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シラノ

今月のフランス・ゼミの課題は全5幕の戯曲
「シラノ・ド・ベルジュラック」。

1897年の初演時にパリでは熱狂的な支持に
ロングランが続いたと言う。

その後日本でも新国劇が「白野弁十郎」として大正時代に
輸入して以来、日本で最も人気のある外国作品だとか。

確か1970年頃にNHKで尾上松緑と山田五十鈴のコンビが
演じていたが、これまで宝塚やミュージカルでも再三
取り上げられている。



今年は著者エドモン・ロスタンの生誕150年に当たることから
パリでも日本でも再度演じられるのだろう。

原文では韻を踏んでいることがその人気のひとつらしいが、
シラノが醜い鼻であるもののその男ぶりこそ人気の秘密だ。

それは高潔、名誉、自己犠牲、男気と言ったもので
日仏を問わず人々に愛される男の美学なのだろう。

実際ひたすら愛した女性への思いを隠して
友人のために筆を執り,身代わりになって愛を語る。

その忍ぶ思いが15年後の修道院でロクサーヌの
知るところとなりそしてその腕に抱かれて死んでゆく
ことで結実する。

これぞ恋愛の究極の姿と言うところか。

因みに三島由紀夫の理想とするところは葉隠れにあり
「忍ぶ恋こそ恋愛の至極であり思い死ぬことだ」と言う
のも当たらずとも遠からずか。



それでは眞子内親王と小室圭氏との恋の行方は?

表向きこそ「延期」と言われているが、「破談」「白紙撤回」が
ひそかに語られる。

宗教問題、金銭トラブル、格差婚など様々な障害を乗り越え
愛はますます燃え盛るのか?





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ジャンヌ・ダルク

今月のフランス・ゼミの課題作は19世紀の歴史家である
ジュール・ミシュレの「ジャンヌ・ダルク」。

15世紀のフランスの「救国の処女」がオルレアンの開城から
ルーアンで「異端の魔女」として裁かれるまでの2年間の出来事史だ。

歴史家で文学者である著者は、ジャンヌの出現によってはじめてフランスと
いう国が意識されたとし、
その意味でジャンヌこそナショナリズムの源であることを教えてくれる。

つまりフランスの歴史においてこのジャンヌ・ダルクとナポレオンは
欠かすことのできない大きな存在と言っても良さそうだ。



同時に参考文献として竹下節子さんの「ジャンヌ・ダルク」も読んだ。

ジャンヌがキリスト教内において超異端と正統のはざまで揺れ、
結局1920年に「守護聖人」として列聖されるに至るまでの中世の欧州さらに
キリスト教の実情が良く分かった。

神の啓示を受ける女性はジャンヌに限らずキリスト世界には存在したようだが
「男装の麗人」「戦士」「名誉回復の聖女」「火刑台」などその人のインパクト
は大きく、現代人にも強い印象を残すところとなった。

従ってジャンヌは現代においても「統合の象徴」として右派も左派も
利用しているが、同時にキリスト教の聖人としてフランスに生き続けている。

折しも1月の「私の履歴書」の主人公は草笛光子。

1959年に日比谷公会堂で行ったアルテュ-ル・オネゲルのオラトリオ
「火刑台のジャンヌダルク」を個人史における一大イベントとして
詳述しているのもうなずけるところだ。



当時の欧州は英仏百年戦争のさなかで、ナショナリズムは
いまだ萌芽の時期。

つまり封建領主による領土支配が前提になっていた時代で
その家督の継承は各貴族にとって重大問題だった。

それゆえにフランス王位の継承は現在の国境をまたいだ紛争となり
フランス・バロア朝のシャルル7世と英国プランタジネット朝ヘンリー6世との
争いがその背景に存在していた。

それにしても欧州の「中世」は今一つ実感が湧かない時代だが
今回のジャンヌ・ダルクの読書を通じて多少理解が深まったような気がする。

かといって隔靴掻痒という得も言われぬ気分はなかなか晴れないのだが。



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笑門来福

本年最後のフランスゼミのテーマはベルクソンの「笑い」。

ベルクソンと言えばフランスの哲学者だが、ノーベル文学賞を受賞しているので
その文章は平易とも評される。しかし内容はとても難解だった。

学生時代に読書家の先輩の本箱にベルクソンがあっていつか読みたい
とは思ったが実際手にすると本当に四苦八苦してしまった。

やはり哲学書を読むなど骨の折れる作業は若い時に限るようで
結局軽く流し読みしてお茶を濁した。



「笑い」には嘲笑、冷笑、哄笑、高笑いなど様々あるが、この哲学者が
考察する笑いは「おかしみ」を起源とする現象としての「笑い」。

特にモリエールの書いた古典喜劇に素材を求めて「笑い」を分析し
その社会的意味を深く考えている。

もともと古典喜劇では哲学者を笑いの題材としてきたので、
そのお返しと言うところかも知れない。

そしてその考察は「笑い」の分析にとどまらず演劇論の領域に至っているのだから
やはり常人からすればなんとも凄い。



「マクロンの妻の実家のマカロンが良く売れている。」という言い回しが
フランス人に受けているとか。

当然マクロンとマカロンについての認識があってこそ初めて笑えるが、
同様に関西人に受ける笑いと江戸っ子に受ける笑いに違いがあるのは
その前提となる文化の違いが存在している故だろう。

また狂言における太郎冠者や次郎冠者のおかしみも
わかるようで今一つ分からないのは時代の違いというところか。

ともかくゼミの最後は「笑い」についての談笑となり
一年の最後を笑いで締めくくった。

いよいよお正月も近づいてきたが、「笑う門には福来る」と言われるように
にこやかに新年を迎えたいものだ。


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F.サガン

今月のフランスゼミのテーマはフランソワーズ・サガンの
「ブラームスはお好き(Aimez vous Brahms?)」。

この作品は1954年にサガンが19歳で「悲しみよこんにちは」で
デビューして5年、第5作として書いた作品。

映画の脚本のようだと言われるように、この作品もまた
ハリウッド映画となりヒットして早々と億万長者に。

とはいえ交通事故で使われた痛み止めが忘れられなかったとも言われるが
麻薬に溺れるようになっては事件にまきこまれ晩年無一文となって69歳で死去。

晩年はともかく、若いころは時代を先取りする輝く女性として
日本でも若い女性の人気の的だったのも当然か。



この短編小説では39歳のヒロインが24歳の青年と恋に落ちるが
サル・プレイエル劇場でのブラームスのコンサートへ電話で誘う話だ。

これを切っ掛けに二人は急接近するが、年の差の付き合いについて
周囲とくに同世代の女性たちの反応は冷ややかで、結局別れることになる。

映画ではイングリッド・バーグマンとアンソニー・パーキンスが
共演したと言うが、TUTAYAにあれば見るのも悪くなさそうだ。



ところでこの作品の訳者は朝吹登水子さん。

かなり誤訳があるとゼミの先生が指摘していたが
まあそれはご愛敬。

またゼミにいる三井物産フランス法人で17年も働いていた人の
話によれば、朝吹家は三井家の重鎮で特別の存在だったとか。

ちなみに朝吹さんのお兄さんの三吉氏は慶応の仏文学者で
そのお孫さんが「きことわ」で5年ほど前に芥川賞を受賞した朝吹真理子氏。

一方朝吹さんの娘の由紀子さんは母・登水子さんと同じくサガンの翻訳者で
その夫の牛場暁夫さんもまた慶応の仏文の先生。

ということで朝吹登水子さんは三井と慶応と仏文学が交差するところに
いた人だったということだ。

もしそのあたりにご興味のある方には朝吹さんの半自伝的小説
「愛の向こう側」をお勧めしておきます。


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素粒子

素粒子とは物理学に言う物質の最小単位とされているが、
小説「素粒子」はフランスのミシェル・バルベックの作品だ。

これまでフランス文学ゼミではスタンダール、ゾラ、プルーストなど
100から200年前の昔に書かれたものばかり。

やはり1950年代ごろに仏文学を研究した人が選ぶ
課題作品はこのようになるのかも知れないがさすがに
古いような気がしないでもない。

日本文学でいえはさしずめ西鶴、漱石そして鴎外などと言うところで
少し現代物も読みたくなっていたところだ。



そういった意味で今回の「素粒子」は1950年代に生まれた
文学者くずれの兄と分子生物学者の弟の異母兄弟の話でもあり
興味が湧いたのだが。

物語は40歳を迎え「老と死」を考えるに至ったふたりが青年時代
から今日にかけての「愛と性」を振り返る話だ。

彼らが青年時代を過ごした60~70年代は、プレスリーやモンローなどに
代表される米国の文化に席巻された時代で、その波は日本にも及んで
いただけに洋の東西を問わず若者の実体はよく理解できるところ。

しかし兄ブリュノの性的放浪についての描写は余りにも生生しく、
学校で味わう絶望、官能に溺れる姿は読むのも息苦しい。

ヒッピーやヌーデイストクラブまではついて行けたが、それから先の
秘密クラブなどの実態はとても読むに堪えず不快感が残った。



確かにこの作品は1998年に出版されて話題となり
ゴンクール賞にもノミネートされたようである。

その意味では名作なのかも知れないが、それにしてもなぜこういう
難しい作品ばかりを読ませるのか。

文学研究とは難しく人生を考えるべきものなのか?

もっと短くて、楽しくて、ユーモアあふれるような作品を読みたい。

と言うことでもっか口直しにサガンの「ブラームスはお好き」を読んでいる。

39歳の女性と24歳の青年の恋の行方にはらはらしているところだ。



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プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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