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忖度

米国が金融正常化の道を歩み始めてはや3年、
すでにFF金利は8度引き上げられてゼロから2%に。

そして年内にもう一度さらに来年は
3回程度引き上げられ2020年に
打ち止めになると見られてきた。

このような環境下、「低金利が好きだ」と言うトランプ大統領は
パウエルFRB議長を非難し、同議長を推薦したムニューシン財務長官につらく
当たっているとも言われてきた。

そんなパウエル議長は10月3日には「中立金利から程遠い
(long way from neutaral)」とタカ派的発言をしていた。

ところがパウエル議長は昨夜「広義の中立金利をわずかに下回る
(just below the broad range of estimates of the level that would be neutral)」
とややハト派的な発言を行った。

お陰でドル買い、債券売りに傾いていた市場は過敏に反応し、
その結果パウエル氏についてトランプ大統領に気遣いを見せる
「忖度議長」と批判する声が上がった。

つまり来年度中の利上げは1度だけとの
見方が俄かに強まっているのだ。
果たしてどうなるのか?



中立金利については景気を刺激するでもなく抑制するでもない
まさに中立的な金利と定義される。

その適正水準については意見が分かれるが、現在の
米国においてはその範囲は2.5%~3.5%、つまり3%ぐらいではないかというのが支配的。

どちらにしてもトランプ大統領の牽制がなくとも金利引き上げの余地が
なくなりつつあるのは確か。

つまり依然世界が低金利にある状況からすれば、米ドルが
高金利通貨となり日々世界の金が集まってくるのは
至極当然というところだ。



中間選挙も終わりいよいよトランプ大統領は2年後の
大統領選へと動き始めた。

それでなくとも雇用の拡大を第一義にするだけに
物価の安定にも配慮するパウエル議長が気に入らないのも確か。

さらにリストラ計画を発表したGMもまた同じ。

そして中国も気に入らない。

12月1日には米中首脳習会談。

トランプ大統領は実は習近平好きとも言われる。

それだけに米中貿易戦争の終結を期待する向きもあるのだが?

年内もあと1か月。

112円70銭で始まった2018年はドル高で終わるのか
ドル安で終わるのか最後の攻防が始まる。

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115円シーリング

2015年6月円相場が125円に達した時に黒田日銀総裁は
現行水準は実質実効レートで見れば円安だ、と語った。

その後円相場は一端100円割れをみたが再び切り返し
今年に入って以降は105円~114円で推移し目下112円台。

同時に過去1年半4度ほど115円をトライしたが
ことごとくはじかれて115円がシーリングに見えるのが実情だ。



先週末ムニューシン米財務長官は物品貿易協定(TAG)交渉において
「為替条項」導入に言及し、日米においてもNAFTA同様為替の縛りを
盛り込む意向を示した。

それについて日本の麻生財務相や茂木経済財政相などからこれまでに
交渉の経緯が無いことはじめ全面否定の発言が行われているのではあるが。

一方今週中には米財務省が為替報告書を議会に送ると見られている。
その中で為替監視国の中国や日本の取り扱いが注目されている。

中国については為替操作国と指摘されるのか否かが最大のポイント。

そして貿易黒字をため込み円安誘導疑惑がつきまとう日本が
引き続き為替監視国に挙げられるのか注目されるところだ。



現在の金融市場は米国がトランプ減税で財政悪化をものともせずに
バラマキを行って景気浮揚を図り、一方で金利の高め誘導を行っている。

他方日本は日銀がハードランデイングを回避しながら出口戦略を進める
ナローパスを探っている。

つまり日米金利差は大きいままであり、当然のこととして
米ドル買い円売りが進む。

その結果円は名目的にはさほどではないものの、実質実効レートベースでは
史上まれにみる円安水準となっているのだ。

そろそろ円高への大調整が起きてもおかしくないと思っているが
原油高や年末の季節要因もありそのタイミングを推し量るのは難しい。

とはいえ過日株価大調整があったように6年続いた円安も新たな
局面へと進んでもおかしくないように見える。

とすればムニュー―シン・シーリングとも言われる115円が
本当に存在するのか否かのマーケットの挑戦が注目される。



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ドル安論者

戦後米国主導で国際連合が設立されまたIMF・世銀体制が構築された。

そして例年9月末には国連総会が行われ世界の首脳がワシントンに
集合したことから様々な重要案件が決定された。

したがって固定相場制度下にあった通貨についても、
この時期には多角的通貨調整が行われることが多く、
9月~10月は「通貨の秋」と言われることになった。

1973年の変動相場制への以降の後も9月は為替相場の
大変動がたびたび発生したたことから、「通貨の秋」は死語と
なるどころか、今もアノマリーとして生き続けている。



今年もまた9月25日から国連総会が始まる。

これを前に24日にはワシントンでFFR(日米通商協議)が行われる。
また安倍首相は渡米し9月26日にトランプ大統領との首脳会談に臨む。

これらの会議のテーマは通商問題、とりわけ日米間に存在する
貿易不均衡だ。

その是正は中間選挙を控えて支持者を慰撫したいトランプ大統領としては
絶好のチャンスである。

一方日本政府はドナルド・シンゾウのデレデレ関係を維持し、
為替への言及を避け何とかやり過ごしたいとの思いがにじむのだが。



それでは米国側から為替への言及はないのか?

これまでトランプ大統領は「合意がなければ日本は大変なことになる」などど
脅迫的なツイートを行っているだけに為替問題が俎上に上がる恐れはある。

もともとトランプ大統領は「ドル安論者」だ。
とはいえこれまでのところ為替に関する発言は抑制的である。

また口が滑った場合にはムニューシン財務長官がいつも
火消しに努めてきたのであるが。

9月23日と言えば33年前、レーガン大統領の貿易不均衡を
是正したいとの意向を受けてプラザ合意を経て
未曾有の円高が始まった日でもある。

果たして今年の「通貨の秋」は何が起きるのだろうか?



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喉元過ぎれば

9月15日(土)  曇り  23度

十年前の今日、リーマンブラザーズが破綻した。

10年も経つとその日の記憶は遠く霞んでいるが
その後の激動は今も強烈だ。

その日も確か土曜日。

政府・金融当局は市場がクローズしている週末に破綻を公表するのが常となっているが、
週明けの月曜日から市場が大暴落し
世界の経済活動は未曾有の落ち込みとなった。

リーマンと言えば米4大証券の一角を占めていただけにその破綻の
影響が様々に及ぶことは推測できた。

それだけに政府が支援し続けるのが
当然とも言えたのだが。

とはいえその経営の乱脈ぶりからブッシュ政権およびFRBが
見放したのはやむをえない選択だったのだろう。

それにしてもその被害の大きさは金融危機の恐ろしさを
強く認識させることになった。



これまで金融危機についてはその都度原因の究明が行われてきた。

この百年に一度の危機については住宅市場の崩壊やCDUという
デリバティブ商品の異常な進化、ノンバンクの跋扈などが挙げられた。

そして何よりも問題視されるのが人間の「強欲さ」だ。

一億総投資家となり強欲さに身を任せて金儲け主義に走った
結果がこの惨事につながったということだ。

それを戒めるべくボルカ―ルールが作られ金融改革法が施行されて
リスクテイクやトレーデイングが制限されたのではあるが。



この未曾有の危機を乗り越えるために米中はじめ各国政府は
10年にわたり財政支出を活発化しさらに金融を緩和してきた。

そのおかげで世界経済は何とか成長軌道を取り戻したかに見えるが
同時に10年前に戒めたはずの強欲さが再び市場に垣間見えるところとなった。

すでに政府、企業、個人の債務残高は10年前に比べ40%以上と
経済成長を大きく上回るペースで増加したと言われる。

10年は喉元の暑さも忘れるに十分の長さの期間ということか。
新たな金融危機が何時、どこで起きるかについて考える良い機会だ。




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トルコ大波乱

8月10日(金)  晴  35度

お盆ウイークが始まり高速道路や新幹線が混雑する一方で
金融市場は閑散となっている。

ということで市場には泰平ムードが蔓延していたが、そんな時こそ何かが
起きるのが常でありここ数日来の懸念が表面化した。

対米関係悪化そして米ドル高に直撃されて最弱通貨の代表となっていた
トルコリラが1日で30%近くも大暴落したのである。

トルコリラは10年前の2008年8月の1ドル=1リラから続落をはじめ、
戻り場面もほとんどないままについに先日5リラを割り込みさらに本日7リラ台をつけた。

トルコ円でみてもこの10年間に1リラ94円から続落して20円水準と1/5に
なっていたが、一気に15円台へ突入したのである。

したがって一日の値動きは過去にも例を見ないほど激しく、相場が消える
瞬間が何度かありそのたびに2円つまり10%幅で大乱高下した。



このトルコ売りの背景には、高金利を嫌うエルドアン大統領のけん制を受けて
中央銀行が動きを封じられていること。

したがって政府・中銀が通貨防衛策を打ち出すこともないと高をくくった
見方が支配的となって、
資金流出が止まらず投機筋の売りが売りを呼ぶ。

トルコリラそしてトルコ経済は底なしの状態となっている。

子のように経済破綻と銀行危機の不安が高まっているのだが
エルドアン大統領は国民に外貨資産をリラに振り向けるように
訴えるのみで通貨防衛策を打ち出す気配がない。



この週末にトルコ政府が通貨防衛策を出さなければ
週明け金融不安が国際金融市場に広がることは必至。

すでに地理的に近いユーロが打撃を受け、ドイツの株価も下落。
そして円にも安全通貨として買いが入っている。

トルコ国民は8千万人もおりアルゼンチンなどと違い
経済力に厚みがあるだけに簡単には破たんしないとは思うのだが。

果たしてトルコ危機は夏休み真っ最中の国際金融市場に
大打撃を与えることになるのか否か要注目だ。


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プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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