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115円シーリング

2015年6月円相場が125円に達した時に黒田日銀総裁は
現行水準は実質実効レートで見れば円安だ、と語った。

その後円相場は一端100円割れをみたが再び切り返し
今年に入って以降は105円~114円で推移し目下112円台。

同時に過去1年半4度ほど115円をトライしたが
ことごとくはじかれて115円がシーリングに見えるのが実情だ。



先週末ムニューシン米財務長官は物品貿易協定(TAG)交渉において
「為替条項」導入に言及し、日米においてもNAFTA同様為替の縛りを
盛り込む意向を示した。

それについて日本の麻生財務相や茂木経済財政相などからこれまでに
交渉の経緯が無いことはじめ全面否定の発言が行われているのではあるが。

一方今週中には米財務省が為替報告書を議会に送ると見られている。
その中で為替監視国の中国や日本の取り扱いが注目されている。

中国については為替操作国と指摘されるのか否かが最大のポイント。

そして貿易黒字をため込み円安誘導疑惑がつきまとう日本が
引き続き為替監視国に挙げられるのか注目されるところだ。



現在の金融市場は米国がトランプ減税で財政悪化をものともせずに
バラマキを行って景気浮揚を図り、一方で金利の高め誘導を行っている。

他方日本は日銀がハードランデイングを回避しながら出口戦略を進める
ナローパスを探っている。

つまり日米金利差は大きいままであり、当然のこととして
米ドル買い円売りが進む。

その結果円は名目的にはさほどではないものの、実質実効レートベースでは
史上まれにみる円安水準となっているのだ。

そろそろ円高への大調整が起きてもおかしくないと思っているが
原油高や年末の季節要因もありそのタイミングを推し量るのは難しい。

とはいえ過日株価大調整があったように6年続いた円安も新たな
局面へと進んでもおかしくないように見える。

とすればムニュー―シン・シーリングとも言われる115円が
本当に存在するのか否かのマーケットの挑戦が注目される。



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ドル安論者

戦後米国主導で国際連合が設立されまたIMF・世銀体制が構築された。

そして例年9月末には国連総会が行われ世界の首脳がワシントンに
集合したことから様々な重要案件が決定された。

したがって固定相場制度下にあった通貨についても、
この時期には多角的通貨調整が行われることが多く、
9月~10月は「通貨の秋」と言われることになった。

1973年の変動相場制への以降の後も9月は為替相場の
大変動がたびたび発生したたことから、「通貨の秋」は死語と
なるどころか、今もアノマリーとして生き続けている。



今年もまた9月25日から国連総会が始まる。

これを前に24日にはワシントンでFFR(日米通商協議)が行われる。
また安倍首相は渡米し9月26日にトランプ大統領との首脳会談に臨む。

これらの会議のテーマは通商問題、とりわけ日米間に存在する
貿易不均衡だ。

その是正は中間選挙を控えて支持者を慰撫したいトランプ大統領としては
絶好のチャンスである。

一方日本政府はドナルド・シンゾウのデレデレ関係を維持し、
為替への言及を避け何とかやり過ごしたいとの思いがにじむのだが。



それでは米国側から為替への言及はないのか?

これまでトランプ大統領は「合意がなければ日本は大変なことになる」などど
脅迫的なツイートを行っているだけに為替問題が俎上に上がる恐れはある。

もともとトランプ大統領は「ドル安論者」だ。
とはいえこれまでのところ為替に関する発言は抑制的である。

また口が滑った場合にはムニューシン財務長官がいつも
火消しに努めてきたのであるが。

9月23日と言えば33年前、レーガン大統領の貿易不均衡を
是正したいとの意向を受けてプラザ合意を経て
未曾有の円高が始まった日でもある。

果たして今年の「通貨の秋」は何が起きるのだろうか?



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喉元過ぎれば

9月15日(土)  曇り  23度

十年前の今日、リーマンブラザーズが破綻した。

10年も経つとその日の記憶は遠く霞んでいるが
その後の激動は今も強烈だ。

その日も確か土曜日。

政府・金融当局は市場がクローズしている週末に破綻を公表するのが常となっているが、
週明けの月曜日から市場が大暴落し
世界の経済活動は未曾有の落ち込みとなった。

リーマンと言えば米4大証券の一角を占めていただけにその破綻の
影響が様々に及ぶことは推測できた。

それだけに政府が支援し続けるのが
当然とも言えたのだが。

とはいえその経営の乱脈ぶりからブッシュ政権およびFRBが
見放したのはやむをえない選択だったのだろう。

それにしてもその被害の大きさは金融危機の恐ろしさを
強く認識させることになった。



これまで金融危機についてはその都度原因の究明が行われてきた。

この百年に一度の危機については住宅市場の崩壊やCDUという
デリバティブ商品の異常な進化、ノンバンクの跋扈などが挙げられた。

そして何よりも問題視されるのが人間の「強欲さ」だ。

一億総投資家となり強欲さに身を任せて金儲け主義に走った
結果がこの惨事につながったということだ。

それを戒めるべくボルカ―ルールが作られ金融改革法が施行されて
リスクテイクやトレーデイングが制限されたのではあるが。



この未曾有の危機を乗り越えるために米中はじめ各国政府は
10年にわたり財政支出を活発化しさらに金融を緩和してきた。

そのおかげで世界経済は何とか成長軌道を取り戻したかに見えるが
同時に10年前に戒めたはずの強欲さが再び市場に垣間見えるところとなった。

すでに政府、企業、個人の債務残高は10年前に比べ40%以上と
経済成長を大きく上回るペースで増加したと言われる。

10年は喉元の暑さも忘れるに十分の長さの期間ということか。
新たな金融危機が何時、どこで起きるかについて考える良い機会だ。




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トルコ大波乱

8月10日(金)  晴  35度

お盆ウイークが始まり高速道路や新幹線が混雑する一方で
金融市場は閑散となっている。

ということで市場には泰平ムードが蔓延していたが、そんな時こそ何かが
起きるのが常でありここ数日来の懸念が表面化した。

対米関係悪化そして米ドル高に直撃されて最弱通貨の代表となっていた
トルコリラが1日で30%近くも大暴落したのである。

トルコリラは10年前の2008年8月の1ドル=1リラから続落をはじめ、
戻り場面もほとんどないままについに先日5リラを割り込みさらに本日7リラ台をつけた。

トルコ円でみてもこの10年間に1リラ94円から続落して20円水準と1/5に
なっていたが、一気に15円台へ突入したのである。

したがって一日の値動きは過去にも例を見ないほど激しく、相場が消える
瞬間が何度かありそのたびに2円つまり10%幅で大乱高下した。



このトルコ売りの背景には、高金利を嫌うエルドアン大統領のけん制を受けて
中央銀行が動きを封じられていること。

したがって政府・中銀が通貨防衛策を打ち出すこともないと高をくくった
見方が支配的となって、
資金流出が止まらず投機筋の売りが売りを呼ぶ。

トルコリラそしてトルコ経済は底なしの状態となっている。

子のように経済破綻と銀行危機の不安が高まっているのだが
エルドアン大統領は国民に外貨資産をリラに振り向けるように
訴えるのみで通貨防衛策を打ち出す気配がない。



この週末にトルコ政府が通貨防衛策を出さなければ
週明け金融不安が国際金融市場に広がることは必至。

すでに地理的に近いユーロが打撃を受け、ドイツの株価も下落。
そして円にも安全通貨として買いが入っている。

トルコ国民は8千万人もおりアルゼンチンなどと違い
経済力に厚みがあるだけに簡単には破たんしないとは思うのだが。

果たしてトルコ危機は夏休み真っ最中の国際金融市場に
大打撃を与えることになるのか否か要注目だ。


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夏枯れ

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(さるすべり)

8月上旬は一年で最も暑い時期と言われるように
雨もほとんど降らない猛暑日が続いている。

街を歩いても見かける花は朝顔とさるすべりぐらいで、
どれもこれも水不足を訴えているようだ。

つまり世の中は夏枯れ状態で、夕立は降らないかと毎日空を
見上げているものの結局あきらめて水やりに精を出している。



ことほどさようにこの季節は植物に限らず物みな夏枯れだが、
それは金融市場も例外ではなく総じて平穏な日々が続いている。

このように通常8月は夏休みでのんびりムードが漂うが
時々大きなショックに見舞われる。

現在の金融市場は材料も乏しく、あえて言えば長期金利(10年債)の動向つまり
米国が3%台に乗せるか、日本が0.2%に接近するかが注目される程度だ。

また米国の経済指標も好調で2QのGDPが4.1%となりトランプ大統領が自慢したように
しばらく米国一強時代が続くとみるのが妥当なようにも見えるのだが・・・

つまり米ドルに死角はないとの見方が強まっているが、
それだからこそ石橋をたたいて渡らねばならないということでもある。



何か異変の予兆はないかと新興国を眺めると、メキシコペソが親トランプの
ロペスオブラドール大統領が誕生して最強の通貨となっていることが不可解だ。

そしてトルコリラが15%に政策金利が設定されているものの効果なく
最弱通貨として下落を続けている点が不安材料。

そして肝心要の人民元は貿易摩擦を金融緩和・通貨安で乗り切ろうとする
政府の意図を反映して6.8台と続落しており引き続き不気味である。

ともかく夏枯れの時こそ雷鳴とどろく夕立に要注意だ。



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プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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