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盛夏

8月14日(水)  曇り 32度

梅雨明けから2週間余り35度を超えるような暑い日が
続いたが、台風の接近でようやく一服。

例年のことながら6日の広島を皮切りに、9日長崎、12日御巣鷹山、
さらに15日の終戦とこの間の重さと暑さは半端でない。

都会育ちだった故かお盆に祖先の霊を迎えそして送るといった
風習など余り体験がないが、この10日間は日本人にとって鎮魂の
季節であるのは昔も今も変わらない。

ともかく16日の送り火で夏の終わりが始まると思えば、
心に余裕も芽生えて行く夏を惜しむ気持ちも湧いてくる。



8月上旬の金融市場は薄商いの夏枯れ状態のはずだったが
今年もまた激しく値動きした。

このブログでも少し触れたがアストロロジー(占星術)は8月1日の
「新月のドル売り」を預言していた。

実際同夜対中関税第4弾が発動され、ドルは総崩れして
109円台から105円割れ目前までに迫った。

実際2015年8月にチャイナショックがあったように「夏は円高」
との連想も加わって、100円割れへの期待と不安が広がったままである。

夏休み明けの来週あたりからが正念場となるのかも知れないが、
過去40年余りの8月の実績は円高と円安が半分づつだったとかで、
「夏は円高」というアノマリーへの思い込みは要注意か。



ともかくこのところの安全資産の円買いの背景にはトランプ大統領による
対中関税第4弾と口先介入やFEDへの圧力、さらに香港国際空港の機能マヒ
などの政治リスクもある。

とはいえ米国10年債が1.6%水準に下落したようにFEDの利下げを
向こう1年分も織り込んでしまっているのはやり過ぎではないか。

今後中国の財政発動や人民元への不介入が立証されるに従い
トランプ大統領はこれまでとは逆も含めて何を言い出すかも知れない。

早速昨夜は対中関税の内ハイテクやアパレルの一部を当初の9月1日から
12月15日に延期すると発言して市場を攪乱している。

トランプ大統領の朝令暮改には要注意だ。



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通貨安戦争

米中覇権争いは貿易戦争から通貨安戦争へと拡大した。

これまで両国間では貿易不均衡是正とハイテクの主導権を巡り
激しい交渉が行われてきたが米国が求める回答を中国側から
引き出すことはできていない。

その状況を打破すべく対中輸入関税が連発され、今般は
第4弾として3000憶ドルに追加関税がかけられることになったが
その効果は不明だ。

理論的には中国にとり関税が10%かけられた場合の対処としては
原価を下げるか、それとも通貨安で価格を下げるかで対応が可能となる。

まさにそれを地で行くように人民元は急速に下落して1ドル=7元を突破
していることから、トランプ大統領はいよいよ中国政府・人民銀行に対し
頭に来たということなのだろう。



中国が「為替操作国」に指定されるのはクリントン政権以来25年ぶり。

とはいえ当時米国の対中赤字は300憶ドル程度にとどまり、もっぱら
ターゲットは日本でそのついでと言った感じなのでさしたる参考にはならない。

当面日本時間10時15分に発表される人民元の「基準値」を巡って
中国政府の意向を探ることになり、その時間帯の円相場はこれまでと異なり
乱高下することになりそうだ。

実際6日6.9225、7日6.9683、8日6.9996とかろうじて
7を割り込んでおり、一応中国政府は通貨安への誘導を行っていない
ことを立証した形となっているのだが・・・



これまでの米中交渉において米国は関税カードはほぼ
切りつくしたので、これからは通貨を切り札とする見通しだ。

米政府としてはとりあえず2000年以来の介入をちらつかせながら、
ドル安誘導を図ることになるに違いないし、中国は米国債の売却を
匂わせるのだろう。

すでにトランプ大統領は株価下支えとドル安誘導のために
パウエルFRB議長に対し年内0.75~1%の利下げを求めている。

それに対しイエレン、バーナンキ、グリーンスパン、ボルカーの
歴代議長が一丸となって中銀の独立性の重要性について主張しつつ
パウエル議長にエールを送っている。

果たしてパウエル議長はそれらを支えにどこまで
大統領の圧力に対抗できるだろうか。



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リブラ

通貨の歴史は今から約5千年前のメソポタミアに
遡るとされるが、それ以来時の権力者が通貨発行権を
駆使して通貨発行益(シニョレッジ)を享受してきた。

その歴史を経て現代では各国が通貨発行権を持ち
中央銀行が通貨発行を行っている。

したがって通貨主権が尊重され国境を超える場合には為替が
生じることになる。

実際米ドルに見られる通り世界で通じる通貨を発行する主体者は
無尽蔵の購買力を手にすることができ未曾有の繁栄を得ることができるのである。

その常識にアンチテーゼをもたらしたのがブロックチェーンの
発達による仮想通貨(Virtual Currency)の登場である。



ビットコインに代表される仮想通貨はここ数年で
600種ほどへと増殖した。

その名称も暗号通貨(Crypto Currency)となり、さらにG7が使用した
暗号資産(Crypto Asset)で定着したようである。

この通貨は送金コストが安く決済に便利とされているが、いかんせん
変動が大きく、将来的にも使いがってが悪いのではと思われてきた。

ということでその実用化はまだまだ先かと思っていたら、
27億人のユーザーを持つFBが旗をふりVISA,マスター、UBERなどが参加して「リブラ」を始めることとなった。

つまり国境を超えて「リブラ大経済圏」を作ることになり
これまでの通貨の概念と全く異なる世界が登場する可能性が高まった。



FBは金融サービスを行うつもりはないとし、あくまで決済サービスに
専念する意向のようだ。

このように新たな経済圏、金融システムの登場を懸念して米国の
上院銀行委員会の公聴会でFBの責任者が質問攻めされることになり、
とりあえず2020年の開始は先送りとなった。

特にマネーロンダリング、さらに外部からの侵入やテロに対する
セキュりティなどが問題視されており、過日のG7財務省会議でも
早速懸念が表明され規制論議が始まった。

ただビットコインに見られる乱高下については、その対策として準備金を
積んで人民元を除く主要通貨にリンクさせることで安定化を図るとのことだ。

どちらにしても米ドルを基軸通貨とした通貨制度が
大きく変わるかも知れないだけに、今後要注目だ。


再びの金融緩和

EUの首脳人事が決まった。

ECB総裁にはラガルドIMF専務理事そして欧州委員会の
次期委員長には独のフォンデアライエン国防相と2人の
女性がEUの舵取りをすることになった。

独仏が枢要ポストを分け合うのはいつもの通りで、8年前に
仏のストロスカーンIMF理事の不祥事でお鉢が回ってきた伊のドラギECB総裁が
例外だったと言うところか。

またタカ派であるバイトマン独連銀総裁ではなくラガルド氏が
就任することで今後金融緩和が推し進められることになるだろう。



欧州同様米国も緩和スタンスを強めており世界は再び
金融緩和の流れを強めることになりそうだ。

世界で唯一金融正常化の道を辿っていた米国においても、
トランプ大統領の緩和催促ツイートは一段と熱を帯びている。

すでに市場は7月末のFOMCで50BPもの大幅引き下げを
含め年内3度の利下げを読んでいる。

この結果10年国債の金利は昨年秋の3.2%台から何と
1.94%まで下落しているが、さすがに行き過ぎではないか?

特に昨夜発表された雇用統計に見られる通り米国経済の先行きは
それほど暗くなく、また中国との貿易交渉も再開する見込みでもあり
「予防的な」利下げの必然性が少し減少しているのではないか。



このように世界が再び金融緩和を推し進める中で
日銀はマイナス金利の深堀に限界がある。

したがって円高の圧力がかかるのが懸念されているが昨秋の114円から
目下108円程度と、印象としては円高の進み方が遅い。

この理由はと言えば、日本の経済構造特に為替需給の
変化が起きているのではないか。

ひとつには原油価格が下方硬直的で為替需給が緩まないこと。

そして2つ目には341兆円にのぼる対外資産(負債)残高の
内容の変化だ。

実際直接投資は拡大しているものの証券投資は減少傾向にあり、
本邦への利益回金つまりレパトリによる円買いが細っていると見られることだ。

したがって日銀が世界的な金融緩和の潮流に乗れないとしても、
案外円高は進まないとの推論が成り立つのである。



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催促相場

トランプ大統領のパウエルFRB議長への脅迫が止まらない。

昨年12月の利上げを痛烈に批判し、理事への降格を
匂わせるなどして金融緩和を迫っているのだ。

お陰でFRBは2019年に入ってこれまでの利上げスタンスを中立的へと
変えており、さらに緩和へと舵を切るか注目されるところだ。

トランプ大統領の頭の中は2020大統領選しかなく、来秋ベストの
経済状況を達成するために逆算しての目下の行動である。

理論的には中銀の独立性があるとされるものの、果たして
インフレに重きを置くパウエル議長はトランプの圧力を跳ね返せるか。



先日のFOMCにおいて17人の参加者のうち7人が利下げ支持へと回り、
7月末の会合では引き下げが決定される見込みだ

実際金融市場はそれを100%織り込み、そして
年内3回の利下げを読む向きは8割に達している。

つまり催促相場は米国の株価を26800ドルの史上最高値を、
そして10年債利回りを2年半ぶりに2%を切るまでにした。

とはいえソロスが言うように市場が間違いを起こすことはしばしばあるもので、
今回もまた過剰な動きであるのではないか。



今週末の大阪サミットにおいて米中首脳会談が行われる
見込みだ。

残念ながら貿易交渉において妥協する可能性は20%との見方が支配的で、その決裂を受けて米国が対中関税第4弾を課す可能性が高い。

この結果世界のGDPは0.6%程度下落する見込みで
この不確実性を払拭するためには金利下げしかないと言うことではあるが。

ともかくトランプ大統領のあからさまな圧力に対し穏健な外見に
拘わらず真は強いとの見方があるパウエル議長はどこまで筋を通すのか、
しばらく注目を要する。



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プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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