キリスト教の謎

パリ在住の竹下節子さんが4月半ばに「キリスト教の謎ー
奇跡を数字から読み解く」(中央公論新社)を刊行された。

その機会をとらえて四谷のニコラバレで講演をされたが、
残念ながら参加することはできなかった。

したがって、儒教的文化圏にどっぷりと暮らし、キリスト教はもちろん
宗教に門外漢の筆者は自己流で通読し読後感を書くことにした。

全13章は、1から13までの数字に関連するテーマが選ばれ
それぞれの数字に絡んださまざまな事象が解説されてゆく。

具体的には、第1章は「一神教のはじまり」で、以下「二元論」、「三位一体」
「40年の持つ意味」、「キリスト五つの傷」「天地創造の六日目に創られたもの」
「七つの罪と赦しと秘跡」「八日は聖母マリアの受胎の日と誕生の日」
「九つの天井画」「十戒と十字架」「一万一千人の処女殉教者」
「十二の星を戴く聖母マリアとヨーロッパ」「十三日の金曜日」へと続く。



すでに著者はこれまで30数冊書かれておりいくつかは拝読しているが
相変わらずキリスト教は筆者からすれば謎ばかりの異文化だ。

その意味で今回の労作においてもキリスト教を取り巻く新たな事実に
目を開かれたが、今回印象に残ったことを挙げれば次のようなこと。

例えば旧約聖書の書かれた時代背景などについて、バビロン捕囚の後
古代バビロニアの滅亡とともにユダヤ人がイスラエルに帰郷する顛末。

アケメネス朝ペルシャ時代の資料を当たられている様子が窺えるが、
著者がなぜ英仏独希露語などに加えペルシャ語も学んでこられたのかが
少し理解できたような気がした。

そして天地創造について、ノアが決して神が満足するような人格者で
なかった下りについて。

神に選ばれ箱舟に乗り救出されたノアだが、その後の自堕落ぶりを知ることができ、
その普通人ぶりに親近感を感じたこと。



そして最も興味を持ったのは、極東への布教活動について。

日本のみならず中国や朝鮮への布教にはその地域の特殊性もあり、大変な苦労が
あったことが忍ばれるが、この儒教文化圏においては、磔刑のキリスト像よりも
聖母マリア像が受容されやすいとの戦略眼があったこと。

日本人にとって1549年のザビエル渡来から1637年の島原の乱までの
約90年間宣教師の活動が活発化したが、その時代
は同時に日本が海外に開いた時期であることはとても興味深い。

この時期の日本人は今よりもキリスト教にそして西洋思想に
近づきグローバル化していたのかも知れない。

などと思うにつけ、西洋思想の根幹をなすキリスト教理解への道は
果てしない。著者には引き続き良書を届けてもらいたい。





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プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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