きらら銀行

「三菱東京UFJ銀行」が「三菱UFJ銀行」になると言う。

一説には「きらら銀行」や「あかね銀行」が候補に上がったと言うが、
それなら「三菱銀行」へと期待する向きもあったとか。

ともかく「東京」の名前が合併から21年を経て
消えることになった。

どちらにしても長すぎる名前は消費者には迷惑だが、
その名前には様々な人の思い入れがあり調整は難航したようだ。

お陰で頭取は病に倒れたと言うし、右も左も老人が多く
現役もその調整に苦労するということだろう。



かつて都銀と言えば14行もあり、興
長銀3行もあった。

これら17行はメガバンク3行とりそな銀の4行に整理されたが
旧銀行の名前を残せば長くなるし、新しい名前にするとどうしても
キラキラネームが出てくるのはやむを得ない。

とはいえ銀行の経営は近頃は預金に対して貸出が伸びず、
その落差を長期国債の購入に充てるのが一般的。

金融庁などは、金利上昇の際のリスクが高いだけに
長期債の圧縮を指導しているものの、メガはともかく地銀などは目先の
経営が苦しいだけにその指導に従わないとか。

最近日銀が出口戦略を考え始めているが、一朝実施に動けば
金利の上昇は避けられず、様々な銀行が債務超過に陥り
経営の破綻が続出するだろう。



それはさておき筆者が「東京銀行」で働いたのは僅か14年で
しかなかったが、若くて吸収力がある時代で、お陰で
国際金融の実務と裏表を勉強させてもらった。

したがってその銀行が完全に消え去るのは少し感慨もあるが、
金融の自由化が進み、日本の外貨獲得の苦労も消えた今日、
外為専門銀行の流れを汲んだ「東京」の名前が消え去るのも
必然と言うことだろう。



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金融正常化

日銀の金融政策と言えば、市場関係者が異常なぐらい関心を示す一方で、
一般の人が限りなく無関心であるというそのギャップに特徴があると言えよう。

黒田総裁が就任し2%の物価目標達成を掲げてすでに4年が経過し、
その効果への疑問が日増しに高まる。

有効求人倍率が1.5倍に接近し息の長い景気回復が続いていると言われるものの、
コアインフレ率は相変わらずゼロ%近辺でデフレ脱却の兆しは見えない。

つまり給料上昇が確認されない中でもはや2%の物価目標にどの程度の意味が
あるのかわからなくなった。

それでもその目標達成にこだわり、年間80兆円のペースでの
長期国債の買い入れを継続することの意味も同様である。

さらにREITやETFなどの購入を続けて金融市場を買い支えているが、
日銀の資産が膨張し財務内容が悪化しているのも明らかだ。



このような環境下において15~16日に日銀は金融政策決定会合を開く。
しかし現状のイールドカーブ操作を軸に据える量的緩和政策に変更はなさそうだ。

とはいえ日銀も現状認識を変えつつあるようで、
そのひとつが「円相場と輸出」の関係についてだ。

従来その因果関係については「Jカーブ効果」があり、円安が進むと
まず価格効果が出て輸入が増加し、その後輸出が増加し貿易収支の黒字化が進むと言われてきた。

しかし現在は4年にわたる円安にも拘わらずその輸出数量は増加しておらず、
その原因として海外への生産移転によるものだとの判断を日銀は下した。

すでに40年を超えて円高対策の一環として日本企業は生産の海外移転を
進めてきた以上、
かつて教科書で習った「Jカーブ効果」が薄れるのは当然であり、
日銀が見解を変えるのも今更と言ったところ。

その真意は「円安が日本の貿易黒字の増加ももたらしていない」ことを婉曲に
日銀は言っているわけで、結局米トランプ政権による対日赤字の原因としての
円安政策への批判をかわそうとの作戦の一環と言うことだ。



米国ではテーパリングをすすめ出口戦略へと突き進んで1年半。

そしてECBもその開始を目前にしているが、日銀の金融政策
とくに出口戦略については表向きその素振りは一切見せない。

どこまでも現状の緩和策を進めようと自信家の黒田総裁の腹は固まっているようで、
このまま任期二期目に突き進みそうな気配も漂う。

とはいえ現在の変動相場制下における金融政策は、
他国からの影響を排除して独立的に運営することが難しい。

従って教科書の教える通り日銀が海外の中央銀行に
引きずられることは免れない。

黒田日銀の政策の狙いは本来「円安政策」であるが、
またその効果が薄れてきた以上、量的緩和策を続ける意味も減じているのではないか。

そろそろ「クロダノミクス」の看板をおろして金融政策の
正常化を図る時期に来たのではないだろうか。

金利がゼロ状態では金利調節による経済調整ができないだけに
金融正常化つまり金融政策の伝統的手法への回帰は最優先課題だと
思うのだが。


6月8日

波乱含みの6月8日を控えて金融市場ではリスクオフムードが高まり、
いつものことながら円高も進んで一月ぶりで109円台となっている。

では一体何があるのかと言えば、米国でコ三―前FBI長官の議会証言があり、
トランプ大統領の司法妨害が明らかにされるのではないか、ということ。

そして2つめが欧州でECBの理事会があること。

これまで進められてきた量的緩和とユーロ安政策を脱して
ユーロ高への政策変更が打ち出されるのではないか、ということ。

そして3番目が英国の議会選挙。

当初は保守党が労働党を20ポイントもリードしメイ首相の信認投票と言われたが、
今やその差は僅かと接近しており万が一には逆転も、ということ。

昨年のブレクジットで英国人の大英帝国への矜持と郷愁と言った
本質を見せつけられただけに、その投票行動は読めず、
とんだことになるかも知れない。



今年に入り英国ではウエストミンスター橋やマンチェスターなどで
3度もテロが起きた。

その理由として、メイ首相が6年にわたる内相時代に経費削減を図り
警官を2万人も削減したことが、国内の不安定化を招いているとの
批判が高まった。

さらに「認知症税」と言われる高齢者ケアに伴う財政支出を
圧縮するプランを打ち出したことで批判が高まったこと。

これは高齢者が死後持ち家を手放すことで、ケア費用を捻出し
政府の高齢者負担を軽減するプラン。

これまで靴フェチと言われまたそのおしゃれ感で好感度が
高かったメイ首相だが、その運命は果たしていかに。

とはいえ対する労働党のコ―ビン党首も棚ぼたで就任したと言われ
さらに昨年のブレクジットでも存在感もなく「弱い」イメージしかない。

やはり英国は波乱の芽だ。



かつての大英帝国と言えば、例えばインド帝国の副王(王は英国国王)の
生活ぶりなどは驚くばかり。

今の英国はその面影はないが、それでも実力以上に国際政治において
遇されている。

現在の経済規模を見てもその実力と権威は一段と落ちているのは確かで、
EUももはや英国抜きへと前進しつつある。

果たして保守党は現在の330議席は無理としても
650議席の過半数を確保できるのか?

過半数割れつまりハングパーラメント(宙づり国会)は避けられないようであり
万一は政権失うという大波乱も視野に入れておく必要があるのかも。

昨年のブレクジットでポンド相場は160円から120円へ
そしてポンドドルは1.5から1.15へ急落し、その後1年で
半分ほど盛り返している。

果たして再度波乱が起きるのか?
6月8日つまり日本時間9日(金)の午前は要注意だ。


.

嫌い嫌いも

日本の失業率は2.8%と完全雇用状態にあるが、
米国も4.5%と一時の9%台からずいぶん改善。
米経済はかなり良い状態で、早期利上げが見込まれている。

したがって大統領選中以来トランプ氏はイエレンFRB議長の
超金融緩和策を批判してきたが、どうも雲行きが変わってきた。

あれだけ「嫌い嫌い」と言い続けたきたのに、それも「好きのうち」
だったのかも知れないのだ。

2018年年3月に任期切れとなるがその続投もありうる可能性が高まった。



それにしてもトランプ大統領の発言はぶれやすく
ついて行くのは大変だ。

あれだけ重用していたバノン首席補佐官を更迭目前に追い込んでおり、
またロシアとの蜜月は一転して険悪化、さらに敵対していたはずの
中国とは仲良くなったり。

また曖昧さを残していた為替問題についても今やドル高は
耐えられないとしてドル安志向を明らかにし始めた。

これから日米経済対話が始まる。

日本は為替問題や二国間FTA問題を避けて通りたいと考えているが、
米国は直球勝負に出てくるようで、今後ドル安が進む可能性が高まってきた。



一方ルペンVSマクロンの決戦投票でマクロン圧勝で無風と見られた
フランス大統領選も急速に風雲急を告げだした。

近頃の世論調査では、ルペン24%、マクロン23%、メランション19%、
フィニオン18%と極左のメランションが急速に支持を広げて混戦に。

場合によってはルペン、メランションの左右決戦になる可能性が浮上。

脱EU、脱NATO、富裕層への課税を掲げるメランションと脱EU、反移民のルペンが
1,2位を占めれば、世界の政治そして金融市場が大混乱をきたすのは必至。

はたしてどうなるのか。

フランス国債の金利がすでに上昇傾向を辿りだしたが
そうなれば欧州の混乱はかつてのギリシャや英国離脱の比ではなさそうだ。

北朝鮮、日米経済対話、フランス大統領選と日本の周辺は
緊迫してきたが、国内は春の陽気に誘われて至って平穏。

実際日本のマスコミと言えば浅田真央の引退ブログから4日を経過
しても相変わらずの関連情報の垂れ流し状態。

「真央ちゃんってそんなに偉大だったの?」などと発言すれば
どのようなバッシングを受けるかも知れない。

それが平和日本の掟なのだ。



.

YCC

昨年9月に日銀はYCC(イールドカーブコントロール)を導入し
短期をマイナス金利に長期(10年)をゼロ%近辺にすることとし、
イールドカープをスティープにすることを政策目標とした。 

これは量的・質的「緩和」なのか?それとも「緩和」ではなく出口戦略
つまり「テーパリング」になるのか?という疑問も生じる、
難解な政策だ。

もともと日銀の役割は短期金利の操作が本業で、中銀が長期金利を
コントロールできる機能を備えているのか分からないところでもある。



ともかく長期金利がゼロ近辺で推移してきたが、米国金利が上昇する中で、
日米金利差が開き、ドル高円安につながっているのは否定できない。

そしてECB(欧州中央銀行)がテーパリングへと前進する動きがあり、
米国ではテーパリングを終え、次のステップであるFRBの資産圧縮への議論が高まっている。

リーマンショック以降の非常事態に際し、導入された非伝統的な金融政策で
未曾有の低金利が醸し出されてきたが、既に8年を経過。

世界の金融市場が正常化に向け動き出した今日本の金融政策も
海外から市場を通じて金利上昇圧力がかかるのは当然だろう。

過日は10年債金利が0.15%と一年前の水準に上昇し
日銀は慌てて指値オペに出動するなど長期金利の抑え込みに必死。

ということで、日銀はYCCにより金利を抑え経済活性化を第一目標に
しているようだが、果たしてトランプ政権は日銀の金融緩和策を
認めてくれるのか。



したがって日銀の緩和政策の行方が次のテーマに
なるのだが、当面はYCCに注力する見込みだ。

しかしトランプ大統領誕生により始まった円安に対して調整が本格化した場合、
またぞろ緩和策を待望する議論が巻き上がる可能性もある。

現在112円台の為替の先行きを政府・日銀はハラハラ
見守っているということだ。




プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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