縁故主義

トランプ大統領が就任して100日となった。

これからは蜜月も終わり議会との対決色も強まるなど
いばらの道が続くことになるだろう。

この間目立ったのが、イバンカ氏と夫のクシュナー氏で、
先進国では珍しい縁故主義(NEPOTISM)がはびこる。

メラニア夫人はNYで子育て中で必要に応じワシントンに
来ているようだが、ファーストレディはもっぱらイバンカ氏。

過日もベルリンでのウーマンサミットにラガルド氏などとともに参加し
父を擁護してメルケル首相とやり合うなどその存在感は際立つ。



一方トランプ氏と言えば政策運営面での不安定さが目立つ。

スタートから大統領令が連発されたが、入国管理令が
頓挫し支持率も低迷するなど今後に不安を残す。

このような状況で何とか公約を実現しようと100日以内の
駆け込みを狙ったのが税制改革だ。

実現に向けての財源手当てや法案提出権のある議会への
根回しも不足気味ながら、とりあえず改革案を発表した。

具体的には法人税を35%から15%へ下げ
さらに個人所得税も下げる。

ただ国境調整税については、輸出面での減税は歓迎されるが
輸入に対する増税については一部企業に強い反対があり
見送りとなった。

つまりこれら税制改革案の問題点は財源の手当てが
見えないこと。

法人税下げで今後10年で2兆ドル(220兆円)場合によっては
5兆ドルにものぼる赤字がもたらされるとの試算もある。

さらに本来はオバマケアの撤廃で費用がカットされる予定だったが
それにつまずいたことで歳出は思う通りに減らない。

財政赤字の拡大を嫌う茶会党などが強硬に反対していることから
30年ぶりになる税制改革が実現するかは雲の中。



このようにトランプ政権には八方ふさがり感が強まっており、
必然的に頼れるのは身内ということになるのだろう。

春節のお祝いにイバンカ氏と娘アラベラちゃんが中国大使館を
訪れて中国語で歌い、緊張高まる米中関係に融和ムードが漂った。

また習近平夫妻がフロリダのマールアラーゴに来た時も
アラベラちゃんが中国で歌って米中の友好に貢献した。

お陰で母親イバンカ氏は「女神」と呼ばれて中国での人気は
沸騰しているようだ。

イバンカ氏頼みが続くトランプ政権の先行きは厳しい。



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カレクジット

ブレクジットが現実化した今、英国と連合王国を築いてきた
スコットランドでは英国からの独立を目指し、再度住民投票を
求める声が高まっている。

そのシナリオでは英国からの独立とともにEUに加盟することにし、
安全保障と経済の安定化を図るつもりのようだ。

同様にブレクジットに触発されて、欧州の少数民族、
例えばカタル―ニア、ワロンそしてチロルなどで独立の動きが活発化することになるだろう。



このように民族的のみならず経済格差、税の不公平感などから、
国家からの分離を求める動きは欧州のみならず米国でも生じている。

その代表がCalexit(カレクジット)つまりカリフォルニア州の
合衆国からの独立を求める動きだ。

その実現する確率は極めて少ないと言われるものの、
同州では連邦予算の支払いの見返りが少ないとの不満が根強い。

実際同州の経済はシリコンバレーを抱え米国でも最大のGDPを誇っており、
世界6位相当とフランスよりも大きい。

また人口も3.7千万人と米国の12%を占めており、何よりも、
メキシコ、アジア系などの移民が過半を超える。

したがって米大統領選において見られたように、民主党の強力な地盤で、
白人優先のトランプ大統領や共和党のつけ入るスキがない。

今後トランプ政権が移民排斥の動きを強めて行けば、
カレクジットの声は一段と強まって行くことになるだろう。



それでは単一民族そして均質的な市場を持つとされる日本はどうか。

均一と言われたのは昔のことで、今や都市と地方の格差が
広がる傾向は否めない。

したがって地方交付税などにより大都市から
地方への仕送りが続いている。

この実情に東京の住民には不満を述べる声もあり、
東京独立が囁かれるようになってきたとも言われる。

この流れを倍加させたのが、ふるさと納税だ。

例えば世田谷区では昨年20億円近い住民税が流出したように
自治体から悲鳴が上がった。

さらに住民税のみならず所得税の分配においても今後
地方への傾斜配分に対する不満の声が高まる可能性は拭えない。

税収が潤沢である限り表面化しない問題が、
税が枯渇してくるに従い不満の声が強まる。

つまりカリフォルニア同様「払った分だけ見返りが欲しい」
との議論が生じるのはやむを得ないところだ。







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トランプ失速

TPPもほぼ消滅した今、オバマ大統領のレガシーと言えば
オバマケア、つまり国民皆保険を目指す医療制度となった。

これは5千万人の無保険者を失くし、国民の大半が医療の
恩恵を受けることになるとされた.が、社会主義的で米国になじまいとされ
共和党などからの反対は根強いものがあった。

そしてこの制度を悪い平等主義と考えるトランプ大統領が
その撤廃を盛り込んだ代替案を提出したが、民主党のみならず
与党共和党からの反発に合い撤回された。

このように就任以来入国管理令など大統領令が頻発されたが、
憲法抵触などの反論に加え議会運営に暗雲が垂れ込めている。

未だ4閣僚も議会の承認を得られず、さらにその他高官500名も
欠員のままで、トランプ政権が機能しているとは言い難い状況が続いている。



トランプ大統領は今回のオバマケア代替案挫折にひるまず、
今度は税制改革に注力すると言っているが、果たしてその行方は。

大統領選直後から4か月にわたったトランプラリーも冷めつつあり
長期金利(10年債)は2.6%をピークに上昇力を失った。

株式市場も金利上昇の懸念と投資拡大への期待感の狭間で
21千ドルをピークに失速気味だ。

そして為替市場でも、年初の118円から110円までドル安・円高が進んだ。

実際、

①国境調整税(輸出品は税率ゼロ、輸入品に高関税をかける)
②リパトリ減税(海外利益の国内への還流に対する減税措置)に
 より海外からの国内送金が増大する

ことなどにより大幅なドル高が招来される、などとの声も大きかった。

それだけに、トランプ大統領への期待感が失望へと転化
してきたことは明らかだ。



もともと大統領選時のドル円のレベルは102円であり、
筆者としては本年末95円、来年末80円を夢想してきただけに
まだまだその道のりは遠い。

先日ドイツのバーデンバーデンで行われたG20財務相・中央銀行総裁会議で
ムニューシン財務長官(この人の呼称がムニューチンから変更された)がデビューした。

そして繰り返し「長期的」にはドル高を好ましいとしているが
「短期的」には弾力的なスタンスであることを匂わせている。

また共同声明において、反保護主義の一言をはずしたが、
何よりも為替安定の重要性や通貨切り下げ競争の回避などが
声明の第一項目に掲げられたことは驚きでもあった。

4月には米財務省から為替報告が行われるが、
今後も為替の不適切な動きには米国は目を光らせる見込みだ。

つまり人民元と同様に、政府日銀による恣意的な円安誘導は
行いにくいだろう。

一月もすれば議会とホワイトハウスにおける100日間のハネムーン期間が終了するが、
支持率が40%を切るトランプ政権は発足直後なのにまるで
レームダックの雰囲気が漂いつつある。

これからどのように劣勢を挽回して行くのだろう?



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トランプ政権

1月20日の発足を前にトランプ政権の陣容がほぼ固まった。

元々一族で周辺を固めると予想されてきたが
その通りになりそうだ。

最大の選挙の功労者である長女イバンカ氏の去就は
決まっていないが、その夫のクシュナー氏は上級顧問に
就くことになった。

この人はユダヤ系財閥出身のビジネスエリートで
トランプ氏のビジネスを支えてきた。

さらに選挙においても貢献し、今後は政治の世界で懐刀として
またユダヤと政権の橋渡し役として活躍すると思われる。



その他の任用で特筆されるのが、親ロシア、反中国への布陣だ。

米通商代表部(USTR)の代表にライトハイザー氏、
さらに大統領補佐官にはナバロ氏と名うての反中強硬派が指名され、
経済分野を中心に米中の対立関係が浮き彫りになりそう。

すでにトランプ氏は、「一つの中国」の見直しに言及しているが、肝心の中国は
核心的利益であるこの問題で一切譲歩するはずもなく関係の悪化は必死だ。

またロシアについては、安全保障会議の事務局長を務めることになる
フリン大統領補佐官、ティラーソン国務長官さらにトランプ氏を含めた
プーチン寄りのトリオがロシアとの関係緊密化を図るだろう。



一方経済面はと言えば、政権は製造業の国内回帰を強める
見込みでNAFTAの見直しを進めるだろう。

特にメキシコに生産拠点を置くGM、フォードに対して
干渉を強めており、続いてトヨタもやり玉に挙がった。

いよいよ批判の矛先は中国、メキシコに止まらず
日本にも向かってきそうだ。

世界は思想と哲学を持たず思いつきだけと揶揄される米大統領の誕生を機に
米中対決と保護主義で大荒れになりそうな雲行きになってきた。

2017年もまたまた波乱含みだ。


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女性の時代

韓国では来年末の大統領任期満了を待てず、
退陣要求の声が高まっている。

先週末のソウルでは126万人?(ソウル市発表)の
国民が青瓦台へ抗議デモをかけた。

実際支持率は5%で、30歳未満では0%と言われる状況で、
そのポストにしがみつくのは、逮捕を恐れてのことのようだ。

もともと清廉潔白だけがウリだった人だけにもはや終わりか。

それでなくても退陣後の韓国大統領は自殺、投獄など晩年を
まっとうできた人はいないだけにその末路がどうなるやら。



この夏英国でメイ首相が、そして東京都で小池知事が誕生し、
二人の活躍ぶりが目覚ましい。

さらに米大統領選ではヒラリー優勢が伝えられていたころは
いよいよ女性の時代が来るのかと思ったが。

朴大統領は身から出た錆だが、ヒラリーが大統領選で敗れ
て女性の時代到来は一気にしぼんだ。

ただヒラリーは敗北宣言において、若者と女性に対する
メッセージ(いつかガラスの天井を破ることへの期待)
が高く評価されている。

ヒラリーには勝利宣言よりも敗北宣言が似合うとか、こんなに
素晴らしい演説ができるのに、なぜ選挙戦ではできなかったのか、
と残念がる声も高まっているが、時すでに遅い。



米国ではオバマ大統領がトランプ氏との会談を早速設定し
その懐の深さに仇敵トランプ氏も驚いたようだ。

今やオバマケアの存続を示唆したり、イスラム入国反対を反故
にしたり、ずいぶん選挙中とはトーンが変わっている。

実際どんな大統領になるかわからないが、基本的には
副大統領が首相的役割を果たすのではないかとも期待される。

財務長官にはJPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOが取りざた
されるなど、金融市場は新大統領を歓迎する雰囲気が強まっている。

しかし70歳の高齢者がそんな簡単に主義主張を変えられるのか、
その言説の変化をしばらく観察してみよう。



プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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