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ウォ―レン・リスク

米中雪解けムードの中で米国株は27600ドルを超えて
史上最高値を更新中だ。

今や米中双方が追加関税の全面撤廃へと進んでいるとの
中国側からの発表もあり、市場では強気が優勢。

とはいえホワイトハウスでは依然ナバロ氏などの反対も根強く、
米国側からは確たるフォローはない。

何より第一段階である部分合意について調印式の場所も
決まっておらず、日程も12月以降にずれ込む見込み。

もはや決裂はないにしてもまだまだ貿易交渉は紆余曲折がありそうだ。



とはいえ株式市場はすでに期待に溢れている。

それでは失望そしてダウンワードへ転じるリスクはないか。

まず現状の水準で高所恐怖症が広がりつつあるのは否めない。

実際2008年のリーマンショックの翌年の6000ドル台を底に
既に10年を経過して上昇してきたことが指摘される。

長期波動である10年サイクル論に従えばそろそろ天井だが、
中期的波動である3年サイクル論に従えば米経済は底打ちしたばかりで、
これから、上昇トレンドに入ることになる。

ISM非製造業指数はもちろん製造業指数も改善に転じたも言えるなど
米国経済は改善しつつあるようにも見える。

果たしてどちらのサイクル論が当てはまるのか?



二番目の関門はウオーレン・リスク。

大統領選まですでに1年を切ったが、目下トランプ大統領の
再選確率は56%。

ウクライナ疑惑で76歳のバイデン候補が失速気味、そして78歳の
サンダース候補は体調も今一つと両者とも年齢の壁は厚そうだ。

ということで目下劣勢の民主党でトップを走るのがウオーレン女史だ。

筋金入りの社会主義者で法人税減税措置はやめ、富裕税をかけ、
GAFAの分割を示唆し、さらにグラススティーガル法の復活をも提唱する。

カネ余りの強気相場においてこのウオーレン・リスクの芽がどのように
育ち、投資家に不安を増幅させて行くのだろうか。

来年3月のスーパーチューズデーまで民主党の大統領候補選びと
株式市場を両にらみする日々が続くことになりそうだ。





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外為法改正

戦後の世界経済は国際協調を志向し、投資・貿易の自由化を求めて
IMF・世銀・GATTを主軸に平和と経済発展を図ってきた。

この過程で日本は戦後の復興を遂げ、1964年にIMF14条国から
8条国となり庇護対象国から先進国の仲間入りに成功した。

さらに1980年には従来原則禁止とされてきた外為法
(外国為替及び外国貿易法)が改正され原則自由、一部届け出制へと大幅に衣替えをしたのである。

お陰で日本は貿易のみならず活発な金融取引を背景に
経済成長を遂げて世界第3位の経済規模を達成するまでになった。



ところがここに来て世界の自由貿易主義は曲がり角にきた。

もちろんその原因として巨大化する中国があり、そしてそれを懸念する
トランプ大統領の保護貿易主義が加速化したことである。

すでに米欧は中国の企業買収そして技術流出を懸念して対中企業防衛
の施策を打ち出している。

その潮流の中で米欧と比べ無防備と見える日本はこれらの国々から圧力を
受け、ここにきて外為法の改正が内閣決議され国会審議を経て来春から
施行される見込みとなった。

その骨子は対日投資について一企業の10%以上とされてきた
大型投資の届け出対象を1%以上とすることである。

つまりAIやITなど国家の中枢を担う産業の防衛を図ることを目的とする。

ただ外国の投資運用会社による純粋な投資については
その縛りはかからないとしている。



一時代前の金融市場が牧歌的であった頃、つまり外国からの
資本流入が限られていた頃は日本の企業の株式は機関投資家など
安定株主による相互持合いで安定的な経営が行われてきた。

この閉鎖性は徐々に開放され今日に至ったが、それだけに
外国投資家次第で経営が安定を失うことになりつつあったのは明らか。

中国の買収工作も脅威ならアクティビスト(もの言う株主)の
存在も鬱陶しい。

今回の改正により、今後日本は再び海外の投資家への門戸を閉じる
傾向を強め対日投資が萎縮して行くことになりそうだ。

と言うことで米国何よりもトランプ大統領の影響力の大きさを感じさせるが
この結果外人の投資比率が高まっている日本の株価や債券が暴落する可能性が高まるのではないか。



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為替介入

12日のECBによる小幅利下げに続いて18日の米国では
FOMCにおいて0.25%の政策金利引き下げが決定された。

次いで19日には日銀が金融政策決定会合において長期金利の
誘導目標を「0%程度」短期政策金利をマイナス0.1%で据え置いた。

つまりマイナス金利の深堀の副作用に日本は動けず
他国に比べ円金利の相対的引き締め感が浮き彫りにされ、円高への転換の
可能性がジワリと高まったのである。



このような環境下巨額の財政赤字に加え経常赤字を
抱えるトランプ大統領は各国の通貨安政策に怒り心頭だ。

ということで自国も通貨安をとの誘惑に駆られてはFRBに激しく
金融緩和策を求めているが、FOMCはタカ派とハト派が拮抗しており
大統領の思惑通りに動いてくれない。

それならばと自らの手の内にある財務省に指示をして「為替介入」に
踏み込むしかないと考えるのは当然ではないか?

当然単独介入で原資も限られるが、そのターゲットは為替操作国に指定され
現在7.0~7.2の水準にある人民元に対するドル売り介入と言うことになるのだろう。



仮に対象通貨が人民元に限定されるとしてもそのアナウンス効果は
絶大で、他通貨への影響も大きくドル急落の可能性も拭えない。

実際トランプ大統領が不満を述べるまでもなく現在の米ドルが
高い水準にあることは明白でそれだけに介入の効果は大きくなるだろう。

過日東洋経済オンラインで「マンハッタンの預言者」こと若林栄四氏
が「2023年にNYダウが暴落し1ドル65円」と予測していた。

その水準までとは言わないがもっと早くに90円ぐらいは
あるのかも知れない。

とりあえずこれからしばらくは米ドル下落を引き金にした
NYダウと米国債のトリプルショックの可能性を注視しておきたい。


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雲の晴れ間

9月6日(金) 晴 33度

9月に入り最高気温が30度を切る涼しい日が続き
早くも秋が訪れたかと喜んでいたのだが。

昼下がりに三軒茶屋まで片道30分を徒歩で往復したが、
余りの暑さに途中スーパーで暑さをしのいだり。

現地で冷たいものも補給したが帰り着いたときには意識も
何だかボっとして、どうやら軽い熱中症になったのかも。

ということで9月の声を聞いても8月の名残は簡単には消えず
それは金融市場も同様である。



金融市場は8月に取り巻いていた黒雲つまり3つの地政学リスクが
この2日急速に好転して株価は上昇。

これから本格的な回復があるのかは疑問ではあるものの、
とりあえず雲の晴れ間が見えた昨日今日だ。

その切っ掛けは香港のキャリー・ラム行政長官辞任説の浮上と
逃亡条例の撤廃が米中対決の雰囲気を緩和させた。

さらに追い打ちをかけたのが行き詰まっていた米中貿易交渉について
閣僚級会議が10月に再開される見込みが強まったこと。

そして3番目が10月末に迫っていたブレクジットがひとまず
回避される見込みになったこと。

何が何でも合意無き離脱をし米国への接近を強めたい
ジョンソン首相は、総選挙が封じられたもののそれならばと保守党内
からの
内閣不信任案提出まで目論んでいたのだがどうやら万事休すか。

もはや英国の先行きについては誰にも分からぬ状況で、ともかく
上院においてEU離脱が3か月延長され協議が続行される見込みになった。



このように一瞬垣間見えた雲の晴れ間ではあるが、その先行きは
大国の思惑は複雑だけに事は簡単には運ばない。

もともと国際情勢の研究についてはナチスドイツを起源とした
地政学(GEOPOLITICS)が主流となって今日に至っている。

さらにこのところ地政学に加えて米国辺りでは地経学(GEOECONOMICS)なる
研究領域が広がりつつあるようだ。

その理由はと言えば、近頃の地政学リスクの原因は米国はじめ各国が
自国を有利にするために経済を活用することに求められ、その結果として
その視点からの研究が盛んになりつつあることによる。

つまりこの新しい学問領域の発展を後押ししているのは、
自国第一主義を掲げ経済・貿易を有利にしようとする
トランプ大統領の存在であると言えなくもないのは笑えない事実だ。

どちらにしても米中英欧を巡る地経学上の問題は根深く、
一朝一夕で解決するものではないだろう。

とすれば垣間見えた青空は所詮一時的なものであり
大きく広がって行くことはないのではないか。

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盛夏

8月14日(水)  曇り 32度

梅雨明けから2週間余り35度を超えるような暑い日が
続いたが、台風の接近でようやく一服。

例年のことながら6日の広島を皮切りに、9日長崎、12日御巣鷹山、
さらに15日の終戦とこの間の重さと暑さは半端でない。

都会育ちだった故かお盆に祖先の霊を迎えそして送るといった
風習など余り体験がないが、この10日間は日本人にとって鎮魂の
季節であるのは昔も今も変わらない。

ともかく16日の送り火で夏の終わりが始まると思えば、
心に余裕も芽生えて行く夏を惜しむ気持ちも湧いてくる。



8月上旬の金融市場は薄商いの夏枯れ状態のはずだったが
今年もまた激しく値動きした。

このブログでも少し触れたがアストロロジー(占星術)は8月1日の
「新月のドル売り」を預言していた。

実際同夜対中関税第4弾が発動され、ドルは総崩れして
109円台から105円割れ目前までに迫った。

実際2015年8月にチャイナショックがあったように「夏は円高」
との連想も加わって、100円割れへの期待と不安が広がったままである。

夏休み明けの来週あたりからが正念場となるのかも知れないが、
過去40年余りの8月の実績は円高と円安が半分づつだったとかで、
「夏は円高」というアノマリーへの思い込みは要注意か。



ともかくこのところの安全資産の円買いの背景にはトランプ大統領による
対中関税第4弾と口先介入やFEDへの圧力、さらに香港国際空港の機能マヒ
などの政治リスクもある。

とはいえ米国10年債が1.6%水準に下落したようにFEDの利下げを
向こう1年分も織り込んでしまっているのはやり過ぎではないか。

今後中国の財政発動や人民元への不介入が立証されるに従い
トランプ大統領はこれまでとは逆も含めて何を言い出すかも知れない。

早速昨夜は対中関税の内ハイテクやアパレルの一部を当初の9月1日から
12月15日に延期すると発言して市場を攪乱している。

トランプ大統領の朝令暮改には要注意だ。



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プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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