中国共産党

王岐山と言えば2008年のリーマンショックの際に
ヘンリー・ポールソン米財務長官の要請を受けて
4兆元投資を実現した実力派の副首相(当時)だ。

その手腕は西側とくに国際金融の世界で広く知られているが、習近平体制に入って
以降常務委員となり習近平の盟友としてこの5年反腐敗闘争をリードしてきた。

そしてこの10月の共産党大会を控えて68歳の定年を迎え、定年延長による
習体制の強化が図られるのではないかとその去就が注目されてきた、
つまり今年の共産党人事の目玉の人だと言って良いだろう。



ところがこのところその動きが全く報道されなくなったことから、
「王岐山失脚か」と言った噂が急速に広がってきた。

反腐敗の象徴であったこの人が、巨額の汚職に手を染めていたとか
習近平の腐敗に手を突っ込み虎の尾を踏んでしまったとか、
いつものことながら香港経由で様々な憶測が世界に発信されているのだ。

それでなくとも過去5年、周永康や薄熙来を追い落とし江派そして
共青団の恨みを買っており、まさに権力闘争の中心人物なのである。



実際中国では党大会まで4か月を切り、
習近平の2期目の人事が最大の関心事となっている。

8月に行われる河北省のリゾート地北戴河(ほくたいが)での長老との人事調整などは
例年にも増して重要視されており、今はそれを控えて激しい攻防が繰り返されている。

それでなくとも習近平の後継者として胡春華と共に常務委員会入りが
予定されていた重慶市総書記・孫政才の手ぬるい政治手腕に批判が高まる。

一方で習近平の側近である栗戦書,陳敏爾,王滬寧などの台頭が
伝えられているだけに、その後継問題は混迷化しているのも明らかだ。

習近平は「核心」として名実ともに紅い皇帝として君臨を狙い、
10年の任期を延長しさらには院政を敷く腹積もりがあるように見られる。

その権力の行方について闘争ははいよいよ佳境を迎え、経済・外交問題
はひとまず棚上げで、今後どんなニュースが飛び込んでくるのか分からない状態だ。


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入梅





自然現象の故当然とは言え、今年もほぼ平年通り6月7日に入梅した。
お陰で我が家の小さな庭に咲くアジサイ、ガクアジサイもことの他元気だ。

昨年のこの時期は利根川上流8ダムの貯水量が減少し、
給水制限が行われるなど夏場の渇水が心配された。

しかし今年の貯水量はほぼ平年水準であり、
天を仰いで雨ごいをする必要もなさそうだ。



五月雨を あつめて早し 最上川 (芭蕉)
五月雨や 大河を前に 家二軒  (蕪村)

素人目にもどちらも素晴らしい句と思うのだが、
しかしどちらをお気に入りとするか決めるのは難しいところだ。

子規によれば、芭蕉の句は技巧的にうますぎて面白くなく、
蕪村の方が優るとのことだ。

それまで芭蕉の方が圧倒的に知名度も高く神格化されていただけに、
子規の発言は衝撃的でまた蕪村の名がよく知られるようになった。

このように考えると梅雨つまり五月雨の季節も満更悪くない、
いや風流と言うことかも知れない。





金融正常化

日銀の金融政策と言えば、市場関係者が異常なぐらい関心を示す一方で、
一般の人が限りなく無関心であるというそのギャップに特徴があると言えよう。

黒田総裁が就任し2%の物価目標達成を掲げてすでに4年が経過し、
その効果への疑問が日増しに高まる。

有効求人倍率が1.5倍に接近し息の長い景気回復が続いていると言われるものの、
コアインフレ率は相変わらずゼロ%近辺でデフレ脱却の兆しは見えない。

つまり給料上昇が確認されない中でもはや2%の物価目標にどの程度の意味が
あるのかわからなくなった。

それでもその目標達成にこだわり、年間80兆円のペースでの
長期国債の買い入れを継続することの意味も同様である。

さらにREITやETFなどの購入を続けて金融市場を買い支えているが、
日銀の資産が膨張し財務内容が悪化しているのも明らかだ。



このような環境下において15~16日に日銀は金融政策決定会合を開く。
しかし現状のイールドカーブ操作を軸に据える量的緩和政策に変更はなさそうだ。

とはいえ日銀も現状認識を変えつつあるようで、
そのひとつが「円相場と輸出」の関係についてだ。

従来その因果関係については「Jカーブ効果」があり、円安が進むと
まず価格効果が出て輸入が増加し、その後輸出が増加し貿易収支の黒字化が進むと言われてきた。

しかし現在は4年にわたる円安にも拘わらずその輸出数量は増加しておらず、
その原因として海外への生産移転によるものだとの判断を日銀は下した。

すでに40年を超えて円高対策の一環として日本企業は生産の海外移転を
進めてきた以上、
かつて教科書で習った「Jカーブ効果」が薄れるのは当然であり、
日銀が見解を変えるのも今更と言ったところ。

その真意は「円安が日本の貿易黒字の増加ももたらしていない」ことを婉曲に
日銀は言っているわけで、結局米トランプ政権による対日赤字の原因としての
円安政策への批判をかわそうとの作戦の一環と言うことだ。



米国ではテーパリングをすすめ出口戦略へと突き進んで1年半。

そしてECBもその開始を目前にしているが、日銀の金融政策
とくに出口戦略については表向きその素振りは一切見せない。

どこまでも現状の緩和策を進めようと自信家の黒田総裁の腹は固まっているようで、
このまま任期二期目に突き進みそうな気配も漂う。

とはいえ現在の変動相場制下における金融政策は、
他国からの影響を排除して独立的に運営することが難しい。

従って教科書の教える通り日銀が海外の中央銀行に
引きずられることは免れない。

黒田日銀の政策の狙いは本来「円安政策」であるが、
またその効果が薄れてきた以上、量的緩和策を続ける意味も減じているのではないか。

そろそろ「クロダノミクス」の看板をおろして金融政策の
正常化を図る時期に来たのではないだろうか。

金利がゼロ状態では金利調節による経済調整ができないだけに
金融正常化つまり金融政策の伝統的手法への回帰は最優先課題だと
思うのだが。


江戸探訪

孫娘がお正月のお楽しみ会の抽選でゲットした
ホテル宿泊券をプレゼントしてくれた。

と言うことで水天宮前のロイヤルパークホテルに出かけ、
筆者の誕生日を祝うとともに江戸・東京を探訪することにした。

まず隅田川を渡って松尾芭蕉の足跡が残る深川へ。

この地域には芭蕉記念館はじめ句碑などが残っているが、
奥の細道の出発点でしかなく、やはり山寺(立石寺)など歌枕の方が有難い。


(清澄庭園)

そして花菖蒲が見頃の清澄庭園へ。

ここは紀伊国屋文左衛門の屋敷跡で、
岩崎弥太郎が現在の庭園へと一変させた。

池にはさぎが遊び、亀が泳ぐなど時間はスローに流れている。

ちなみに都立庭園は後楽園、六義園、浜離宮、向島百花園など
9箇所あるそうだ。


(日本橋三越前)

そして江戸の中心地日本橋へ。

この地は明治以降も日銀・東京証券取引所など金融街として栄え、
個人的にも長く働いていたところで懐かしいエリアだ。

夕闇迫る中散策の後三越前のカフェ「エメヴィベール」にて
ラングドックの白とロワールの赤で乾杯。

この本店は麹町の立派なフランス料理店だが、
ここはカジュアルながら立地もよく、美味しいことは言うまでもない。


(堀切菖蒲園)


(柴又と寅さん像)


(柴又帝釈天)

翌日は江戸への農作物の供給地であった葛飾の面影を探ろうと
柴又そして6000株もの花菖蒲が満開の堀切菖蒲園へ。

柴又の駅から帝釈天に続く短い参道には何と団子屋が7件も。

大型バスが運んできた中高年で賑わっており、フーテンの寅さんが
登場して半世紀、まだまだその効能はあるようだ。

とまれ思いがけず花菖蒲を楽しみながら江戸の小景と情緒を
満喫する旅となった。



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印象操作

文芸春秋は毎月10日に発売されるが、購読料を前払いしている
お陰で毎月8日には送られてくる。

文春の記事で相場が動いた記憶もないし、月刊誌だけに中づり広告を盗み見ることに
心血を注ぐ週刊誌のような緊張感もないだけに、その2日のメリットは分からない。

とはいえ早速7月号を手にしたら「おごれる安倍一強への反旗」
と題する特集があり、話題の前川喜平(前)文科省事務次官の手記
「わが告発は役人の矜持だ」が出ていた。

当然のごとく官邸の圧力、天下り問題、醜聞報道などが書かれているが
謝罪に終始する訳でもなく、出会い系で援助交際する中高年男性の
イメージなどさらさらない。

官僚トップを務めてきただけに文章は力強く、人となりもそれなりに伝わってくる。




前川氏については、読売新聞の一面トップでの出会い系バーへの
出入り報道など、印象操作の被害を受けていることは否めない。

したがって筆者としては、不良爺なのか貧者の救世主なのか、どちらに
真実を求めて良いのかよくわからず思考停止状態になっているところだ。

前川氏は前川製作所(世界三大冷凍機メーカー)の直系で、
祖父に当たる創業者は目白に「和敬塾」を作った篤志家だ。

また前川氏が歌舞伎町の出会い系バーへ30回も出没した目的は
貧困な子供たちの実態調査だったとの主張もされている。

しかし子供とは小学生なら分かるが、この人の相手はこどもとは言いがたい。

そのお相手とされる女性の証言も週刊誌で読んだが、
「前ちゃん(前田と名乗っていた)がテレビに出ていて驚いた」とのこと。

さらに「学校の先生のようで、お店から連れだされても手も握らず、
パフェを食べたり焼肉をごちそうになったり、カラーコンタクトを
買ってもらったり、そして就活を指南してくれた」とか。



フランスには元陸軍大臣でポリテクニック総長を
務めたアンリ・マレスコーという人がいるらしい。

この人は74歳の立派な家庭人だが退職した今、
聖職者となるべく研鑽を積んでいる。

ナイジェリアなどから連れてこられた売春婦たちにフランス語を教えたり
職業に付けるように手助けするなどボランティア活動をしているらしい。

注目すべきは女性との接触は必ず同僚女性を連れて行ったとのことで、
その点前川氏は弱く疑いは晴れない。

ただ言えることは、前川氏に対し内閣の官房参与や補佐官などが圧力をかけたように
籠池問題も加計学園もアッキーの悪ふざけも全てが
権力の腐敗の結果だ。

安倍一強が長く続き、今や戦後4位になったと言われるが
やはり政権交代が必要な時期に来たということだ。

支持率が下がったとはいえ未だ40%とトランプ大統領を上回る。
やはり7月2日の都議選には反自民党に一票を入れるしかなさそうだ。




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プロフィール

斉藤洋二

Author:斉藤洋二
銀行・生命保険会社にて
長く為替・投資業務に携わった。

特にホンコン、パリ在住の際には
中国・アジア・欧州・アフリカ
各国を見て歩いた。

歴史・料理・音楽に興味がある。

「ネクスト経済研究所」代表

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