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下山の思想

かつて東横線の白楽駅から歩くこと10分ぐらいの
丘の上に住んでいたことがある。

その道すがらには岸恵子の実家とともに、五木寛之が
住むマンションが建っていた。

当時「さらばモスクワ愚連隊」でデビューして以来超売れっ子だったが、
「青春の門」も読んでいないし、それほどのファンでもなかった。

ところが同氏が50歳前後に龍谷大学の学生として仏教を学んで以降
浄土思想に関する作品が増え馴染みができた。

「蓮如」や「親鸞」などの小説を書く一方で、高齢者への応援メッセージを
数多く発信する機会が増えたのである。

最近でも先月は朝日新聞でこの人の来し方や思想についての
エッセイが連載された。

さらに今月は文芸春秋の「孤独」特集において巻頭言として
「人間は生まれた時も死ぬときも一人」と言った内容を書いているのである。



と言うことでこの86歳の作家の人気の秘密を探ろうと、過去数年に書いた
「新老人の思想」「下山の思想」「ただ生きていく、それだけで素晴らしい」という
3冊のエッセイを流しながら読んでみた。

その内容は老人世代(この人は階級と呼んでいるが)に対して、
登山の後は下山があるのを当然として、下山の心構えを語っている。

その要諦は、「孤独」を甘受するとした上で「生き方」と
「逝き方」をやさしく語っている。

実際人間が必要とする絆について、その相手としての
友人に対して適正な距離を持つことを進めている。

また妻、家族に対しても同様で死ぬ時は一人である
覚悟を持つことが肝要としているのだ。



そして「逝くべき」適齢期については法然80歳、蓮如85歳、
親鸞90歳で死去したことを例に挙げ、それを理想としているようだ。

とはいえ宗教家は別として、現代社会における普通の人間には
経済的、肉体的、社会的制約がある以上それは難しいとしている。

つまりやみ衰えて寝たきりになる直前の75歳から80歳辺りが現実的そして
理想的な逝き時ではないか、と言うのがこの人の考え方のようだ。


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プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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