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逆イールド

企業体力が失われた今でこそ即戦力が求められるようになったが
かつての銀行は入社後3年程度は教育期間と位置付けられ、知的好奇心を
さほど刺激されることなく退屈に暮らした。

ただ5年目に入って国際金融とりわけ米国金融市場での
ファンデイングをする部署に配属されがぜん仕事が面白くなった。

つまり理論と実践を同時に経験することになり、ともかく寝る間を
惜しんで金融理論を勉強しては米国で起きる経済事象のフォローに没頭し、
挙句の果てに睡眠不足で体が動かなくなる事もあった。



当時学んだことの一つに長期金利が短期金利を下回る「逆イールド」。

一般には景気後退のサインと理解され、この結果経済は減速すると言われる。

今般米国10年債金利が2.4%に下落し、2年債や
3か月物TBを下回ることになった。

先日まで米国の今後の利上げ回数は2度か3度かと議論
されていたのに、FRBの方向転換に今や市場では年内2度の
利下げ確率が6割と大きく振れたのである。

逆イールドが景気後退に結びつくには1年余りのタイムラグがあるともされるが
「スポット価格は将来のすべての要因を含む」と考えるのが妥当。

つまり将来発生するであろう事象も現在価値に織り込まれることになり、
その結果金利そして為替の価値が足元で急速に低下するのは避けられないこととなる。



再三パウエルFRB議長が口にする世界経済のリスクについて、それを裏付ける
ようにドイツの製造業PMI(購買担当者景気指数)が44と6年ぶりの
低水準になり、不安心理を一気に増幅させた。

もちろん統計のひずみも多少あるのかもしれないが、やはり中国
そして欧州と軒並み世界経済は悪化しているのではないか。

とすれば米国金利および米国経済上昇の可能性は乏しくなり、
いくら米中通商問題がソフトランディングしたとしても経済の
不確実性は拭えず、ドルの下落は必然となるかも。

目下の円相場は110円でこのところ107円~114円の往復を
続けているが、いつ何時大きな地殻変動が起きてもしようがないのではないか。

ということで半年後100円、1年後90円シナリオの発生確率を20%ぐらい
として円買いにかけてみるのも一興か。


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債券王

投資会社PIMCOを50年近く前に立ち上げ,長く「債券王」の
名声をほしいままにしたビル・グロスがついに引退した。

これから慈善事業に専念するというが、実質的には廃業を
余儀なくされたということだ。

一時預かり資産は3千億ドル(30兆円)に達していたが、最近は
顧客離れが激しく30憶ドル(3千億円)と100分の1まで減少していた。

特に最後に張った米国債買い・独国債売りのポジション、
これは米国金利が下がりドイツの金利が上がることを狙ったものだが、
大外れして結局一時代の終わりとなった。



現在米国10年債の金利は2.7%、独国債は0.2%、
そして日本は昨日ようやくマイナスから浮上したことが
ニュースとなるようにゼロ%近辺を推移。

つまり先進国の金利はどの国もほぼゼロで、米国だけが
金融正常化の流れに3%前後で推移してきたのである。

しかしここにきてFRBは株価対策としてバランスシートの縮小をやめ
(金融引き締め措置の見送り)、パウエル議長曰く「忍耐強い様子見」を
決め込む中立的スタンスへ転じてしまった。

実際米国の経済環境はGDPは3%近辺と好調だとトランプ大統領は
吹聴するが、経済指標は強弱まちまちで、アトランタ連銀の
GDPナウは0.8%を示すなどなんとも心もとないのである。



そんなおり中国で全人代が始まった。

李克強首相による政府活動報告では昨年ぶち上げた「中国製造2025」を
封印するなど
米国への配慮がにじみ、ひたすら直面する経済悪化への対応として
減税を含めて財政出動を進めるなど危機対応の優先が目立った。

一方日本は今秋の消費増税を前にしてインフレ上昇の兆しもなく
日銀も追加緩和の可能性を語り始めた。

さらに米中通商協議の次はいよいよ日米交渉に焦点が当たることになり
いつ米国から円安誘導批判がなされるかもとの恐れが政府日銀に高まりつつあるようだ。





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韻を踏む

最近経済誌や経済紙でジム・ロジャースのインタビュー
記事を続けて見る機会があった。

これまで東京での講演には多くのファンが殺到して
いると言われてきたが、今回もまた来日していたのだろう。

この人は40年以上前にクォンタムファンドを立ち上げ
勇名をとどろかせてきたが、シンガポールへ移住した今も
世界の金融市場をウオッチしている。

実際アジアはじめ世界の情報の中心のシンガポールこそ
世界の経済そして金融市場を俯瞰するのに最適の都市だとの
主張はうなずける。



この人の名言の一つを挙げれば「歴史は韻を踏む」だろう。

つまり歴史は国家興亡の繰り返し、そして経済は好況と不況
の波動、さらに市場は上がれば下がる循環ということだ。

したがって2008年のリーマンショックからすでに10年を超え
低金利で底上げされている現在の世界経済に警鐘を鳴らすのも当然と言えよう。

そして日本については超悲観的で、特に人口減少、高齢化が
進み膨大な借金を抱える状況に「日本売り」を推奨しているのだ。



このような中で世界の新興市場としてお勧めなのが、ベネズエラと
ガーナ、共に産油国だ。

二人の大統領がおり国家が分裂状態にある中で、アンデス山脈を越えて
コロンビアに逃亡する人が絶えないベェネズエラが有望先とのこと。

そしてアジアに次ぐフロンティアとして期待されるアフリカを
代表するのがガーナとか。

西アフリカに位置するこの国は石油生産も商業ベースに乗ったようで
経済成長の軌道を歩み出したらしい。

このような長期的投資眼を持たず、欧米中しかフォローしていない筆者は
ただただ脱帽するしかない。


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壺中の天

昭和の陽明学者・安岡正篤の教えである「六中観」に
忙中閑あり、苦中楽あり、死中活あり、壺中天あり、
意中人あり、腹中書あり、とある。

それぞれ含蓄に富むが、とりわけ「壺中(こちゅう)天あり」は好きな言葉である。

この出典は後漢書に記された故事に求められるが
小売商が毎日仕事の終わった後で小さな壺の中に入る。

そこは他人には推し量れない大きな宇宙、つまり自分らしく
生きる別天地がある、と言った意味である。



過日小学校4年生の仲邑菫さんがプロ棋士になった。

本来プロ入りに課せられている経験と試験を免除されて、
中韓に対抗するための早期育成枠の第1号になったのだ。

これから361マスの狭い盤上に自分の宇宙を作る
ことになるが、その重荷に少しかわいそうな気がしないでもない。

それは81マスに自らの世界を創造する藤井七段も同様で、
この人たちはヒフミンのように盤上に宇宙を感じながら生きることになるのだ。

しかしそこは一見狭い世界と見えても、実はとてつもなく大きいに
違いないのはまさに壺中の天と言うことだ。



翻って日々小さなスマホの画面に見入り一日の多くを
相場のことを考えている筆者の場合はどうか?

その姿を第三者が見れば10センチx4センチの狭い 
世界に何を見てるのかと不思議に思うかもしれない。

しかしこの狭い画面こそが筆者にとって壺中の天なのである。

その無機質で数字の羅列されたスマホの世界は実はウオール街そして世界隅々の
森羅万象に直結しており、北京で蝶が舞うだけで
リアルタイムに人々の恐怖と欲望が伝わり姿を変えるのである。

その複雑さや醍醐味を詳細に説明するに十分な言葉を持たないが
まさに一見小さくても実は大きな世界なのである。

もはや壺の中から抜け出せなくなって久しいが、国際金融特に
それを凝縮した相場変動は膏肓に入った病と言ったところだ。




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2019年は

クリスマスが目前に迫り今年も残すところわずかとなった。

日本は別として多くの企業はBOOKを閉じる時期でもあり
ファンドの手じまいの動きも散見されるなど金融市場の動意は薄れてきた。

本年をおさらいすれば、米国の株価(昨年末24,700ドル、現在24,300ドル)
そしてドル円(昨年末112円70銭、現在113円30銭)とも小動きで終了しそうだ。

あえて動きがあったとすればイランや減産を巡り
上下した原油相場(昨年末60ドル、現在52ドル)か。

そして米国債市場だろろうか(昨年末2.4%、現在2.9%)。

一時3.2%を超えたが、FRBの引き締めも今年があと1回、
来年も1回と打ち止め感も意識されるようになり低下局面に入ったようだ。

この3年間でテーパリングさらには引き締めと上昇したが
それも一服、来年の金融市場の動向に大きな影響を与えそうだ。




それでは来年の材料としてFRBの金融政策以外に何が挙げられるだろうか。

世界の中銀トップが異口同音に懸念するように来年のテーマは
「世界経済の下振れとリスク勃発」か。

実際米中問題、ブレクジット、イランそしてロシアなど様々な
リスクの芽が内在しておりその表面化は、経済成長を大きく損なうことになるだろう。

とりわけ懸念されるのは米中貿易戦争の行方だ。

とりあえず米国による輸入額2000憶ドルへの追加関税は
90日間の延長が決定されたもののその期限は2月末に迫る。

クドローNEC委員長などの発言は期待を持たせるが、
ナバロ大統領補佐官やライトハイザーUSTR代表などの
対中強硬派の発言は今後の厳しさを予感させる。



一方日本の周辺を見渡すと、来年1月にはイザナミと呼ばれる
好景気がイザナギを超えて戦後最長になる。

実感が乏しいのがその特徴だが、曲がりなりにも実現された
景気拡大もいよいよ腰折れしそうな雰囲気だ。

バブル景気の最後に見られたような改元効果ぐらいしか
明るい材料がない現状今後の見通しは暗い。

つまり展望の見えない2019年は景気減速
そして大幅な円高の到来は必至か。


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プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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