愛の妙薬

ドニゼッティのオペラ「愛の妙薬」は19世紀の
スペイン・バスクの農村でのコミカルなお話。

田舎の村を渡り歩く怪しげな薬売りから恋の悩みにも効く
という万能薬を買い求めた青年ネモリ―ノ。

何時しか不思議な勇気が湧いてきて、憧れていた女性に
積極的にアプローチし恋は成就する。

その妙薬とはただの安ワインで、売りつけた薬売りが
その効能に逆にびっくりするオチがあって幕を閉じる。

病は気からとも言われるように、安ワインが
「愛の妙薬」となる類の話を耳にすることは多い。



時代は下って現在の日本。

13年4月に黒田日銀総裁による異次元緩和が打ち出され
アベノミクスの第一の矢として株高・円安を牽引してきた。

2年後にマネタリーベースを2倍にしインフレを2%にするという
「2」をキーワードとした黒田マジックこそ「愛の妙薬」つまり
ニセ薬ではないかとも言われる。

政府・日銀は、マネタリーベース(当座預金+日銀券)を増大させれば
企業に資金が回り経済が活性化し、デフレスパイラルを脱却して
日本経済は復活するというシナリオを声高に語る。

確かにこれまで経済学の教科書では、
マネタリーベースの信用創造効果が語られてきた。

しかし今や様々な金融規制などによりマネタリーベース
とマネーサプライの関連性がない、貨幣乗数理論は有効ではないと
するのが、世界の金融の常識となりつつあるようだ。

したがって黒田マジックこそニセ薬と言うわけで、
株高・円安となったのも市場の勘違いによるもので
早晩その効能も切れるのではないだろうか。



もともと黒田マジックは時間稼ぎであり、その間に
構造改革が進むことが期待された。

しかし金融緩和策がまるで万能薬のように
その効能を楽しんでいるのが現在の日本の姿か。

デフレの背景もよくよく見れば、新しいモノやサービスを生み出す
イノベーションを日本企業が起こせなくなった結果だったのではないのか。

また世の中の賃金は増えず、一方で物価が上昇しつつある。

果たしてインフレ率を上げることを経済目標とすることが
適切なのだろうか。

「愛の妙薬」の効果が醒めるまでの時間は限られている。





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プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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