暗黒の月曜日

10月19日(木)

10年ひと昔、20年大昔と言われるように
近頃時代の流れがとても速くなっている。

とすれば30年はどのように言えばよいのか分からないが
とても遠い時代の話に違いない。

とはいえ30年前の10月19日の「暗黒の月曜日」
(ブラックマンデー)の記憶だけは未だ鮮明だ。

その敗戦処理でしばらく日比谷界隈で夜食を取りながら
ニューヨークの先物市場のオープンを待ったものだ。



当時も今と同様にNYダウは好調に推移していたのだが、
前週末金曜日比で500ドルおよそ23%下落したのは本当に突然だった。

つまり現在の相場で換算すれば1日で5000ドルの暴落に相当するだけに
その下落率の大きさは今もって更新されていない。

相場は案外早くに回復したので1929年の大恐慌の二の舞に
ならなかったのはせめてもの救いだった。



ところで30年後の現在の相場はいたって好調で、今日は記念日にあたるものの
その事件は昔話となり、日々の活況に忘れ去られたと言ってもよさそうだ。

実際NYダウは日々史上最高値を更新し、ついに23000ドルを抜いた。

金利上昇をものともせずに棒上げする相場の強さは本物と専門家が
太鼓判を押すだけに買いが買いを呼ぶ状況に至っている。

そしてそれを裏付けるように経済指標は台風による一時的な落ち込みから脱して
軒並み好数字を連発しているのだ。

30年前と現在の環境は大きく異なっているのだが、唯一類似点があるとすれば
FRB議長の交代。

当時はボルカ―氏からグリーンスパン氏に代わったばかりで
政策運営の不透明感が増幅していた。

そして現在は5人に絞られた議長候補たちとのトランプ大統領との
面接も終わり今や結果発表が行われるだけとなった。

このFRBの政策運営、とくにタカ派の議長(たとえばテーラー氏やウオーシュ氏)
が就任した場合は、金融市場にショックを与える可能性は無視できない。

ということで現在の強気相場は要警戒と言って良いのではないだろうか。



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日本経済はバブルか

2012年末から続く景気の拡大局面はすでに5年近くにおよび、
バブル期を越えて戦後3番目の長さとなる。

とはいえ給与があまり改善しておらず、また経済成長率も1%程度と
生活者目線から言えばその実感は乏しい。

また有効求人倍率も1.5倍に達して人手不足が言われるし、
経済指標的には景気好調と言うことになるのだろう。

一方金融資産市場についても日銀の年間900億円のREITの
購入を追い風に、不動産市場はすでにバブル状態と言われる。

さらに株価も2万円水準にとどまっているものの日銀の年間6兆円に及ぶ
ETF購入で実力比2~3千円ほど高くなっているともいわれる。

すべては黒田日銀の4年半にわたる緩和政策の結果ではあるが、
その効果はこのところ息切れする一方で、副作用が目立つばかりで
今後はそのつけを払うことになるのだろうか。



黒田日銀が「2年で2%」を旗印に建前はデフレ脱却、本音は円安政策を
進めて株高と円安の期待感を煽ってきたが、そもそも2年で2%などを裏付ける
学問的根拠など存在しなかったようで、所詮「エイヤー」だったのか。

ただ黒田日銀発足が安倍首相就任半年を経た段階で、すでに20円の円安、
そして4千円ほど株高状態だったことを奇貨としたということか。

「期待をあおれば何とかなる」「やっちゃえ」との雰囲気が当時の
日銀を強く支配していたとの、関係者の本音が今頃流れてくる。

かつて太平洋戦争もそしてその流れの中で強行されたインパール作戦も
結局責任者の顔が見えないままで惨敗した。

それと同様にこの量的緩和策の責任が将来問われることに
なったなら、黒田総裁や官邸エコノミストなどの名前が出るにしても、
結局誰も責任を取ることはないだろう。



目下の金融政策は(その量的な規模が大きいだけに)ある程度の効果を
示しているが、マイナス金利の世界に足を踏み入れるなど経済をいびつにし、
また株価や不動産の価格形成をゆがめている。

そしてこれまで行ってきた空前のETF、REITそして長期国債の大量購入から、
一転してその購入量を減らす、やめる、さらに売るというステップを踏むことになる
出口戦略を誰が指揮し、また日本経済に激震を与えることなく実施できるのだろうか。

2019年の日本経済は、大盤振る舞いに終始した経済対策の息切れ、さらに五輪前の
インフラ投資の一服、そしてこれまで2度も先延ばしされた消費増税の3度目のトライと、
いよいよバブル崩壊を前に正念場を迎える。

その時(すでに辞任している可能性の高い)安倍首相そして黒田総裁は
いかなる言い分けをするのだろうか?



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一線を越える?

神戸市議とタレント国会議員の不倫疑惑問題が
お茶の間を賑わせている。

新幹線での手をつないでのうたた寝やホテル廊下をパジャマで歩く姿が
報道され、当人たちの「一線を超えていない」との主張だけが空しく響く。

まあバカバカしい話題ではあるが、「そもそも一線とは超えるべきためにある」
などとの野次は妙に納得するところでもある。



為替市場はこのところ夏枯れの様相を強め、ボラティリティ
(変動率)が低迷し、どこもかしこも儲からなくて悲鳴が上がる。

とはいえドルは少しづつ切り下がっており、ついにユーロ・ドルは2年7か月ぶりの
高値に上昇し、今や1.20の一線を越えようとしている。

一方ドル円についてもじりじりと円高が進み、本日は約2か月ぶりに
110円の一線を越えて109円台へ突入しそう。

いよいよ105円に向かって投げ売りが出るのかどうかが注目されるが、
市場はいたってスローで「動かざること山の如し」だ。

常識的に考えれば一線を越えることなく1.20、110円を壁にして
またまたボックス相場で推移するということになるのだか、
やはり一線は超えるものでもあることを忘れてはいけない。



米国に目を転じると、トランプ政権では人事がごたごたし
今や家族以外は信頼できないと言ったところだ。

さらにロシアゲート疑惑解明に向けてモラー特別検査官の
大陪審設置の動きも注目される。

一方日本では内閣が再改造されたものの、
どこまで支持率が回復するのかあやしい。

たいして改造の目玉もないが、一億総活躍に向けて
「人づくり革命」などと活字だけが躍る。

「改革」ならまだしも「革命」など安易に使うなと共産党が
批判しているが、なるほど「革命」など片腹痛い限りだ。

そんなこんなで支持率低迷が円高への切っ掛けに
なるかも知れない。

一線を越えると一気に行ってしまうのが相場でもあり、
真夏の悪夢にはくれぐれも注意しておくにこしたことはない。



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狼少年

過日黒田日銀はインフレ目標達成時期を「2018年度ころ」から
「2019年度ころ」へと6度目の延期を発表した。

2013年4月に登板し、2年で2%実現と高らかに宣言したものの、
すでに4年半近くが経過し、相変わらず0%近辺で推移している。

強気で自信家の黒田総裁が「インフレが来るぞ来るぞ」とまるで狼少年のように
言い続けてきたが、
このような先延ばしがかえってインフレマインドを後退させているようにも見えるのだが。

いい加減に戦略の失敗を認め、その原因を究明し、新たな施策を
打ち出したら良いのではないか。

それでなくとも現在の政策続行は副次的なマイナス効果が
大きい点で懸念されるところだ。



このように何年も目標が達成できない原因として賃金が上がらないことや
原油価格が下がったことを理由にして久しいのだが。

一日伸ばしに目標達成時期を先送りすることの心理的弊害が大きくなりつつ
あるのではないか。

賃金が上がらない状態で日常品が値上がりして行く最悪の現象が
進んでいては、財布の紐を締めるしかないのが庶民の防衛策であり
デフレスパイラルから抜け出すことはますます難しくなる。



そもそも2%の目標設定が正しかったのか?

独自の計算根拠があったのか、大方の先進国がこの水準に設定しているので
右に倣ったのかは知らないが、同じ2%水準だと経済の安定に資する、
ということもあったかも知れない。

とはいえ世界のインフレ率は過去30年4%水準から下がり続け
現在では1%レベルとなっており、実際2%を達成しているのは英国だけ。

とすれば2%目標はあくまで過去の経済実態を反映した画餅かも知れず、
より今日的かつ実践的な目標が設定されても良いかも知れない。

中央銀行のデュアルマンデートは物価の安定と雇用の安定ではあるが
果たして現在のように株や不動産や債券市場を買い支えるような
金融政策は正しいのだろうか?

日銀が20年前に日銀法を改正し政府からの独立を確保し、国民生活に寄与する
ことに専念すると思ったものだが、実際は政府の為に国債を引き受けて財政支出
の資金をひねり出すことばかりに注力しているように見える。

黒田総裁は任期が半年余りとなった今、そろそろ自らの5年に渡った
金融政策を総括する必要が迫っているのではないか。



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ABEXIT

安倍政権が誕生して間もなく5年。

都議選敗北後、首相は驕り緩みがあったとの言葉を口にしたが、
権力は必然的に腐敗するものなのだろう。

もりやかけ問題は安倍夫人にとどまらずそのお友達の下村夫人にも
感染しているといわれるが、果たして安倍政権の未来は。

この状況についてFT紙は「ABEXIT」と安倍政権の終わりに言及し、
その場合日本株は20パーセントの下落がたらされると予想している。

もともと日本の政治リスクは低いと見られてきただけに、
今後の政権の行方には注意しておくに越したことはないだろう。




一方安倍政権とほぼ同時に誕生した黒田日銀。

来年4月の総裁任期を控えて今後の金融政策、
とくに出口戦略への動きが注目されるところだ。

とくに米国に続いて欧州も金融正常化を始めようとしているだけに
日本がいつまで異次元緩和に固執するつもりなのか。

現在日銀の資産も膨らみ放題で、資産内容の悪化も中途半端でなく
出口戦略の際の損失も懸念されるところだ。

そんなおり黒田日銀を襲ったのが原田日銀審議委員の
「ヒトラー称賛発言」でロイターが報じ世界を驚愕させた。



これは6月末の都内での講演で、ナチス・ドイツ総統だったヒトラーが
「正しい財政・金融政策をした」とヒトラーを称賛。

原田審議委員は1929年の世界大恐慌後の欧米の財政・金融政策に言及し、
「ヒトラーより前の人が、正しい政策を取るべきだった」という趣旨で語ったものだ
とロイターを誤報と言わんばかりの苦しい言い訳。

すでに国際的な人権団体は、「深く憂慮する。日本のエリートは
ホロコーストについて教育が必要だ」とする声明を発表。

原田氏に加え日銀広報も「審議委員の発言に誤解を招くような表現があったこと
については遺憾に思っている」との声明を発表。

どこかで聞き覚えのある言い回しと思ったら、安倍政権の政治家の
失言時に菅官房長官が謝罪する発言とほぼ同様だ。

なるほどこの原田氏も安倍首相のお気に入りで日銀審議委員に選ばれており、
稲田氏などとおなじ穴のムジナと言うこと。

大帝国が瓦解するのは内部からとは歴史の教えるところで
安倍一強政権もついにタガが外れたのだろうか。



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プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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