全人代

昨日(3月5日)から北京で全人代(全国人民代表大会)が始まった。

国会に相当するものだが共産党一党独裁下においてその役割は
限定的で、4000人に上る全国の代表には物見遊山も多いと言われる。

今年は秋に5年に一度の共産党大会での大幅人事異動が予定されており、
今回の全人代は前哨戦として位置づけられ注目されるところだ。

国内では緊張感が高まっており、王毅外相が2月末のドイツでの
G20外相会議を欠席するとしていた。(結局出席した)。

やはり中国は国内政治が何よりも優先するようで、習首席がトランプ米大統領に
対抗して世界のリーダーのような演説をしても実態はほど遠いと言ったところだ。



そんななかで注目されるのがナンバー2の首相ポストの行方だ。

噂段階とは言え、李克強首相が全人代委員長に祭りあげられ、
そのあとを二人の王のどちらかが襲うと言うシナリオが取りざたされる。

つまり王岐山が定年延長して首相になる、もしくは
副首相の旺洋が昇格すると言うものだ。

特に王岐山については2008年のリーマンショック時に、米財務長官ポールソンの
依頼に対し米国債を大量に購入し金融危機脱出に協力した。

この間反腐敗闘争の先頭に立ち国際的には目だたなかったが、その名前は
欧米金融界に浸透しており、米国とりわけGSとの人脈が深いことから
今後の首相昇格を待望する声も強い。



ともかくトランプ大統領が当選直後に台湾に接触し「ひとつの中国」への
疑問を呈したが、2月上旬に習主席との電話会談でそれを否定して
米中関係が修復しつつある。

実際春節の祝賀に、イバンカ氏がワシントンの中国大使館を訪れ、
赤い服を来た娘アラベラちゃんが中国標準語で歌いその映像が
中国で大きく取り上げられた。

また4月には習主席が米国を訪問する話が具体化しつつあるようで、
米中関係の構築が図られる見込みだ。

ホワイトハウスはバノン首席戦略官やナバロUSTR代表など反中を
掲げるスタッフが主流を占めているが、今後どのような展開になるのか。

先日安倍首相がフロリダで厚遇されたのを目のあたりにしているだけに、
中国サイドはそれ以上のものを望んでいるとか。

どのような米中トップの会談がセットされるのか注目されるところだ。


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鄧小平

1920年代のパリは大戦が終わり安堵感が広がり
「狂った年々」(les anne folles)と言われた華やかな時代。

ピカソや藤田嗣二に止まらず、朝香宮夫妻もお供を数人従えて
凱旋門のそばに邸宅を構えた。

夫はスポーツに、妻はオペラ座とバンドーム広場と
マドレーヌ広場のトライアングルの中で日々買い物に明け暮れていた。

(当時の領収書を分析した青木淳子著「パリの皇族モダニズム 
 領収書が明かす生活と経済感覚」に詳しい)

一方、中国からも周恩来とともに鄧小平も16歳で渡仏したが、
こちらは苦学そして製靴工場で6年にわたり働いていた。

その時(1921年)に共産党欧州支部の創立に参加し
革命家となった。



鄧小平の長女・毛毛(もうもう)の「わが父・鄧小平」は20年前に
刊行されている。

遅ればせながら没後20年の今年その伝記を読む機会があった。

これまで毛沢東に関するものはいくつか読んでいたが
鄧小平は初めてで新鮮だった。

鄧小平は1930年代に修正主義者の烙印を押され、
また1960年代の文化大革命、さらに1970年代に
4人組により追放された。

しかし失脚のたびに再起するという3転び3起きの
不屈の復活を遂げたことがこの人の代名詞である。



1970年代後半に3度目の復帰を遂げて中国のトップとなった。
(主席、党総書記にもならなかったが軍を完全に掌握した)

1978年に改革開放政策を採り、「社会主義市場経済」と訳が分からないが、
共産党一党独裁下での市場原理主義導入へと舵を切った。

「白い猫も黒い猫も鼠をとるのが良い猫だ」とこれまた訳の
分からないことを言っていたのだが、何はさておき現在の
中国の発展をもたらした最大の功労者であることは間違いない。

フランスではお尋ね者となりロシアへと逃亡したが、
50年後に国賓として迎えられたことは本人も感慨深かったようだ。

その時のお土産は周恩来にバゲットとチーズだったとかで
終生カフェとワインを好んだと言う。

引退後のほんのひと時はサッカーワールドカップ観戦の楽しい
老後を過ごしたと言うが、先憂後楽とは言い難い苦難な人生だったようだ。


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日ロ平和条約

いよいよプーチン大統領が来日し、日ロ首脳会談が行われる。

日本では北方領土返還への期待が高まり、シベリア鉄道の
稚内までの延伸など夢のような話をメディアは
ぶちあげている。

そんなに簡単に領土問題が解決するなら、日ソ共同宣言から
60年間停滞した日ロ平和条約と北方領土問題は
とっくの昔にセットで解決されていただろう。



今様々な経済援助のオファーがロシアに対して投げかけられている。
まさに沖縄返還の際に繊維交渉で譲って、沖縄を譲り受けた
つまり「糸で縄を買った」ことの繰り返しにも見える。

とはいえロシアは米国以上に手ごわい相手だけに、すべて食い逃げされる
恐れがあることには要注意だ。

とはいえ欧米から経済制裁を受けているロシアの懐事情は厳しく
、極東開発で日本からの援助は垂涎の的と言ったところだろう。

はたして共同宣言に謳われたように、歯舞、色丹島の返還はいつ実現されるのか。


ロシアはもともとシベリアへの「東進」と、不凍港を求めての南下政策は
国家の宿願でもある。

したがってウラジオストクから太平洋、そしてアジアの海へ進出したいのは
やまやまで、どうしても日ロ平和条約を前に進めたいところだろう。

とはいえ高田屋嘉兵衛がロシアに連れ去られてから200年。

ロシアはそう簡単な交渉相手ではなく
これからも激しい攻防が行われるだろう。

今回の会談はその始まりだと思って、余り
過剰な期待を持たないのが良さそうだ。


中国全人代

3月5日、北京において全人代が開幕した。

1年に1度の政治イベントで、今回は2016年ー20年の
政治・経済の運営方針となる第13次5か年計画を正式決定する
重要な大会と位置づけられている。

すでに習近平が国家主席に就任して3年半が経過し、
その権力は、政府、党、軍事と3部門に及ぶ。

この2年「腐敗撲滅」の名の下に繰り広げられた周永康や薄熙来との
権力闘争に打ち勝ち、首相・李克強との力の差を見せつけて
今や習近平は特別の地位に立ったようである

次世代候補が時に遡上に上ったりするものの、その権力集中
ぶりから、習近平が10年の任期を終えた後、特別な地位につくとの
憶測も飛び交う。



このように習近平は毛沢東以来の権力を手中に収めたようにも
見えるが経済問題については25年ぶりの低成長に喘ぎ、
ハードランデイングの恐れが拭えない中で、国有企業改革が
待ったなしとなっている。

2008年11月のリーマンショック時に発動された4兆元投資
による景気刺激策で国有企業が需要を無視した生産を行った。

現在においても、常に実需より3ー4割多い生産の力を
抱えているのが実情だ。

特に石炭、鉄鋼部門を中心に赤字垂れ流しを続ける
「ゾンビ企業」の整理と民間活力導入は喫緊の課題となっている。

しかし地方政府と銀行による支援を受けて生き延びる
「ゾンビ企業」についてはその改革を進めた場合、百万人規模の
失業者が発生するといわれる。

それでなくとも民族問題、テロ問題など様々な治安問題が
指摘される中で国内の緊張が高まる原因となるのは明らか。

しかし「民進国退」つまり民間企業の国有企業代替は不可欠であり、
失業者の増大を恐れるあまり、改革を先延ばしすることは
難しくなりつつあると言えよう。



すでに政府は「新常態」つまり投資から消費型経済への
移行を打ち出し既存体制にメスを入れる一方で国民に
起業を進めている。

しかし日本のキャラクターが平気でパクられるように知財権が
確立していないことから、今後起業インセンテイブが働き
経済活性化への起爆剤となるのかは疑わしい。

アリババ、テンセント、バイドウなどのIT関連企業の成功物語は
全くの例外にとどまるかそれとも今後陸続するのか
その分水嶺に立っていると言ったところだ。

このように中国経済の先行き不透明感が高まっていることが
年初来の国際金融市場を不安定化させているが、
中国経済の国際化が進む中で今後の経済運営の
かじ取りは注目されるところだ。



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春節

今年もまた春節がやってきて、日本の津々浦々が
中国人で溢れ返っている。

昨年の中国人訪日客数は500万人と全体の1/4程度に上るが
何よりもその購買力のすさまじいことは特筆されている。

銀座のLAOXなど大型バスが列をなしているのはいつもの通りだが
中国人の日本での休暇の過ごし方は様々。

かつて凍てつく釧路で白銀の世界を楽しもうとする中国人多数を
見て驚いたたことがあるが、近頃では自由が丘の美容院も中国人で
繁盛しているとか。

さらに和服のレンタルと記念写真のセットもはやっているようで、
それは京都で舞妓さんに扮して記念写真をとるといった日本人女性の
お株を奪う勢いなのだ。



このように日中の文化交流が進み、インバウンド需要が盛り上がって
旅行収支が1兆円も黒字になるなど結構なことではあるものの
果たしていつまでこのような特需が続くのだろうか?

中国経済はこれまでの投資主導から消費主導へと転換を図っているが
折からの資本流出に人民元安も加わって中国当局は頭を痛めており、
また世界経済に様々な影響を与えている。

このような状況で消費が国内から海外へ流出することは中国にとっては望ましい
状況とは言えず、中国当局が銀聯カードの海外使用について上限枠を設けるなど
資本流出を制限する措置を講じているのはその一環である。



ともかく年初からの金融市場の大荒れの背景には米国経済の先行き不透明感、
原油安などがあるが、加えて中国経済のハードランデイングへの懸念が大きい。

経済成長率については6%後半などと言われているが、今時中国当局の
発表する経済指標を信じるものは共産党指導部にもいないのが実情だ。

果たして中国はソフトランデイングできるのか。

つかの間の春節の休暇で一息ついているのは中国人よりも
日本はじめ世界の金融関係者というところだ。

春節が明ければ3月5日から全人代が予定されるなど
中国サイドから何が飛び出してくるのか分からない。



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プロフィール

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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