一線を越える?

神戸市議とタレント国会議員の不倫疑惑問題が
お茶の間を賑わせている。

新幹線での手をつないでのうたた寝やホテル廊下をパジャマで歩く姿が
報道され、当人たちの「一線を超えていない」との主張だけが空しく響く。

まあバカバカしい話題ではあるが、「そもそも一線とは超えるべきためにある」
などとの野次は妙に納得するところでもある。



為替市場はこのところ夏枯れの様相を強め、ボラティリティ
(変動率)が低迷し、どこもかしこも儲からなくて悲鳴が上がる。

とはいえドルは少しづつ切り下がっており、ついにユーロ・ドルは2年7か月ぶりの
高値に上昇し、今や1.20の一線を越えようとしている。

一方ドル円についてもじりじりと円高が進み、本日は約2か月ぶりに
110円の一線を越えて109円台へ突入しそう。

いよいよ105円に向かって投げ売りが出るのかどうかが注目されるが、
市場はいたってスローで「動かざること山の如し」だ。

常識的に考えれば一線を越えることなく1.20、110円を壁にして
またまたボックス相場で推移するということになるのだか、
やはり一線は超えるものでもあることを忘れてはいけない。



米国に目を転じると、トランプ政権では人事がごたごたし
今や家族以外は信頼できないと言ったところだ。

さらにロシアゲート疑惑解明に向けてモラー特別検査官の
大陪審設置の動きも注目される。

一方日本では内閣が再改造されたものの、
どこまで支持率が回復するのかあやしい。

たいして改造の目玉もないが、一億総活躍に向けて
「人づくり革命」などと活字だけが躍る。

「改革」ならまだしも「革命」など安易に使うなと共産党が
批判しているが、なるほど「革命」など片腹痛い限りだ。

そんなこんなで支持率低迷が円高への切っ掛けに
なるかも知れない。

一線を越えると一気に行ってしまうのが相場でもあり、
真夏の悪夢にはくれぐれも注意しておくにこしたことはない。



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狼少年

過日黒田日銀はインフレ目標達成時期を「2018年度ころ」から
「2019年度ころ」へと6度目の延期を発表した。

2013年4月に登板し、2年で2%実現と高らかに宣言したものの、
すでに4年半近くが経過し、相変わらず0%近辺で推移している。

強気で自信家の黒田総裁が「インフレが来るぞ来るぞ」とまるで狼少年のように
言い続けてきたが、
このような先延ばしがかえってインフレマインドを後退させているようにも見えるのだが。

いい加減に戦略の失敗を認め、その原因を究明し、新たな施策を
打ち出したら良いのではないか。

それでなくとも現在の政策続行は副次的なマイナス効果が
大きい点で懸念されるところだ。



このように何年も目標が達成できない原因として賃金が上がらないことや
原油価格が下がったことを理由にして久しいのだが。

一日伸ばしに目標達成時期を先送りすることの心理的弊害が大きくなりつつ
あるのではないか。

賃金が上がらない状態で日常品が値上がりして行く最悪の現象が
進んでいては、財布の紐を締めるしかないのが庶民の防衛策であり
デフレスパイラルから抜け出すことはますます難しくなる。



そもそも2%の目標設定が正しかったのか?

独自の計算根拠があったのか、大方の先進国がこの水準に設定しているので
右に倣ったのかは知らないが、同じ2%水準だと経済の安定に資する、
ということもあったかも知れない。

とはいえ世界のインフレ率は過去30年4%水準から下がり続け
現在では1%レベルとなっており、実際2%を達成しているのは英国だけ。

とすれば2%目標はあくまで過去の経済実態を反映した画餅かも知れず、
より今日的かつ実践的な目標が設定されても良いかも知れない。

中央銀行のデュアルマンデートは物価の安定と雇用の安定ではあるが
果たして現在のように株や不動産や債券市場を買い支えるような
金融政策は正しいのだろうか?

日銀が20年前に日銀法を改正し政府からの独立を確保し、国民生活に寄与する
ことに専念すると思ったものだが、実際は政府の為に国債を引き受けて財政支出
の資金をひねり出すことばかりに注力しているように見える。

黒田総裁は任期が半年余りとなった今、そろそろ自らの5年に渡った
金融政策を総括する必要が迫っているのではないか。



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ABEXIT

安倍政権が誕生して間もなく5年。

都議選敗北後、首相は驕り緩みがあったとの言葉を口にしたが、
権力は必然的に腐敗するものなのだろう。

もりやかけ問題は安倍夫人にとどまらずそのお友達の下村夫人にも
感染しているといわれるが、果たして安倍政権の未来は。

この状況についてFT紙は「ABEXIT」と安倍政権の終わりに言及し、
その場合日本株は20パーセントの下落がたらされると予想している。

もともと日本の政治リスクは低いと見られてきただけに、
今後の政権の行方には注意しておくに越したことはないだろう。




一方安倍政権とほぼ同時に誕生した黒田日銀。

来年4月の総裁任期を控えて今後の金融政策、
とくに出口戦略への動きが注目されるところだ。

とくに米国に続いて欧州も金融正常化を始めようとしているだけに
日本がいつまで異次元緩和に固執するつもりなのか。

現在日銀の資産も膨らみ放題で、資産内容の悪化も中途半端でなく
出口戦略の際の損失も懸念されるところだ。

そんなおり黒田日銀を襲ったのが原田日銀審議委員の
「ヒトラー称賛発言」でロイターが報じ世界を驚愕させた。



これは6月末の都内での講演で、ナチス・ドイツ総統だったヒトラーが
「正しい財政・金融政策をした」とヒトラーを称賛。

原田審議委員は1929年の世界大恐慌後の欧米の財政・金融政策に言及し、
「ヒトラーより前の人が、正しい政策を取るべきだった」という趣旨で語ったものだ
とロイターを誤報と言わんばかりの苦しい言い訳。

すでに国際的な人権団体は、「深く憂慮する。日本のエリートは
ホロコーストについて教育が必要だ」とする声明を発表。

原田氏に加え日銀広報も「審議委員の発言に誤解を招くような表現があったこと
については遺憾に思っている」との声明を発表。

どこかで聞き覚えのある言い回しと思ったら、安倍政権の政治家の
失言時に菅官房長官が謝罪する発言とほぼ同様だ。

なるほどこの原田氏も安倍首相のお気に入りで日銀審議委員に選ばれており、
稲田氏などとおなじ穴のムジナと言うこと。

大帝国が瓦解するのは内部からとは歴史の教えるところで
安倍一強政権もついにタガが外れたのだろうか。



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きらら銀行

「三菱東京UFJ銀行」が「三菱UFJ銀行」になると言う。

一説には「きらら銀行」や「あかね銀行」が候補に上がったと言うが、
それなら「三菱銀行」へと期待する向きもあったとか。

ともかく「東京」の名前が合併から21年を経て
消えることになった。

どちらにしても長すぎる名前は消費者には迷惑だが、
その名前には様々な人の思い入れがあり調整は難航したようだ。

お陰で頭取は病に倒れたと言うし、右も左も老人が多く
現役もその調整に苦労するということだろう。



かつて都銀と言えば14行もあり、興
長銀3行もあった。

これら17行はメガバンク3行とりそな銀の4行に整理されたが
旧銀行の名前を残せば長くなるし、新しい名前にするとどうしても
キラキラネームが出てくるのはやむを得ない。

とはいえ銀行の経営は近頃は預金に対して貸出が伸びず、
その落差を長期国債の購入に充てるのが一般的。

金融庁などは、金利上昇の際のリスクが高いだけに
長期債の圧縮を指導しているものの、メガはともかく地銀などは目先の
経営が苦しいだけにその指導に従わないとか。

最近日銀が出口戦略を考え始めているが、一朝実施に動けば
金利の上昇は避けられず、様々な銀行が債務超過に陥り
経営の破綻が続出するだろう。



それはさておき筆者が「東京銀行」で働いたのは僅か14年で
しかなかったが、若くて吸収力がある時代で、お陰で
国際金融の実務と裏表を勉強させてもらった。

したがってその銀行が完全に消え去るのは少し感慨もあるが、
金融の自由化が進み、日本の外貨獲得の苦労も消えた今日、
外為専門銀行の流れを汲んだ「東京」の名前が消え去るのも
必然と言うことだろう。



金融正常化

日銀の金融政策と言えば、市場関係者が異常なぐらい関心を示す一方で、
一般の人が限りなく無関心であるというそのギャップに特徴があると言えよう。

黒田総裁が就任し2%の物価目標達成を掲げてすでに4年が経過し、
その効果への疑問が日増しに高まる。

有効求人倍率が1.5倍に接近し息の長い景気回復が続いていると言われるものの、
コアインフレ率は相変わらずゼロ%近辺でデフレ脱却の兆しは見えない。

つまり給料上昇が確認されない中でもはや2%の物価目標にどの程度の意味が
あるのかわからなくなった。

それでもその目標達成にこだわり、年間80兆円のペースでの
長期国債の買い入れを継続することの意味も同様である。

さらにREITやETFなどの購入を続けて金融市場を買い支えているが、
日銀の資産が膨張し財務内容が悪化しているのも明らかだ。



このような環境下において15~16日に日銀は金融政策決定会合を開く。
しかし現状のイールドカーブ操作を軸に据える量的緩和政策に変更はなさそうだ。

とはいえ日銀も現状認識を変えつつあるようで、
そのひとつが「円相場と輸出」の関係についてだ。

従来その因果関係については「Jカーブ効果」があり、円安が進むと
まず価格効果が出て輸入が増加し、その後輸出が増加し貿易収支の黒字化が進むと言われてきた。

しかし現在は4年にわたる円安にも拘わらずその輸出数量は増加しておらず、
その原因として海外への生産移転によるものだとの判断を日銀は下した。

すでに40年を超えて円高対策の一環として日本企業は生産の海外移転を
進めてきた以上、
かつて教科書で習った「Jカーブ効果」が薄れるのは当然であり、
日銀が見解を変えるのも今更と言ったところ。

その真意は「円安が日本の貿易黒字の増加ももたらしていない」ことを婉曲に
日銀は言っているわけで、結局米トランプ政権による対日赤字の原因としての
円安政策への批判をかわそうとの作戦の一環と言うことだ。



米国ではテーパリングをすすめ出口戦略へと突き進んで1年半。

そしてECBもその開始を目前にしているが、日銀の金融政策
とくに出口戦略については表向きその素振りは一切見せない。

どこまでも現状の緩和策を進めようと自信家の黒田総裁の腹は固まっているようで、
このまま任期二期目に突き進みそうな気配も漂う。

とはいえ現在の変動相場制下における金融政策は、
他国からの影響を排除して独立的に運営することが難しい。

従って教科書の教える通り日銀が海外の中央銀行に
引きずられることは免れない。

黒田日銀の政策の狙いは本来「円安政策」であるが、
またその効果が薄れてきた以上、量的緩和策を続ける意味も減じているのではないか。

そろそろ「クロダノミクス」の看板をおろして金融政策の
正常化を図る時期に来たのではないだろうか。

金利がゼロ状態では金利調節による経済調整ができないだけに
金融正常化つまり金融政策の伝統的手法への回帰は最優先課題だと
思うのだが。


プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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