三権分立

第一次世界大戦でオスマン帝国が崩壊し、
トルコ共和国が設立されて95年。

この間議員内閣制が維持され、「建国の父」ケマル・アタチュルク
以来大統領権限は限定されてきた。

しかし2003年以来首相、大統領を通じて同国のトップを14年も
続け、強権的ともいえる手腕を発揮してきたエルドアン大統領は、
憲法改正を僅差で実現した。

この結果大統領は行政権のみならず人事的な力を背景に
司法権さらに立法権も掌握することとなった。

つまり独裁の芽が出てきたわけで、アンカラやイスタンブールと言った
大都市住民を中心に半数の国民が懸念を示すところとなっている。



一方、トルコと異なり三権分立により相互のチェック機能が働いて大統領の暴走に歯止めをかけているのが米国だ。

トランプ大統領が就任して90日が経過し、100日間と言われる議会と
大統領との蜜月期間はまもなく終わる。

この間、トランプ大統領は白人労働者向けの公約実現を目指し
大統領令を乱発したが、その成果は乏しい。

特に入国管理とオバマケア改廃については議会、司法のチェックが働いて
頓挫し、今や内政は身動きが取れず、シリア、朝鮮半島と言った
外交面での巻き返しで活路を見出さざるを得なくなっている。



このように三権分立によるチェックアンドバランスが働き
トランプ大統領は徐々に現実路線に舵を切らざるを得なくなっている。

実際選挙戦の功労者で極右のバノン首席補佐官は解任目前とも言われ、
代わってかつてゴールドマンサックスのNO2だった穏健派コーン補佐官
(NEC委員長)が経済分野を中心に実権を握りだしたという。

果たして減税を唱える一方で実現を目指す1兆ドルのインフラ投資は、
財政悪化をもたらすだけに与党共和党の支持を得ることはできるのか。

そしてそれに便乗して新幹線を売り込もうとする日本の計画は
夢に終わるのか。

トランプ政権が発足してまだ日が経たないのに、早くも1年半後の
中間選挙および3年半後の大統領選が注目されだした。


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花の命は

週末白金台そしてかつて住んでいた代々木上原へ出かけ、
花を探して歩いた。

3週間にわたり楽しませてくれた桜はほぼ終わったが、
花水木、八重桜、つつじが続き百花繚乱の趣。

じつに美しい季節が訪れた。


(サクラ)


(花みずき)


(八重桜)


(つつじ)


(ヤマブキ)

花屋には早くもアジサイが並び初めており
花の季節は忙しく過ぎて行きそうだ。

「ゴンドラの唄」で「命短し恋せよ乙女」と歌われたように、
ベニスでも日本でも花の命は短い。

「朱き唇 褪せぬ間に 熱き血潮の 冷えぬ間に
 明日の月日の ないものを」と続くが、人生もまた短いと言うことだ。



一方、四半世紀にわたり歌われているニッセイの
CMソングに「花の命は結構長い」と言うのがある。

大地真央が歌い始め、綾瀬はるかや長谷川京子に
歌い継がれている「女の保険」の宣伝ソングだ。

今や寿命が延びて女性の平均余命は87歳となっており、
花の短さに対するアンチテーゼでもある。

「花の命は長い」か「花の命は短い」のか意見は分かれるところ。

ともかく老若男女を問わずこの花の季節楽しむにしくはなしだ。







マチネの終わりに

丁度1年前に刊行された平野啓一郎の
「マチネの終わりに」を読んだ。

毎日新聞の連載小説だったそうだが、久方ぶりに
大人の恋愛小説を堪能することができた。

38才のギターリストと40才のユーゴスラビアと日本人の
ハーフの美人で理知的な女性ジャーナリストの純愛。

通奏低音としてギター曲、たとえばアランフェス協奏曲など
が流れ、また演奏家の苦しみそして技法などマニアックな内容が
描かれるなど、音楽ファンには楽しみが倍加しそう。

恋愛小説にはお決まりの恋路を邪魔する卑劣で鈍感な女が登場し、
筆者は怒り心頭に達しその女を呪いつつ一気に読了してしまった。



平野啓一郎は大学時代に「日蝕」でデビューし芥川賞を受賞
したが、今や42歳。

これまで取っ付きにくい作家との印象が強かったが、
家族3人を抱えてちょっと読みやすい、つまり売れる本へと
舵を切ったと言われるのも頷ける。

イラク戦争、リーマンショック、東日本大震災を下敷きに、
パリ、ニューヨーク、東京、長崎へと舞台は展開する。

構成力も秀逸で、今回は本屋大賞は逃したが、
渡辺淳一文学賞を受賞したのは当然。

たまには恋愛ものをと思う方には是非ともお勧めしておきます。



最終章に入り残る頁が減って行くに従い、その顛末がどうなるか
はらはらしながら読み進んでしまった。

そして最後のシーンはマチネの終わったセントラルパーク。

二人がどうなるかはここでは明かせないが、
お陰で余韻を楽しんでいるところ。

今回の小説から学んだ恋愛のイロハと言えば、
PC,携帯のメールに頼らずに、重要なことは面と向かって話すこと。

もしこんな素敵な女性に出会ったら、ぜひその教訓を生かしたいと思う。



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嫌い嫌いも

日本の失業率は2.8%と完全雇用状態にあるが、
米国も4.5%と一時の9%台からずいぶん改善。
米経済はかなり良い状態で、早期利上げが見込まれている。

したがって大統領選中以来トランプ氏はイエレンFRB議長の
超金融緩和策を批判してきたが、どうも雲行きが変わってきた。

あれだけ「嫌い嫌い」と言い続けたきたのに、それも「好きのうち」
だったのかも知れないのだ。

2018年年3月に任期切れとなるがその続投もありうる可能性が高まった。



それにしてもトランプ大統領の発言はぶれやすく
ついて行くのは大変だ。

あれだけ重用していたバノン首席補佐官を更迭目前に追い込んでおり、
またロシアとの蜜月は一転して険悪化、さらに敵対していたはずの
中国とは仲良くなったり。

また曖昧さを残していた為替問題についても今やドル高は
耐えられないとしてドル安志向を明らかにし始めた。

これから日米経済対話が始まる。

日本は為替問題や二国間FTA問題を避けて通りたいと考えているが、
米国は直球勝負に出てくるようで、今後ドル安が進む可能性が高まってきた。



一方ルペンVSマクロンの決戦投票でマクロン圧勝で無風と見られた
フランス大統領選も急速に風雲急を告げだした。

近頃の世論調査では、ルペン24%、マクロン23%、メランション19%、
フィニオン18%と極左のメランションが急速に支持を広げて混戦に。

場合によってはルペン、メランションの左右決戦になる可能性が浮上。

脱EU、脱NATO、富裕層への課税を掲げるメランションと脱EU、反移民のルペンが
1,2位を占めれば、世界の政治そして金融市場が大混乱をきたすのは必至。

はたしてどうなるのか。

フランス国債の金利がすでに上昇傾向を辿りだしたが
そうなれば欧州の混乱はかつてのギリシャや英国離脱の比ではなさそうだ。

北朝鮮、日米経済対話、フランス大統領選と日本の周辺は
緊迫してきたが、国内は春の陽気に誘われて至って平穏。

実際日本のマスコミと言えば浅田真央の引退ブログから4日を経過
しても相変わらずの関連情報の垂れ流し状態。

「真央ちゃんってそんなに偉大だったの?」などと発言すれば
どのようなバッシングを受けるかも知れない。

それが平和日本の掟なのだ。



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日本売り

朝鮮半島は中国軍が国境に展開していると伝えられるなど
緊迫化しており、この週末が危険視されている。

その中で、市場には「有事の円買い」という使い古された
アクションプログラムが横溢し、万一に備えて「円買い」での
対応が当然視されている。

果たしてこの対応が正しいのか?

実際1973年の中東戦争勃発から2000年頃までは
「有事のドル買い」だった。

「有事のドル売り」になったのは2001年の米同時多発テロ
以降である。

今回の事案は日本の近隣で起き、日本には経済・金融面に加え
物理的損害が懸念される。

したがって、これまでの「円買い」を当然視するのは危険ではないのか。
株売り・円売りの「日本売り」をメインシナリオとすべきではないのか。

以上の趣旨を踏まえ、「朝鮮半島有事は日本売り」
と題してロイター通信に寄稿しました。

ご笑覧いただければ幸いです。

http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-yoji-saito-idJPKBN17F0DO



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プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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