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権力闘争

世界のリーダーとして中国に追い上げられているとはいえ、米国は依然
政治・経済・軍事の上で世界に君臨している。

これまでの遺産があるだけにトランプ大統領が8年暴挙を続けたとしても
持ちこたえると思われるものの、ホワイトハウスにおける権力闘争の
激化を見ているとその確信は揺らぐ。

もちろんトランプ大統領はワンマン経営者を気取っているだけに
部下である大統領補佐官や閣僚の間において亀裂が深まるのは
気にも留めていないのか知れないが。

とはいえ米国の一挙手一投足は世界に大きな影響を与えるだけに
米国第一主義VS国際協調主義や強行派VS穏健派という対立の
行方に関心を払わざるを得ない。



本年3月3人の国際派そして穏健派の要人の辞任が相次いだ。

まずティラーソン国務長官が「大統領は頭のIQテストをすべきだ」と嘆いて辞任。

さらにマクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)そして自由貿易を
志向し高関税に反対したコーン国家経済会議委員長もそれに続いた。

加えてここにきて国際協調を目指すマテイス国防長官は「民主党員みたいだ」と
トランプ大統領に言われ、まもなく(表向きは円満な)退任が発表される予定だ。

一方先週はホンジュラスからの大量移民を巡って、穏健派で「大統領はバカだ」
と言ったと伝わるケリー首席補佐官と強行派のボルトン補佐官が怒鳴り合いに及んだとか。

大統領はボルトン氏に加勢したともされており、まもなくケリー氏は辞任する見込みだ。



このケリー氏については暴露本「FEAR」の発行を裏で糸を引いていたともされ
その批判の急先鋒が大統領の長女イバンカ氏だとも。

つまりホワイトハウスには大統領を中心にイヴァンカ・クシュナー夫妻と
最近大統領のイメージアップに露出が増えたメラニー氏の大きな存在がある。

従ってその影響下において強硬派と穏健派の対立構造があると言えよう。

すでに国務長官に強硬派のポンぺオ氏が就任し、マテイス国防長官の後任も
強行派が就く見通しだ。

中間選挙以降ますます強硬派、つまり米国第一主義者が
権力を握ることになるのだろう。

権力の存在するところはどこにおいても権力闘争はつきまとうが、
とりわけホワイトハウスの内部の対立は世界の政治・経済・軍事に
影響を与えるだけに目が離せない。



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内憂外患

史上最高値を更新してきた米国株価はこの2日間で
1300ドル下落つまり5%の大きな調整局面を迎えた。

本年2月にも3日ほどで2000ドルの大幅調整が起きたが
それに次ぐ規模のものだ。

これは自律調整と言うべきものだが敢えて理由を探せば
今回もまた「内憂外患」によると言えるだろう。

つまり「内憂」としては米国金利急上昇への懸念。

実際10年物の長期国債が3.25%に急上昇したことで
リスクが嫌気されたた結果と言うことだろう。

そして「外患」としては米中貿易摩擦への懸念。

実際中国では株安・人民元安のトレンドが続いており
チャイナリスクを市場は改めて思い出したということだろうか。



米国経済は120か月つまりリーマンショック以降丸10年にわたり
右肩上がりを続けてきた。

米国の失業率は3.7%と当時の11%台から大幅に改善し
成長率も4%台に達している。

かかる米国経済の好調ぶりを反映して株価も当時の6000ドル台を底値に
26000ドルを回復しているのだがら、値幅的にも時間的にも強気相場も
成熟期を迎えているのは明かだ。

現在の米国経済および株価の一人勝ちの象徴的存在こそが
FANGやGAFAと言われるグーグル、アップル、フェースブック、アマゾンに
代表されるIT株の高騰だ。

すでにアップルやアマゾンなどの株価は足元の実現利益が少ないものの
時価総額は1兆ドルに達している。

かかる将来性を高評価する価格が適正なのかどうかについては
議論が分かれるところだが、目下のIT企業に支えられた米国株価が
行き過ぎていると言う懸念は否定できないのである。



今回の株価下落についてトランプ大統領は「FRBは狂っている」
とFRBの金利引き上げを批判したが、中央銀行の独立性にお構いなしだ。

こういった見境のない発言はすでに1か月を切った中間選挙を前に
さらに激化することになるのだろう。

それでは中間選挙を経た後の米国はどうなるかと言えば
2020大統領選に向けて荒唐無稽と思われた「自国第一主義」の
公約実現に向けて突き進むだろう。

この国際協調を軽視する政策は常識人には目を覆うものであるとしても
岩盤とも言われる熱狂的支持者が40%いるだけに大統領2期目の
可能性が高まる。

「内憂外患」に直面する米国経済および米国株価は視界不良だ。


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TAG

今週は世界のリーダーがニューヨークに集まり様々な議論が
なされたが、ほぼ想定内と言うところ。

その中で最も異才を放ったのはやはりと言うべきかトランプ大統領。

国連総会の演説において選挙キャンペーンさながらに自らの2年の実績を
過去の大統領の中でも傑出していると自画自賛したことには場内から失笑が漏れた。

それにめげないのがトランプ大統領の真骨頂で、続いて行われた
日米首脳会談では通商問題で勝利したと国内向けに宣伝。

一方参院選を控えた安倍首相も負けておらず、国内に向けて農業、
自動車問題では一歩も譲らなかったと成果を誇っている。



実際のところは米国が優勢勝ちと言ったところで、日本側としてはとりあえず問題を
来年以降に先送りできたこと、為替問題に言及されなかったこともあり善戦したと
言っても良いかも知れない。

とはいえ日本が回避したかったFTA(二国間貿易協定)つまり二国間での
貿易交渉がキックオフされることになり、今後激しく市場開放を求められることになる。

それでなくとも日本の対米貿易収支黒字は中国、メキシコに続いて多く
早晩自動車への高率関税は避けられない。

この状況をどれだけ先送りできるのか不明だが、
今後二国間で激しい協議(FTA)で苦戦することになるだろう。

また官邸サイドはFTAの始まりをオブラートに包むべくTPPやFFRなどに続いて
TAG(日米物品貿易協定:Trade Agreement on goods)と言う新たな3文字英語を作った。

しかし実体としては物品での交渉から今後投資などと全分野に広がるだけに
FTAそのものだ。

どちらにしても今後は多国間の交渉ではなく米国と相対で闘うことになる。



ともかくトランプ大統領は中間選挙での共和党勝利が2年後の
再選のカギになると必死だ。

目下上院は共和党が過半数を制すると見込まれているが
下院は民主党が優勢だ。

残り1か月余りトランプ大統領は必死でキャンペーンを行う見込みであり
何が飛び出すのか注目されるところだ。


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トランプ台風

米中間選挙を11月に控えいよいよトランプ砲が炸裂。

とくに貿易不均衡是正に向けての発言は全方位にわたり
鳴り止む気配はない。

EUとの貿易交渉が前向きに進むかと思いきや一気に
緊張感を高めている。

さらに9月下旬に予定されるFFR(日米通商協議)を前に
「新しい合意がなければ日本は大変な問題になる」などと脅迫発言。

そして肝心要の中国に対しては第1、2段で500憶ドルの高率関税を
発動済みで、さらに第3弾の2000憶ドルを準備中。

続いて第4弾として2670憶ドルに対して追加制裁を講じる
準備があると発表した。

つまり中国はじめ世界の貿易のすべてに対して高率関税を課す
見込みで、いよいよ米国は低関税を基本とした貿易自由化を
葬り去ろうとしていると言えよう。



第二次世界大戦後、世界はGATTやWTOを通じて低関税が
志向され、これを前提に国際分業体制が構築されてきた。

その代表例がアップルで、広東省の東莞で台湾企業が
アップルの液晶など部品を現地の労働力を活用して生産し
製品を米国へ輸出していた。

したがって例外なく高率関税をかけるとのトランプ発言に対し、
アップルは抗議声明を出したが、トランプ大統領は米国への
生産移転を主張するばかりで受け入れる見込みはほぼゼロだ。

つまりこれまでのサプライチエーンは分断され
ビジネスモデルは破たんすることになる。



一方米国内に目を転じれば25%近い関税により
インフレの高進がもたらされる恐れが高まった。

この増税がもたらすインフレ率の高まりは、需要増大によりもたらされる
デイマンドプル型の良いインフレではなく、悪いインフレつまりコスト上昇
によりもたらされるものである。

インフレは本来金融引き締めで対応し経済を冷やすことで
乗り越えられる。

しかし今回のような悪いインフレの場合は実際の需要が伴わない
結果金融引き締め策はただただ経済を悪化させることになる。

つまり目下の米国経済はGDP(4%台)が失業率(3.9%)を上回るという
100年来余り見ることのなかった良い状態にあるものの、一気に奈落に
落ちる危険が高まることになる。

中間選挙を前にトランプ台風はどんな被害を米国そして世界経済に
巻き散らかすのだろうか。


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パウエル・プット

8月23日ー25日の間、米国ワイオミング州ジャクソンホールにおいて
シンポジウム(ジャクソンホール会議)が行われた。

夏休み最後のこの時期に中央銀行の総裁が集まるこの会議は、
カンザスシティ連銀が82年に立ち上げたもの。

渓流釣りを愛好するボルカー議長(当時)の意向を反映して
この地が選ばれたが、これまで主要中銀が秋以降の金融政策の
方向を示唆するものとして注目を集めてきた。



今回もまたパウエルFRB議長の基調講演で始まった。

米国は経済成長は4%を超え、インフレ率も2%台で強含みに推移しており
今後年内2回、そして来年3回程度の利上げが進むと見られてきた。

現在のFF目標は2年前に0%であったものが1.75%~2%になっており
さらに2.9%の中立金利を目指して一直線に引き締めが進むとの見方が支配的。

とはいえ過日低金利を好むトランプ大統領がFRBの引き締め策に
文句をつけたことから本会議でのパウエル氏の発言が一層注目された。



パウエル氏の今回の発言は「利上げを急げば景気後退のリスクを招き
利上げを遅らせれば物価の過熱を招く」と指摘。

さらに「物価上昇率は2%を超えて加速する明確な兆しはみえず
過熱するリスクの高まりもない」とも指摘。

これまでのFRB議長同様MROrdinary(普通)と言われるパウエル氏の
言い回しからその真意は利上げに少し慎重と見られ、一部には19年に
おいて利上げ打ち止めとの見方も出てきた。

さらに「インフレ期待が急に上昇したり低下したりする場合や
危機が起こりそうになった場合には毅然としてできることは
なんでもする」自信があるとパウエル・プットの存在を示唆した。

お陰でSPやナスダックの米国株価は史上最高値を更新したが、
同時に米ドル上昇に歯止めがかかりそうでもある。

ひとまずトランプ大統領の牽制球がFRBの利上げスタンスに
待ったをかけたというところだろうか。



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プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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