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為替監視国

安倍首相によるトランプ大統領への徹底した「ごますり外交」(ワシントンポスト)
が奏功し、日米通商交渉は8月まで先送りされた。

これでひとまず7月のW選挙を自民党は心置きなく戦える
体制が整ったというところだ。

実際選挙後には大幅譲歩が日本からもたらされると
トランプ大統領がコメントしたので当面激しい日本たたきは封印された。

しかし日本としては秋までにはそれなりの結論を出す必要ができたのも事実だ。



米国の貿易赤字は積み上がっており、2020大統領選を控えて
この問題に道筋をつけることは米政権にとって優先課題だ。

近頃は自国通貨高と貿易赤字との関連性はかつてほどでは
ないものの、米ドル高の影響を無視できないのも事実で
米国は為替を材料に通商交渉を進めるつもりだ。

このような環境下米財務省は貿易相手国の通貨政策を
分析して為替報告書を公表した。

この報告書では①対米黒字額、②介入実績、③経常黒字のGDP比
(2%以上)を勘案して監視国のリストを作成しているが、
中国、日本、韓国、ドイツは今回も監視国に指定された。

それに加えてイタリア、アイルランドそして中国から生産拠点が
シフトされ対米黒字を積み上げる見込みのシンガポール、
マレーシア、ベトナムも加えられた。



この監視国リストに指定された国々は通商交渉において為替条項を
課されるなど様々な圧力がかかるのは必至。

中国の場合は「監視国」よりも制裁が厳しい「操作国」に名指しされる
惧れも拭えない状況が続くことになる。

一方日本は為替と経常黒字の関係性が薄くなっていることを
根拠に円安政策をとっていないと身の潔白を主張して行くつもりのようだ。

とはいえ8年に渡るアベノミクスの本質は金融政策による
通貨安政策であることは誰の目にも明らか。

いつ何時米国から円安批判が沸き起こるか知れないリスクが
あることを忘れる訳にはいかない。

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凪相場

10連休が終わった。

即位を祝い消費を喚起するためとはいえその長さは
特筆されるものだった。

なかでもテレビなどのお祭り騒ぎには少しうんざりした。

良識あるマスコミ関係者からはもう少し真面目な議論
(女系・女性など天皇制の根幹についてなど)をすべき
だったとの反省の弁も聞こえるがその通りだ。

ともかく平成を惜しむ声そして令和を祝う声に圧倒されたか
この2か月の金融市場は凪状態に終始したのである。

実際円相場は4月以降は111円台を中心に1円50銭幅での
小動きに終始し、連休中も取り立てたことも起きなかった。



このように静かな相場が続いた背景にはFEDが
様子見姿勢を決め込んでいることが挙げられるだろう。

目下の米国経済は失業率が3.6%と49年ぶりの
低水準となるなど雇用が極めて堅調である。

とはいえ貿易戦争で製造業の景況感が弱含んでいるように
一抹の不安も拭えない。

したがって2020大統領選に向けた選挙モードに突入している
米政権はトランプ大統領、クドローNEC委員長らが相次いで
FEDの利下げを求めているのだ。



目下米政権はドル高による貿易赤字の是正など様々な先行き
懸念の払拭に向けその対応を急いでいる。

それを知ってか知らずか米国民の多くは株式市場の好調さの
恩恵に危機感が乏しいのも事実だ。

「強気相場は陶酔の中に終わる」との格言がある。

つまり米国景気の拡大局面は2009年7月に始まり戦後最長の
丸10年に達するだけにいつ何時大きなショックに見舞われても
致し方なしだ。

凪相場は何時終わるのか、これが当面の課題だ。



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逆イールド

企業体力が失われた今でこそ即戦力が求められるようになったが
かつての銀行は入社後3年程度は教育期間と位置付けられ、知的好奇心を
さほど刺激されることなく退屈に暮らした。

ただ5年目に入って国際金融とりわけ米国金融市場での
ファンデイングをする部署に配属されがぜん仕事が面白くなった。

つまり理論と実践を同時に経験することになり、ともかく寝る間を
惜しんで金融理論を勉強しては米国で起きる経済事象のフォローに没頭し、
挙句の果てに睡眠不足で体が動かなくなる事もあった。



当時学んだことの一つに長期金利が短期金利を下回る「逆イールド」。

一般には景気後退のサインと理解され、この結果経済は減速すると言われる。

今般米国10年債金利が2.4%に下落し、2年債や
3か月物TBを下回ることになった。

先日まで米国の今後の利上げ回数は2度か3度かと議論
されていたのに、FRBの方向転換に今や市場では年内2度の
利下げ確率が6割と大きく振れたのである。

逆イールドが景気後退に結びつくには1年余りのタイムラグがあるともされるが
「スポット価格は将来のすべての要因を含む」と考えるのが妥当。

つまり将来発生するであろう事象も現在価値に織り込まれることになり、
その結果金利そして為替の価値が足元で急速に低下するのは避けられないこととなる。



再三パウエルFRB議長が口にする世界経済のリスクについて、それを裏付ける
ようにドイツの製造業PMI(購買担当者景気指数)が44と6年ぶりの
低水準になり、不安心理を一気に増幅させた。

もちろん統計のひずみも多少あるのかもしれないが、やはり中国
そして欧州と軒並み世界経済は悪化しているのではないか。

とすれば米国金利および米国経済上昇の可能性は乏しくなり、
いくら米中通商問題がソフトランディングしたとしても経済の
不確実性は拭えず、ドルの下落は必然となるかも。

目下の円相場は110円でこのところ107円~114円の往復を
続けているが、いつ何時大きな地殻変動が起きてもしようがないのではないか。

ということで半年後100円、1年後90円シナリオの発生確率を20%ぐらい
として円買いにかけてみるのも一興か。


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債券王

投資会社PIMCOを50年近く前に立ち上げ,長く「債券王」の
名声をほしいままにしたビル・グロスがついに引退した。

これから慈善事業に専念するというが、実質的には廃業を
余儀なくされたということだ。

一時預かり資産は3千億ドル(30兆円)に達していたが、最近は
顧客離れが激しく30憶ドル(3千億円)と100分の1まで減少していた。

特に最後に張った米国債買い・独国債売りのポジション、
これは米国金利が下がりドイツの金利が上がることを狙ったものだが、
大外れして結局一時代の終わりとなった。



現在米国10年債の金利は2.7%、独国債は0.2%、
そして日本は昨日ようやくマイナスから浮上したことが
ニュースとなるようにゼロ%近辺を推移。

つまり先進国の金利はどの国もほぼゼロで、米国だけが
金融正常化の流れに3%前後で推移してきたのである。

しかしここにきてFRBは株価対策としてバランスシートの縮小をやめ
(金融引き締め措置の見送り)、パウエル議長曰く「忍耐強い様子見」を
決め込む中立的スタンスへ転じてしまった。

実際米国の経済環境はGDPは3%近辺と好調だとトランプ大統領は
吹聴するが、経済指標は強弱まちまちで、アトランタ連銀の
GDPナウは0.8%を示すなどなんとも心もとないのである。



そんなおり中国で全人代が始まった。

李克強首相による政府活動報告では昨年ぶち上げた「中国製造2025」を
封印するなど
米国への配慮がにじみ、ひたすら直面する経済悪化への対応として
減税を含めて財政出動を進めるなど危機対応の優先が目立った。

一方日本は今秋の消費増税を前にしてインフレ上昇の兆しもなく
日銀も追加緩和の可能性を語り始めた。

さらに米中通商協議の次はいよいよ日米交渉に焦点が当たることになり
いつ米国から円安誘導批判がなされるかもとの恐れが政府日銀に高まりつつあるようだ。





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韻を踏む

最近経済誌や経済紙でジム・ロジャースのインタビュー
記事を続けて見る機会があった。

これまで東京での講演には多くのファンが殺到して
いると言われてきたが、今回もまた来日していたのだろう。

この人は40年以上前にクォンタムファンドを立ち上げ
勇名をとどろかせてきたが、シンガポールへ移住した今も
世界の金融市場をウオッチしている。

実際アジアはじめ世界の情報の中心のシンガポールこそ
世界の経済そして金融市場を俯瞰するのに最適の都市だとの
主張はうなずける。



この人の名言の一つを挙げれば「歴史は韻を踏む」だろう。

つまり歴史は国家興亡の繰り返し、そして経済は好況と不況
の波動、さらに市場は上がれば下がる循環ということだ。

したがって2008年のリーマンショックからすでに10年を超え
低金利で底上げされている現在の世界経済に警鐘を鳴らすのも当然と言えよう。

そして日本については超悲観的で、特に人口減少、高齢化が
進み膨大な借金を抱える状況に「日本売り」を推奨しているのだ。



このような中で世界の新興市場としてお勧めなのが、ベネズエラと
ガーナ、共に産油国だ。

二人の大統領がおり国家が分裂状態にある中で、アンデス山脈を越えて
コロンビアに逃亡する人が絶えないベェネズエラが有望先とのこと。

そしてアジアに次ぐフロンティアとして期待されるアフリカを
代表するのがガーナとか。

西アフリカに位置するこの国は石油生産も商業ベースに乗ったようで
経済成長の軌道を歩み出したらしい。

このような長期的投資眼を持たず、欧米中しかフォローしていない筆者は
ただただ脱帽するしかない。


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プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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