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トルコ大波乱

8月10日(金)  晴  35度

お盆ウイークが始まり高速道路や新幹線が混雑する一方で
金融市場は閑散となっている。

ということで市場には泰平ムードが蔓延していたが、そんな時こそ何かが
起きるのが常でありここ数日来の懸念が表面化した。

対米関係悪化そして米ドル高に直撃されて最弱通貨の代表となっていた
トルコリラが1日で30%近くも大暴落したのである。

トルコリラは10年前の2008年8月の1ドル=1リラから続落をはじめ、
戻り場面もほとんどないままについに先日5リラを割り込みさらに本日7リラ台をつけた。

トルコ円でみてもこの10年間に1リラ94円から続落して20円水準と1/5に
なっていたが、一気に15円台へ突入したのである。

したがって一日の値動きは過去にも例を見ないほど激しく、相場が消える
瞬間が何度かありそのたびに2円つまり10%幅で大乱高下した。



このトルコ売りの背景には、高金利を嫌うエルドアン大統領のけん制を受けて
中央銀行が動きを封じられていること。

したがって政府・中銀が通貨防衛策を打ち出すこともないと高をくくった
見方が支配的となって、
資金流出が止まらず投機筋の売りが売りを呼ぶ。

トルコリラそしてトルコ経済は底なしの状態となっている。

子のように経済破綻と銀行危機の不安が高まっているのだが
エルドアン大統領は国民に外貨資産をリラに振り向けるように
訴えるのみで通貨防衛策を打ち出す気配がない。



この週末にトルコ政府が通貨防衛策を出さなければ
週明け金融不安が国際金融市場に広がることは必至。

すでに地理的に近いユーロが打撃を受け、ドイツの株価も下落。
そして円にも安全通貨として買いが入っている。

トルコ国民は8千万人もおりアルゼンチンなどと違い
経済力に厚みがあるだけに簡単には破たんしないとは思うのだが。

果たしてトルコ危機は夏休み真っ最中の国際金融市場に
大打撃を与えることになるのか否か要注目だ。


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夏枯れ

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(さるすべり)

8月上旬は一年で最も暑い時期と言われるように
雨もほとんど降らない猛暑日が続いている。

街を歩いても見かける花は朝顔とさるすべりぐらいで、
どれもこれも水不足を訴えているようだ。

つまり世の中は夏枯れ状態で、夕立は降らないかと毎日空を
見上げているものの結局あきらめて水やりに精を出している。



ことほどさようにこの季節は植物に限らず物みな夏枯れだが、
それは金融市場も例外ではなく総じて平穏な日々が続いている。

このように通常8月は夏休みでのんびりムードが漂うが
時々大きなショックに見舞われる。

現在の金融市場は材料も乏しく、あえて言えば長期金利(10年債)の動向つまり
米国が3%台に乗せるか、日本が0.2%に接近するかが注目される程度だ。

また米国の経済指標も好調で2QのGDPが4.1%となりトランプ大統領が自慢したように
しばらく米国一強時代が続くとみるのが妥当なようにも見えるのだが・・・

つまり米ドルに死角はないとの見方が強まっているが、
それだからこそ石橋をたたいて渡らねばならないということでもある。



何か異変の予兆はないかと新興国を眺めると、メキシコペソが親トランプの
ロペスオブラドール大統領が誕生して最強の通貨となっていることが不可解だ。

そしてトルコリラが15%に政策金利が設定されているものの効果なく
最弱通貨として下落を続けている点が不安材料。

そして肝心要の人民元は貿易摩擦を金融緩和・通貨安で乗り切ろうとする
政府の意図を反映して6.8台と続落しており引き続き不気味である。

ともかく夏枯れの時こそ雷鳴とどろく夕立に要注意だ。



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葉月

陰暦に言う文月が終わり葉月が始まった。

それにしても7月は暑かった。実際6月後半に梅雨が明けて以降
猛暑が酷暑になりさらに炎暑となった。

とはいえ8月の声を聞くとようやく夏も半分を過ぎたかと思えるだけに
気分も軽くなるし、これからのひと月はクーラーを使いまくって熱帯夜を
乗り切るぞと決意する次第だ。

そんな折、昨日は日銀が「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を発表した。

その内容は緩和継続を目指しつつも副作用に配慮する妥協の産物で、
その意図も具体的政策も曖昧模糊としていて暑さに疲れたわが頭では
よく理解できず苦慮しているところだ。



日銀としてはデフレ脱却に向けて緩和継続の旗をおろしたくないが、
地銀はじめ銀行業界は低金利が継続して青息吐息で破綻しかねず心配だ。

さらに国債市場や株式市場のゆがみも顕著になっていることも気がかりだ。

そして景気の良い時には金利を引き上げて将来景気が減速したときに
新たな緩和策を打ち出せるようにのりしろもつくっておきたい。

くわえて出口戦略も視野に金融引き締めの準備もせねばならないしなど、
優先課題が多すぎてにっちもさっちもいかなくなりつつあるということだろう。

したがって結論として長期金利の振れ幅を2倍に許容する「弾力化」という
何だか分かったような分からないような政策を打ち出したのだ。



結局目指すところが何なのか分からないので市場は右往左往して
いるのだが、ひとまず急激な円高を回避できたので日銀も胸をなでおろしたということか。

それにしても5年半前に黒田総裁が登場した時に「2年で2%、戦力の逐次投入はしない」と
言い切った時は喝采を浴びたのだが。

その後は「目標達成時期の後ずれ」との苦渋の発言が続き、戦力の逐次投入の
連発にもはや金融市場における「預言者」としてのカリスマ性は失われた。

実際日銀内部を見ると、金融緩和の継続を求める政府が日銀に送り込んだ
リフレ派と称される政策委員たちが強硬な金融緩和を求めて、日銀執行部の
金利引き上げへの動きを断固阻止しているようだ。

この日銀の立ち往生を見ていると日本経済のそして相場の先行きも
分からなくなる。

実際8月というのは過去20年のうち14年は円高だとの事実を見れば、
この夏枯れも突然の夕立に見舞われることを十分に警戒しておく必要がありそうだ。


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金融正常化

4月末の金融政策決定会合において日銀は19年ごろ
としていた物価目標の達成時期の文言を削除した。

2014年4月の黒田総裁就任以降、「2年程度で物価2%を達成する」と
明確にコミットして異次元緩和がスタートしてすでに5年が経過。

この間ETF購入、国債買い入れ増額、マイナス金利などさまざまな
追加緩和策を実施しながらも、達成時期を先送りすること10回を超え、
すでに目標はあって無きがごとくなっていた。

したがって今更ながらその旗を降ろすことになった。

これで周辺から追加緩和の督促もなくなる一方で
金融政策のフリーハンドを得たと言うところだろう。



そもそも円高不況、デフレ不況と言われてコアインフレ
(一時的な要因である生鮮食料品を除く)を上げることにして
壮大な社会実験によりデフレマインド払拭を図ってきた。

とはいえ円安政策などいかなる金融手法を用いてもインフレ数値が
上がらぬ以上、デフレの原因は構造的な要因、つまり人口減や中国からの
輸入デフレなどの影響が大きいと考えるのが妥当だろう。

このまま2%目標に拘っていると永遠に超緩和策に
固執することになり、金融市場の変質や金融機関の弱体化など
副作用への懸念が大きくなる。

したがって円安が進んでいる現在こそ緩和縮小(ステルス・テーパリング)を
進めて金融の正常化を進めるべき絶好の機会と言うべきだろう。



そして外部環境を見ると今や金融正常化を掲げ利上げを続ける
米国に追随する時だろう。

米国経済は減税効果などもあり上振れ状態が続いており、
経済の専門家ではないと言われるパウエル議長の議会証言なども
何だか自信を感じさせる。

クシャクシャとまるでおばあさんの言い方と揶揄された前任者のイエレン氏や
ネイティブ以外には理解不可能と言われた前々任者のバーナンキ氏とは異なりいたって好評だ。

日銀も負けずに金融正常化を進めて欲しいと思うのだが。



..

タケプロン

胃の調子が悪い時にしばしば処方されてお馴染みなのが
胃潰瘍に効果を発揮するタケプロン。

このタケプロンは武田薬品の儲け頭と言われるが、
間もなく20年の特許期間が満了する予定だとか。

したがってジェネリックが登場することになり独占的利益を失う
つまり薬のライフサイクルで言う寿命が尽きることになる。

このように武田ではいくつかのヒット商品の特許満了が
今後予定されており、新たな開発や買収による市場
拡大が必要だったとされている。



この状況下、武田薬品はアイルランドのシャイヤーを7兆円で買収
することにしたが、国内トップとはいえ売り上げが7千億円
程度の会社がこんな大きな買収に乗り出して大丈夫なのか?

社長が外国人であると聞けばなるほどと思い、日本の市場が縮小化
している中では必然だったのかも知れないのだが。

ともかく株式市場では武田の財務状況悪化を懸念して
株価はこの3か月で3割程度下落している。

実際有利子負債が現状の1兆円から4倍ぐらいになるとのことで
その買収後を危ぶむ向きが多いのも無理からぬところだ。

30年前になるがソニーが米国CBSを買った時の金額が
4千億円で驚いたものだ。

さらに15年前にソフトバンクがボーダフォンを皮切りに
数々の買収を1兆円~2兆円単位で行っており、さすがに
孫正義かと思わせてはいたのだが。

果たして武田の体力でソフトバンクもびっくりするような
大型買収を支えきる体力があるのだろうか?



一方2017年の経常収支黒字が20兆円と2年連続で
大台に達したが、7兆円の大型買収の為替市場への影響は
どうなるのか気になるところだ。

これまで大型買収案件が出るたびに為替市場では思惑の
外貨買い・円売りが出回ってきた。

この2か月を見ても武田がらみで英ポンド買い・円売りが
出ているようでもある。

とはいえその買収資金7兆円がすべて円資金の調達そして
ポンド買いが行われるのではなく、外貨での調達部分も
相当大きなものとなるだろう。

したがってポンド買い/円売りがストレートに出回るのは
限定的とみられるが、影響は無視できないものとなろう。

ここしばらく武田そして英ポンドの動きには要注意だ。


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プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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