ビッグウイーク

7日(木)の日米首脳会談に続いて
8日(金)からカナダでG7が行われる。

続いて12日(火)にはシンガポールで米朝首脳会談が予定されるなど
この1週間はトランプ大統領の真価が問われるビッグ・ウイークだ。

これまでのところトランプ大統領の強気姿勢が奏功して、
米中貿易戦争では中国側の譲歩を引き出して休戦状態に持ち込んだ。

一方米国の関税引き上げ問題で集中砲火を浴びるG7でも、
トランプは強硬姿勢を貫くつもりのようだ。

果たしてドイツはじめ6か国が共闘して自由貿易をと叫ぶ中で、
どこまで自主路線を押し通すことができるのだろうか?

ともかく米国の農業を疲弊に追い込むとしてカナダへの批判を含めて
通商問題の混迷化は避けられない。

それだけに通商問題での成果をいくらアピールしても米国民の
支持を拡大し、中間選挙を乗り越えることは難しい。



畢竟外交での得点を目指すことになるが、それだけに
4日後に迫った米朝首脳会談の行方が注目される。

とはいえ今回の会談では署名も予定されず、会談は今後数回行われる
見込みと伝えられるなど、すでに半島の非核化は遠い将来の目標となった。

つまり今回の勝者は経済制裁の緩和メリットを受ける金正恩であり、
お陰でその満面の笑みが頂点に達しようとするのも無理はないだろう。



そして日本はといえば拉致問題に進展は期待できない中で
日朝の首脳会談開催や経済援助が議題に上がりつつある。

当然その入り口には巨額の戦後賠償が横たわっており
日本にとってはカネがらみの話ばかりが先行することになる。

まさに金正恩の思うつぼの展開とトランプの頑迷さが
浮彫りになる1週間が始まった。


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コーン辞任

トランプ政権の経済政策のトップであるゲーリー・コーン
NEC(国家経済会議)委員長の辞任が報じられた。

この人はゴールドマンザックスの先物取引を皮切りにNO2まで
登りつめたが,CEOになれず不完全燃焼であったことから
ホワイトハウスに転じたとされる。

一時はコーン(トウモロコシ)の取引トレーダーのコーン氏が
FRB議長になるのではとささやかれたが、結局強硬な
通商政策を主張する一派に敗れて大型減税の実現を手土産に去る。

これからは対中強硬派のナバロ氏やロス商務長官らが
保護主義を推進することになる見込みだ。



トランプ政権が誕生した際にホワイトハウス西館にいたバロン上級顧問
はじめ側近7人はほぼすべて入れ替わっており、これからも
辞任者が続出する見込みだ。

女婿のクシュナー氏も今回の一件のみならずロシアゲートへの関与が
取りざたされており辞任論がくすぶっている。

米国には多くの人材がおり、異なる意見を戦わせてはどちらか選ぶのが
俺流だとトランプ大統領は豪語しているが、ホワイトハウスの屋台骨が
揺らいでいるのは明らか。

政権の揺らぎが経済界へ影を落とすが、とりわけウォール街の
代表でもあったコーン氏の辞任による金融市場への影響は小さくない。



一方輸入制限については4月半ばに最終決定される見込みだが、
今後NAFTA、EUはじめ各国・地域との交渉戦術にこの脅しを
駆使して交渉の果実を得ようと強気の姿勢を維持するのだろう。

これに対して早速EUは報復措置を打ち出したが、その内容は
ハーレーダビットソンやリーバイスのジーンズなどブランド商品
にもおよびなど米国および米国人への意趣返しも強烈だ。

果たして貿易戦争がどのように展開するのか、しばらく
ホワイトハウスの先行きとともに注目する必要がありそうだ。


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パウエル・プット

Mr.Ordinary(=ただのおじさん)ことパウエル新議長が
登場して1か月が経った。

デビュー戦として注目された議会証言では経済見通しに
確信を示し、今後は金融正常化に邁進すると受け止められた。

したがって2018年は年4回程度とこれまでの
3回よりも利上げ回数は増えるだろうとの見方が
支配的となっている。

それだけにイエレン議長が「チャイナショック」などの際には
利上げを見送るなど市場にやさしい政策をとってきたように、
一朝事が起きれば「パウエル・プット」を機能させるのかが関心を呼ぶ。



新議長の発言に市場は一応の安ど感を見せたがそれも束の間、
トランプ大統領が「鉄鋼とアルミに25%の輸入関税をかける」との
爆弾発言。

その対象国は目下不明だが、少なくとも公約である保護主義への
強い意思を示したというところだ。

それに対し中・欧などが報復措置などに言及するなど一気に
「貿易戦争」の様相を強め、日経新聞を開くとまるで戦争が
勃発したかのような悲観一色に包まれている過剰報道には驚いた。



一方トランプ陣営では早々と新たな選挙対策本部長を選び
2年半後の大統領選に向けて選挙モードに入った。

したがって政権はこれに呼応して国内産業を保護し、大統領の
コア支持層であるプア―ホワイトにやさしい政策を打ち出すのも
当然か。

とすれば次の一手は万人に分かりやすい「為替切り下げ」か。

この結果として注目されるのが黒田日銀の手詰まり感を
強める円相場だ。

すでに年初の112円から105円へと円高が進んでいるが、
いよいよ遠くに霞んでいた100円が朧気に見えてきた。

株価も世界的に弱気が台頭しているだけにパウエルプットは
ますます期待される場面が増えそうだ。




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ジョセフⅢ

米国株式が変調を来しているが今時は下げ相場でも
先物で売る、プット・オプションを買う、ボラティリティを買う
など様々な手法で儲けることが可能だ。

しかし昔はそのようにはできず、既存のポートフォリオを
圧縮し、底値で買い直して稼ぐしかなかった。

そのようにして財をなしたのがロスチャイルド家で
ワーテルローの英国軍勝利を伝書鳩で一足早く察知して
まず売り仕掛けて相場を押し下げてから底値を買いまくったのだ。

そしてアイルランド移民のジョセフ・ケネディまた大恐慌前後に
売り仕掛けでケネディ家に巨万の富をもたらした。



ジョセフは政界にも進出したが疑獄に巻き込まれて一線を引き、
ジョン・Fなど息子たちの後ろ盾に徹した。

その後ケネディ家を襲った数々の悲劇はもはや語るまでもないが
それから半世紀を超えてケネディ王朝復活へ新しい芽が育ちつつある。

それがジョセフのひ孫そして司法長官を務めたロバート・ケネディの
孫であるジョセフⅢ(ジョセフ3世)である。

現在マサチューセッツ州選出の下院議員3期目の37歳、
そして民主党およびケネディ家新世代のホープである。

過日トランプ大統領の一般教書演説と同時刻に行われた
反論演説の方がより注目されたといわれるように米国民の
新たな希望の星となった。



目下平昌の五輪閉会式に向けイヴァンカ氏が訪韓しているが
米国民の半数はトランプ家そして政権にNOを突き付けている。

そしてトランプ大統領と言えばいつまでたっても選挙キャンペーンを
続けているようで、さっぱり大統領らしさが滲みだしてこない。

特に本年は中間選挙を控えており、さらに2020大統領選
キャンペーンも始まる。

そして民主党でも新しい候補者選びが始まるが、
その可能性としてジョセフⅢなど格好の目玉だ。

すでに70歳を超えたトランプ大統領の再選よりも
若い大統領の誕生こそが国民に希望を与えるのではないか。

3年後の日米関係は小泉そしてジョセフⅢの若い
リーダーたちにより新たな時代に突入するかも知れない。


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根拠なき熱狂

「根拠なき熱狂」とは1996年にFRB議長の
グリーンスパン氏が当時の株価上昇を見て述べた。

現在もまた同様に実体経済を伴わない形で、債券バブルが生じ
同時に米国株価は26千ドルの史上最高値を更新中。

そのけん引役はITで、アップルとアルファベットのどちらが
先に時価総額で1兆ドルを突破するかが注目される。

さらにアマゾン、フェイスブックも7千億ドル前後で
バークシャーが5千億ドルと続く。

つまり景況感が良いとはいえ、ITはすでに買われ過ぎでは
ないのかと首を傾げてしまう。



この好況を見てトランプ大統領も一般教書演説において
株価・経済の実情を自らの実績として吹聴した。

1兆ドルものインフラ投資をぶちあげたことが影響
したのは確かではあるのだが・・・

無用な通商トラブルを起こす発言よりは平和的な演説で何よりだったが、
それでは株価が暴落した時には赤っ恥をかくことになるだろう。



世界同時株高について、上昇はまだまだこれからと言う意見が
多いが、すでに高すぎるとの印象は否めない。

実際3日にイエレン議長が退任することから米国の
金融政策に変化は避けられない。

そして長期金利は短期金利の上昇と米政府の国債乱発懸念に
2.8%に接近するなど、金利上昇の影響懸念が拡大している。

果たして米国の好況感はいつまで持続するのか。

ITの獅子奮迅で株価はいつまで続騰するのか、
そろそろ剣が峰に達しているように思えるのだが。


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プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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