アベクロ・プット

中央銀行の主な仕事はインフレを阻止すべく
予防的措置をとることとされてきた。

例えば、「パーティーが盛り上がるところでアルコールの入った
パンチボウルを引き揚げる」のがその仕事と言われた。

景気が過熱する直前に金融引き締めを実施するすること、
即ち人々の期待に「水」をさす役割だった。



ところが、この中央銀行像を変えたのは87年から18年間も
FRB議長を務めたグリーンスパンである。

同議長は、民間の自由に任せ市場に寄りそうやさしい政策をとった。、

経済が困難な状況に陥った時にはFRBが助ける役割、
換言すれば尻拭いをしてくれる存在となった。

この政策は、米国経済に「Great Moderation(大きな安定)」の時代を
もたらしたが、これが、いわゆる「Greenspan Put(グリーンスパンの庇護)」と言われた。

「プット」とはオプション理論に言う「売る権利」であり、
価格が下落した場合には市場が権利を行使し、それに対して
中銀が高値で買い支えてくれると言う意味になる。



「グリーンスパン・プット」は市場に積極的なリスクテイクを促し
結果として、リーマンショックに至ったことは記憶に新しい。

グリーンスパンは中央銀行像を変えた人物であり、その功罪は議論が分かれる。

中央銀行も、経済が高度成長から低成長下へと変化するに従い、
市場に「水」をさす役割に徹しているばかりでおられなくなったのは
已むを得ないのであろう。



一方現在の日本。

アベノミクスから1年、そして黒田日銀の異次元緩和から8か月を経過。

株価は1万6千円台接近と今年の最高値を更新し、
また102円台と円安も進んで世界同時株高をけん引している。

政府・日銀が[「水」をさすどころか、期待を煽り市場を支えるとの
「アベクロ・プット」を受けたものと言えよう。

しかし、本当に市場が反転した場合、この「アベクロ・プット」は
有効に機能し、市場を下支えしてくれるのだろうか?

株価が下落し、円高になった場合に、アベクロが具体的に
何かをしてくれるのか保証の限りにない。

「アベクロ・プット」への過剰な期待は禁物だ。



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プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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