地政学リスク

倉都康行氏より自身17作目となる著書「地政学リスク」(ダイヤモンド社)を頂いた。

日本は2千年の歴史において周囲を海で囲まれてきたことから、
地球上の様々な地政学リスクから無縁に存在することができた。

お陰で日本人が地政学に対する感度が鈍いのも当然で
中国・朝鮮半島には比較的通じていても、中東・中東欧などの理解が乏しい。

しかし著者は9年にわたる情報の集積地であるロンドンでの勤務を通じて
その観察眼を磨きその成果がこの力作につながっていると言えよう。



ラムズフェルド元米国防長官は情報に関する3分類に
ついて次の言葉を残している。

「Known Known(自分が知っていると自覚していること)」
「Known Unknown(知らないと自覚していること)」
「Unknown Unknown(知らないことすら気づいていないこと)」

この類型化バターンを援用して著者は地政学リスクに関する
整理を進めている。

長く国際金融アナリストとして活躍してきた同氏だけに、
原油・為替・株価の相場決定要因としての「地政学リスク」を重視する。

そのうえでリスクを①宗教対立、②民族意識、③イデオロギー闘争
④民主化運動、⑤環境破壊を詳述している。



著者はワーテルローの戦いでロスチャイルド家が伝書鳩を使って「ナポレオン敗れる」
との報をいち早く入手して財をなしたことを「地政学」の歴史上の実例として挙げている。

そして21世紀に入りNY同時多発テロ以降、FOMCにおいて「地政学リスク」
が頻繁に登場することになり、金融市場の大きなテーマとして発展したとしている。

今や地政学は金融市場を予測するうえで見過ごすことのできない
主要なテーマであり、その理解を避けて通ることは難しい。

そして起こり得ないがいったん起こるととんでもないリスクに発展する
可能性、つまり「地政学のブラックスワン」として
以下4点を挙げている。

①サウジ王家の崩壊
②プーチン大統領の失脚
③中国共産党の弱体化
④ドイツ求心力の後退

今後は我々日本人も地政学への感度を高める必要がありそうだ。




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プロフィール

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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