度はミッキーをすでに凌駕しているかも知れない。



それでは金融界のスーパー・マリオは誰かと言えば
ECBのドラギ総裁だ。

同氏はイタリアの財務省にいた1990年代に通貨危機で手腕を
発揮し、「スーパー・マリオ」と呼ばれるようになった。

その後イタリア中銀総裁さらにドイセンベルク、トリシェに次いで
第3代ECB総裁に就任し、この8年間、ユーロ防衛に努め今月末で退任する。

その間ギリシャはじめ南欧諸国の債務危機や様々な通貨危機に
直面する中で「何でもする(WHATEVER  IT TAKES)」を有言実行した。

金融緩和そして重債務国の債券購入プログラム(TLTRO)を発動するなど
時には金融政策に止まらず領空侵犯をしては奮闘した。



その実績として挙げられるのは何と言っても高失業に苦しんでいた
欧州に雇用を1100万人ももたらしたこと。

一方インフレ率については8年間の平均は1.2%と目標の2%を
達成することはできなかった。

とはいえ米日も同様にデフレ化で苦しんでいる状況を見れば
十分にやったと合格点をもらえるかも知れない。

11月1日からはIMF専務理事を務めたラガルド氏が就任する。

ただしドラギ総裁が振り回した伝家の宝刀「WHATEVER IT TAKES」は
乱用しないとのことだ。

果たしてユーロは安定を維持できるのだろうか?



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Prince of Wales

「即位礼正殿の儀」は200か国近い海外から賓客を迎え
行われた。

5月の連休で一連の行事が終わったような気がしていただけに
今更と言った感もあり、改めてお祝いを強制されているような気にもなった。

国事行為ではあるものの天皇家の代替わりの私的イベント?に
国民が巻き込まれたと言ったところかも知れない。

とはいえ即位の瞬間に虹がかかったとか、アッキーの膝丈コスチュームが
場違いだとか、翌日の御茶会に上皇・上皇后がなぜ出席したとか
様々な話題を提供しつつも無事終了したのである。

それにしても体調を憂慮された雅子皇后が重要な儀式を
完投できたことは何よりだった。



そんな賑やかな儀式の中でチャールズ英国皇太子の年老いた
姿が目を引いた。

30年前にもダイアナ妃とともに参加していた映像を見るにつけ
歳月が過ぎさるのは早いものだと思う。

ちなみにチャールズは次期英国の国王を意味するPrince of Walesと尊称される。

これは「ウエールズの王子」と直訳するよりもウエールズの「君主」と言った
ような存在と解釈するのが正しいとか。

実際晩餐会の翌日皇太子はワールドラグビーで4強に残った
ウエールズの激励に都内のグランドに向かった。

4強にはイングランドも勝ち残っているが、やはりウエールズ
の応援に行くのが英国的には道理ということらしく、お陰で
英国の理解が深まったような気分だ。



それでは肝心要の本国はと言えば、10月末に予定されていた
ブレクジットを見据えエリザベス女王が招集した議会で僅か3日間の
スピード審議が行われた。

結局ボリスジョンソンの思惑通りにことは進まず、議論が尽くされることに
なり、最終的には12月半ばに総選挙を行う方向だ。

これだけ百家争鳴・離合集散が続くカオス状態の議会を
見ていると、最終着地点は見えない。

お陰で楽観悲観が交錯して英ポンドは乱高下を続けているが、
今は少し楽観ムードが勝っているか。

ともかく英ポンドには手を出さないと固く誓って3年、
高見の見物をするにしくはなしだ。



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プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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