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背教者ユリアヌス

本棚を整理していると辻邦生が四半世紀も前に
日経新聞に書いたエッセーの切り抜きが出てきた。

題名は「こころー広場という名の幸福」。
一部抜粋すると・・・・

「長い事じっととどまっていたいと思う場所に出会うことを
 私は人生の幸福の一つに数えることにしている。

 現代は忙しく万事早く過ぎて行く。私に<とどまる>ことが
 人生の喜びであると教えたのは、西欧の都市で出会った広場であった。

 とくにパリには通りがぶつかる場所にかならず小広場があって
 それは思わぬ息抜きの場所になっているのに気付いた。

 広場はあくまでコンマ的休止で、通りと広場、つまり線と円の
 組み合わせのリズムが都市で暮らす空間の快適さを作りあげているのが
 段々とわかってきた。」    



文章はまだまだ続き、文中には、
コンコルド広場とヴォージュ広場が登場する。

さらに最も好きな広場として、セーヌ左岸の以下二つを挙げている。

サンジェルマン・デ・プレ教会裏のフェルスタンベール広場、
そしてカルティエ・ラタンのコントレスカルプ広場。

パリに限らず多くの欧州都市には市庁舎を中心に中央広場が
広がるが、日本で広場というのは駅前広場ぐらい。

バスやタクシーの乗り降り専用であり人間の寛げる
場所と言った趣はない。




同氏には「背教者ユリアヌス」で出会った。

古代ローマを背景とした恋愛物語で、透明感あふれる
内容と文章で引きこまれ一気にファンになった。 

小説の上では悩みも多い人間性溢れる青年皇帝として描かれる。

ただローマ史においては、キリスト教化した大帝コンスタンチヌスの
後継ながら、ローマ多神教を信仰し非開明的。そして若くして戦死する。 

①古代ローマに興味がある、②(若い男性と年上の女性の)純愛に興味がある
③上質の文章に接したい、と言った方々に本作をお勧めしておきます。





プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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